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柴田直人(ANTHEM) 独占インタビュー Vol.4

たとえ国を動かす人たちが
「音楽はライフラインではないから」としたとしても
音楽は間違いなく人と人をつなぐことのできるもの

                                   

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柴田直人(ANTHEM)連載企画の第四回。大幅な計画変更を余儀なくされた2020年前半。失ったものも大きいが、ニューアルバム『EXPLOSIVE!! -studio jam-』や西城秀樹さんの「ナイト・ゲーム2020」など、得たものも大きかった。きっと人生は損得勘定ではない。プラス・マイナスでは測れない。失ったものも得たものも同じひとつ。そのひとつひとつが未来を形成するピースになるはず。どうやら柴田直人は未来を見つけたようだ。そこへ向かう道は、まだ不確実だとしても、確かな歩みで進み始めている。2020年のこれから、柴田直人は、ANTHEMは、どこへ行こうとしているのか?

 

──2020年のこの状況で改めて突きつけられた事実は、音楽はライフラインに含まれない、ということ。当たり前ですけど…。つまり、生きるか死ぬかには関係ないということ。でも、人が人として生きるには、やはり音楽をはじめカルチャーは欠かせないと思いますが…。

 

柴田:過去に大きな災害があったときでも、音楽は必ずみなさんの役に立つと思いながら僕らは活動してきました。ただ、今回は、みなさんのところに会いにいくのを控えなきゃならない状況。その中で僕たちに何ができるか…。これは僕たちだけじゃなく、音楽に従事するすべての人たちが同じ自問自答を繰り返しているのではないしょうか。とにかくこのまますべての不安やコロナ・ウイルスが霧のように消えてしまうことはないでしょうね。たとえ消えてしまったとしても、先ほど話したエンターテイメントの在り方、ライヴの在り方は、考え続けなきゃいけない。ちなみにANTHEMは、ここ数年、イベンターとの関係やレコード会社との関係を見直してきて、去年2019年から新たな環境に身を置いて活動し始めました。その翌年の2020年ですからね。2019年に世界同時発売でアルバムを発表し、1回だけでしたが、海外のメタルフェスにも出演、その流れが今年2020年に繋がっていく計画でした。そして更に2021年は…。いろいろ描いていた計画を再構築しなければならないのが今です。2020年の予定が変わるということは、2021年の予定も変わるわけで、具体的ではないにしろ、ぼんやりと思い描いていた2021年のスケジュールも大幅修正を余儀なくされています。2020年にできなかった予定を持ち越さなければならないとしたら、それを2021年のどこに延期するのか、もしくは中止にして、2021年の新たな予定を組み立てるのか。これがパズルであれば、時間がかかっても、必ずピタリとはまるけど、今回ばかりは<パズルのように>とはいきません。

 

──たとえば完成図がベースのジグソー・パズルをやっていると思っていたら、途中からドラムにしなくちゃいけなくなるような…。それほど難解。

 

柴田:しかも、僕らANTHEMだけじゃなくて、世界中のバンドや世界中の音楽関係者やエンターテイメントに携わる全員の問題でもあるし。というか、それ以上ですね。現在は、全世界の誰一人として計画通りに物事を進められない時。だから、僕も毎日が葛藤です。こうしようか、ああしようか、と。この頃にはこうなっているかもしれない、いや、むしろこの頃はこんなになっている可能性もある、と。日々、ニュースを見たり情報に触れたりして考え、ツイッターなどを見て考え…。結果的には、この状況を必ずバンドの未来の糧にしなければ、と思っています。

 

 

──まだお尋ねするのは時期尚早かもしれませんが、2020年のこれからへの抱負を聞かせてもらえますか?

 

柴田:2020年、誰も予想さえしなかった現実の中で僕らは生きています。たとえ国を動かす人たちが「音楽はライフラインではないから」としたとしても、音楽は間違いなく人と人をつなぐことのできるもの。僕らはそれを長い間実感してきたし、証明もしてきたつもりです。そういう音楽を創作している者の端くれとして、僕たちは<今、音楽に何ができるのか>を考えなくちゃいけない。まぁ僕なりの結論のひとつは、貫いてきた自分の軸は絶対にブレてはいけない、ということ。僕らが嬉々としてやったものをみなさんに届けたい。売れるかもしれないけど、嫌々やったものとかで暮らしたくはないというね。いろいろな価値観がありますけど、やはりそれが僕の信条です。やるか否か、やらないか否かの判断基準は、自分の胸が躍るか否か。そこは変えたくないんですよね。正直、不安に襲われる日もありますよ。でも、そのたび、自分に言い聞かせます。「俺は音楽に人生賭けてきたんだ、こんな状況に落胆してどうする」って。

 

──そういう戦いや気概を讃えるのが、まさにアンセムですよね。

 

柴田:過去がなければ、現在もないという点では、今の自分は過去でできているとも言えます。ただ、過去だけではないですよね。今の自分の中にきっと未来もあるんです。だから、過去の自分と向き合い、今の自分を見詰め、未来の自分に希望を託す日々です。そして、もしも自分がワクワクできない仕事をするくらいなら、僕は表現者だとか、創作者だとかでなくてもいい、というところまで考えました。自分が音楽を目指したときの初期衝動に素直でいようと。グラハムとのレコーディングもヒデキさんの未発表テイクでのレコーディングも、心底楽しかったし。この楽しさは、たぶん自分を偽らずに音楽を続けてきたから得られたものじゃないかと思います。もしも自分の大切な部分を歪めてしまったら、きっとこれほど音楽を楽しめなくなると、この緊急事態の中で思いました。ですから、僕が、僕らが音楽をやる幸せをかみしめたANTHEM feat. Graham Bonnet『EXPLOSIVE!! -studio jam-』は、ライヴができない、ライヴに行けないこの状況で、ANTHEMとファンのみなさん、グラハムとファンのみなさんをつないでくれると信じています。11月14日、ANTHEM35周年ツアー最終日のEX THEATER ROPPONGI公演にグラハムがゲスト出演してくれる予定なので、ファンのみなさんにはその前に『EXPLOSIVE!! -studio jam-』を聴いてもらって、一緒に心の底から盛り上がれたら最高ですね。

 

 

インタビュー1:『クオリティーはしっかり維持しながら、自分たちが提供できるエンターテイメントは何か模索を続けている』

 

インタビュー2:『これからの自分に大切なことを再確認させてもらえた。自分の情熱の在りかを確かめることができました。』

 

インタビュー3:『僕の音楽人生で、これだけリラックスしたレコーディングは初めてかもしれません。気分はジャムセッション。』

 

 

 

2020年9月7日発売予定
ANTHEM feat. Graham Bonnet
『EXPLOSIVE!! -studio jam-』

500セット限定 ANTHEMメンバー全員直筆サインカード付Tシャツ+CD+ボーナスDVD

CD+ボーナスDVD

 

【CD収録予定曲】
1. Gypsy Ways(WIN, LOSE OR DRAW)
2. Cryin’ Heart
3. Midnight Sun
4. Since You Been Gone
5. Lost in Hollywood
6. Desert Song
7. The Witchwood
8. Night Games

 

【DVD収録予定】
「Cryin’ Heart」ミュージック・ビデオ (東京でのレコーディング・ドキュメント映像)

 

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2020年6月1日発売

HIDEKI SAIJO with ANTHEM feat. Graham Bonnet

『ナイト・ゲーム2020』

 

【収録曲】

  1. ナイト・ゲーム2020 (Night Games) HIDEKI&GRAHAM BONNET Version
  2. ナイト・ゲーム2020 (Night Games) HIDEKI SOLO Version

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