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柴田直人(ANTHEM) 独占インタビュー

クオリティーはしっかり維持しながら、
自分たちが提供できるエンターテイメントは何か
模索を続けている

                                   

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柴田直人(ANTHEM)の全4回連載企画がスタート。ANTHEMのニューアルバム『EXPLOSIVE!! -studio jam-』に参加したグラハム・ボネットとの秘話、HIDEKI SAIJO with ANTHEM feat. Graham Bonnet「ナイト・ゲーム2020(Night Games)」の裏話などを語り尽くす。そして、いつしか話題は、音楽で生きる意味へと深まって行く。その第一回目である今回は、緊急事態宣言下でのANTHEMについて。

 

──2020年は、誰も予期せぬ事態に陥りました。ANTHEMの今から、話を始められたら、と思います。

 

柴田:2020年スケジュールは、2019年早々に計画立案を始め、夏前からいろいろな実務、ライブ会場の予約とかが始まっていました。で、夏が終わる頃には、おおよその骨組みは出来上がって。その意味では、約1年をかけて組み立てた2020年のスケジュールの半分くらいが、現時点では、延期か中止になっています。夏、ドイツやオランダ、ベルギー、スペインとか、1ヵ月間かけて各国のフェスに出演しながらベッドライナーのショウも含んだツアーをする予定でしたが、おそらく今のところ、ヨーロッパでのロック・フェスは、すべて中止になる可能性が高いし。そうなると、2020年夏のヨーロッパでのスケジュールは白紙になりますね。

 

──大きな打撃ですね。

 

柴田:2019年の夏には、誰も今の日本、今の世界を想像もしていませんでしたから。暮れになっても、せいぜいインフルエンザ程度の流行だろうと、世界中が高を括っていたし。ところが、今や、僕らにできることは、外出自粛と手洗いとうがい程度と、確実に追い込まれていますよね。ANTHEMにとっても大打撃ですが、それ以上に世界的な衝撃です。世界中の一人一人が現実の生活とも直面せざるを得ないわけです。飲食業の方ならテナント料とか。学生なら勉強ができない。僕らなら、ライブが1本できなくなることで発生する損害があったり。たとえば会場のキャンセル料とか。そういう現実は避けては通れません。

 

──音楽業界全体でも、ライブ・エンターテイメントが再び注目を集めていた最中での、このパンデミック。皮肉というべきか、過酷というべきか…。

 

柴田:CDの売れ行きが右肩下がり、音楽系雑誌の廃刊とか、21世紀になり音楽受難の時代が続いていましたよね。そして、今回はライブ事情も直撃された。ただ、それでも大切な気づきもありました。日本におけるライブの在り方とか。興業の在り方とか。大きな問題だけど、僕も含め、そこに関係している一人一人が考えなきゃならない問題だと気づきました。個人としては目の前の出来事や日常のことをどうしても優先的に考えます。それが当然です。仕方がない。僕もそうだし。でも、僕は同時に大きな問題も考えなきゃならない。でも、考えるとは嘆くことではないです。この状況をいくら嘆いても、何も変わらないから。大きな問題を考えながら、一方では目の前の現状を分析して、今自分たちができることを模索しなければ、と考え始めました。その発想転換が2月中旬あたりからです。

 

 

──戸惑いから前進へ、嘆きから気づきへの転換。

 

柴田:ええ。でも、2月に僕が想像していたより、事態は悪化しています。被害も大きくなっている。それでも、クオリティーはしっかり維持しながら、自分たちが提供できるエンターテイメントは何か模索を続けている中、いくつか実現できるアイデアがあって。そのひとつがHIDEKI SAIJO with ANTHEM feat. Graham Bonnetでの「ナイト・ゲーム2020(Night Games)」でした。ヒデキさんのマネージャーを35年も続けられた片方さんから連絡をいただいたとき、行動あるのみ!と、即決しました。片方さんとの対談は、すでに公開されているので、そちらを読んでいただければ、と思います。僕にとってグラハムはフェイバリット・ヴォーカリストですから尚更、今回の「ナイト・ゲーム2020」への参加要請は、嬉しい話しでした。グラハムのこと、ヒデキさんのことを改めて考えるいい機会にもなりました。たとえばグラハムなら、彼自身がもともとはビージーズ系人脈の出身みたいなので、生来のハードロッカーとか、生まれながらのヘヴィメタル・ヴォーカリストというより、しっかりメロディがある曲が好きなんじゃないですかね。とはいえYouTubeで昔の映像を見ると、凄くポップな曲なのに、歌い方は今と一緒(笑)。どえらい絶叫しています。普通に歌えば、可愛い曲でも、フルパワーで歌い上げている。それでも曲をちゃんとポップに聴かせる歌唱力も備えているわけで。だから、レインボー好きのヒデキさんが、ロニー・ジェイムス・ディオでもジョー・リン・ターナーでもなくグラハム・ボネットに惹かれたのがなんとなくわかる気がしました。ヒデキさんの「ナイト・ゲーム2020」への参加や、グラハムとのANTHEMのアルバム制作がこの先、何につながるか、現時点はわかりませんが、どちらもこういうタイミングでなければ実現しなかったことです。この状況を嘆いても、何も変わらないなら、未来を信じて動いてみたら実現したわけで。先ほど話したとおり、2020年の予定は大きく変わり、失ったものもいろいろあるけれど、新たに得たものもあります。2020年前半は乱高下。その中で、やればできることが案外とあるものだ、と実感しています。

 

 

 

 

2020年9月7日発売予定
ANTHEM feat. Graham Bonnet
『EXPLOSIVE!! -studio jam-』

500セット限定 ANTHEMメンバー全員直筆サインカード付Tシャツ+CD+ボーナスDVD

CD+ボーナスDVD

 

【CD収録予定曲】
1. Gypsy Ways(WIN, LOSE OR DRAW)
2. Cryin’ Heart
3. Midnight Sun
4. Since You Been Gone
5. Lost in Hollywood
6. Desert Song
7. The Witchwood
8. Night Games

 

【DVD収録予定】
「Cryin’ Heart」ミュージック・ビデオ (東京でのレコーディング・ドキュメント映像)

 

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2020年6月1日発売

HIDEKI SAIJO with ANTHEM feat. Graham Bonnet

『ナイト・ゲーム2020』

 

【収録曲】

  1. ナイト・ゲーム2020 (Night Games) HIDEKI&GRAHAM BONNET Version
  2. ナイト・ゲーム2020 (Night Games) HIDEKI SOLO Version

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