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キング・ダイアモンド
独占インタビュー Vol.3

キング・ダイアモンドだけでなく
他のプロジェクトも続けて行くけれど
ここまで良いアルバム
曲ができたと思ったことは過去にないよ
まったく違ったレベルの作品になる

                                   

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文:川嶋未来 Photo by Axel Jusseit

 

[インタビュー実施:2020年11月19日]

 

― 『Fatal Portrait』でキーボードを弾いているのはあなたですか。

 

キング:いや、そうではなかったと思う。(エンジニアの)Roberto Falcaoが弾いたはずさ。彼は素晴らしいキーボード・プレイヤーだからね。私が書いた曲をRobertoに教えたり、2人で連弾みたいにして弾いたこともある。『The Eye』とか『Conspiracy』はそうやって弾いた。Robertoだけがプレイをした曲もある。私が演奏して、そこにRobertoが何かを付け加えたこともあったかな。はっきり覚えていないけれど、いずれにせよ、彼は私よりもずっと優れたキーボード・プレイヤーだからね。私は曲を書くのはとても得意なのだけど。キーボードで曲を書くのは得意なんだ。Robertoはキーボードの前に座って、まるでキース・エマーソンやジョン・ロードみたいに演奏するんだ(笑)。本当にすごいキーボード・プレイヤーなんだよ。2人の得意なことは違ったけれど、私たちが一緒に作業をすると、素晴らしいものが生み出されたものさ。真夜中に二人で蝋燭をともして、彼はバナナを食べながらワインを飲んだりして、不気味な雰囲気にしてね、「Let It Be Done」なんかを書いた。楽しかったよ。

 

― 『Abigail』は初のフル・コンセプト・アルバムとなりました。こういったコンセプトはどんなものからインスピレーションを受けるのでしょう。本や映画なのでしょうか。

 

キング:多くは夢からだった。すべてとは言わないけれど、ストーリーの登場人物の名前とか、多くは夢に出てきたものなんだ。凄まじい嵐で夜中に目が覚めた。頭の中はアイデアでいっぱいで、そのまままた眠ってしまったらすべてを忘れてしまいそうだったから、コーヒーを沸かしてそれを飲みながら、書き付けていった。それで80%仕上げたよ。歌詞ということではなく、ストーリーが出来上がったんだ。登場人物とか、どんなことが起こるとか。私の母親と関係している部分もある。彼女が生まれたときに経験した事柄とね。彼女は捨てられたんだ。彼女の母親、つまりわたしの祖母、悪い祖母の手によって。彼女はデンマークの教授の家でメイドをしていて、教授の息子によって妊娠させられたんだ。それで、私の母を出産する時に、外に出されたんだよ。教授にとってスキャンダルになりかねないから。出産後、祖母は娘を連れて教授の家に戻る訳にはいかないから、私の母を捨てたのさ。文字通り、誰かの家のドアの前に、母を置いてきたらしい。母は後になってから、本当の母親を知ったんだ。良いことではないよね。後に2人は連絡をとるようになって、祖母が病気になった時に、母は1ヶ月間仕事の休みをとることにした。祖母が住んでいるところは、母親が住んでいたところから離れていたから。ある時、母は祖母と近所の人の会話を聞いたんだ。近所の人が、何かを借りにやって来たらしい。その人が祖母に尋ねたんだ。「最近家にいる、あの素敵な女性は誰なの」って。そうしたら、あろうことか祖母は「ただの古い友達なの」と答えたのだそうだ。彼女は未だに私の母を娘だと認めなかったんだ。 だから、私は母に、もう祖母とは口を利くなと言ったんだ。時間の無駄だし、祖母はクズだと。話す価値もない。その後は母が祖母に会うことはなかったと思う。あんな悪い母親を持ったというのは、私の母にとってはとても酷い経験だったことだろう。こういうことが、『Abigail』の恐ろしい部分の恐ろしいインスピレーションになっていると言える。お前はただの私生児だ、ここにいる資格はない、みたいな。無垢なアビゲイルが悪魔であるかのように扱われる部分と関連しているのさ。母、そして彼女が経験したことが大きいんだよ。アルバムの多くの部分が、みなが想像する以上に実話に基づいている。私の経験や、私のよく知っている人たちが経験したことにね。もちろん、ストーリーラインにはまるように、多少の変更は加えているけれど。

 

 

 

― このアルバムの後、マイケル・デナーとティミ・ハンセンが脱退してしまいます。原因は何だったのですか。

 

キング:お決まりのことさ。個人的なことや家族の問題とかね。ティミは、当時のガールフレンドから最後通牒を突きつけられていたんだ。それでツアーを止めざるを得なくなってね。確かその頃、2人に赤ちゃんができたのさ。私は、ティミは赤ちゃんができたからバンドを辞めたのだと理解している。完全に気持ちはわかるし、ネガティヴなフィーリングは一切無かった。彼の人生や家庭というものが最優先されるべきだからね。マイケル・デナーも似たようなもので、彼にとってツアーというものがつらかったんだ。家族もいて、ずっと家を空けなくてはいけない、いつもの生活から離れていなくてはいけないというのがプレッシャーになっていたんだ。それが主な理由だと理解しているよ。もともと彼はバンドを抜けたり入ったりするタイプだし。さっきも言ったようにマーシフル・フェイトでアルバムを出す前も、何度も出入りしていた。その後7年間は一緒にやってきたけれど、当時彼がどんな交友関係を持っていたかははっきりとは覚えていないけれど、「もう辞めたい」と言って来た時に、「信じられない!」なんていうことは一切なかった。完全に理解できたよ。クリス・ホワイトマイヤーにしてもそうだけれど、過去のメンバーはみんな家族みたいなもの。今でもマイケル・デナーとはしょっちゅう連絡しているし、スノーウィ・ショウも最高の友人さ。ほとんどのメンバーは素晴らしい人間で、彼らの多くはまたチャンスがあれば、一緒にやりたいと言っているよ。そういう気持ちは私もわかる。一緒にやっている時はとても楽しかったし、だけど、この世には同時に家族であるとか、人生のほかの部分もあるのだから、すべてを完璧にやることはできない。誰かが脱退する時でも、理解できる。その多くは家族が理由で、それは理解できることだよ。

 

― そもそも「キング・ダイアモンド」という名前にはどのような意味があるのでしょう。

 

キング:自分としても答えを知りたいよ(笑)。本当にどうしてキング・ダイアモンドとしたのか、わからず、覚えていないと答えているんだ。随分昔にブレインストームをやっていた頃、当時みんなで超ビッグなバンドになろうと思っていて、そのためにはアーティスト・ネームが必要だと思ったんだ。発音のしにくいデンマーク語の本名ではなくね。デンマークの名前というのは、ちょっと違うだろ。キム・ベンディックス・ピーターセン(注:キング・ダイアモンドの本名)というのはそれほどクレイジーではないけれど、ジェス・ジェイコブソン、マイケル・フロウンはちょっと発音しにくいかな、彼の名前は何だったかな、多くのメンバーが関わっていたからね、ジャネットという女性のベーシストがいたこともあったな、ハンセンという苗字のやつもいた。もちろんティミとは別人のね。ともかく、当時国際的な名前をつける必要があると思ったのさ。それで、なぜなのかまったくわからないのだけれど、嘘はつきたくないからね。ダイアモンドというのは永遠で、今も私はこうやって活躍している、なんていうのは作り話。なぜキング・ダイアモンドを選んだのか、まったくわからないんだ。

 

― 何年くらいのことですか。

 

キング:76年くらい。ブレインストームの初期の頃さ。

 

― あなたのお気に入りのアルバムを3枚教えてください。

 

キング:それは不可能だよ。私は本当にたくさんの良い音楽を所持していて、CDのコレクションにしても、LPのそれと同じくらいレアなものがたくさんある。CDというものが出始めた時から、お気に入りのアルバムを買い揃えていたからね。ブロンズ・レコードのCDとか(笑)。ユーライア・ヒープとかね。アイランド・レコードとか。本当に古いCDだよ。最高にお気入りのアルバムを選ぶとなると、難しすぎる。お気に入りの1曲ということであれば、ユーライア・ヒープの「Shadows of Grief」かな。もちろん好きな曲は他にいくらでもあるけれど、この曲は引っ越したり、新しいスピーカーを買ったりした際に、ステレオを正しく設置する時に使ってるんだ。「North, south, east and west」というところを聴いて、設置が正しいか確認するんだよ。あのコーラスは本当に驚くべきものだし、あれは8トラックのレコーダーで録音されたんだ。あんなアルバムを8トラックで録音したというだけでも凄い。あのボーカル・パートは本当に信じられないくらいに素晴らしいよ。彼らは他のアルバムでも信じられないようなものをたくさん書いている。ミック・ボックスは私のお気に入りのギタリストの1人で、まあメンバーほとんど全員お気に入りなのだけど。ドラマーは何度も変わっていて、その中からお気に入りを選ぶのは難しいけれど、ケン・ヘンズレーはジョン・ロードとともにオルガンの神様、究極のヘヴィなオルガンをプレイする。とにかくロウでヘヴィなんだ。お気に入りのギタリストはたくさんいるけれど、ミック・ボックスのプレイを聴くと、特にソロは、ファースト・アルバムであっても、そう、ファースト・アルバムと言えば、「Gypsy」のキーボード・ソロは馬鹿みたいに荒々しい。最初の何枚かのアルバムでプレイしていたベーシストは何と言う名前だったかな(注:ポール・ニュートン)、ゲイリー・セインも良かったけれど、どちらも素晴らしいベーシストさ。彼らのラインナップはディープ・パープルくらい凄かったんだ。70年代初期の素晴らしい作品は、本当にたくさんある。ミュージシャンシップもメロディも素晴らしい。当時のバンドはどれも魂を表出させていたんだ。心からストレートに湧き上がる音楽をやっていたんだよ。「何かを作らなくちゃ」なんて言ってスタジオに入って、何かをコピーするのではなかった。当時の音楽は、本当に特別なんだ。私にとってね。

 

― では、お気に入りのユーライア・ヒープのアルバムはどれですか。「The Wizard」をライヴのイントロで使用していますよね。

 

キング:あの曲や「Rainbow Demon」なんかのムードがね。本当に最高なんだ。イントロやヴォーカル。今私がいるこの部屋で「Easy Livin’」なんかを聴き直すと、新しい発見があるんだ。昨晩『Salisbury』を2回連続で聴いたんだ。最初にヨーロッパ盤、それからアメリカ盤。オリジナルのヨーロッパ盤は、音がこもっていて低音が出過ぎで、聴いているととてもイライラする。というのも、「Bird of Prey」のベスト・バージョンがこっちには入っているんだ。バージョンとしてはベストなのに、音がベストではない。「Bird of Prey」のシングル・バージョンは、ファースト・アルバムのアメリカ盤に入っているんだよ。だけど、これはコーラスが欠けている。アルバム・バージョン用に、後からコーラスが足されたから。「Lady in Black」や「High Priestess」なんかも良い曲だし、他にも良い曲はあるけれど、アメリカ盤の方がずっと音が良い。「Time to Live」は本当にヘヴィだし、ブルータルだ。ギターもヘヴィさ。それから16分くらいあるタイトル・トラック。あの曲には、『Look at Yourself』のようなパートがある。まあ実際はどうかわからないけれど、昨日はそう感じた。収録曲の1つのエンディングに、やはり素晴らしいギター・ワークが入っていて、そこに「Salisbury」のエンディングも含まれている。『Salisbury』は長いこと聴いていなかったからね。昨日久々にチェックしてみようと思ったんだ。それで2つのバージョンを続けて聴いて、間違いなくアメリカ盤の方が音が良かった。だけど、アメリカ盤には「Bird of Prey」が入っていない。ファーストにすでに収録されているからね。複雑な話だよ。ファーストもセカンドも、アメリカ盤とヨーロッパ盤の内容が違うんだ。昨日その違いを聴き比べていて、こんなに良い曲が入っていたのかと驚いたよ。クールな曲、クールなリフ、クールなドライヴ。タイトル・トラックにしても、私はトランペットやサックスなどが大嫌いで鳥肌が立つし、サックスなんて殆ど拷問なのだけど、あの曲のホーンはそれほど悪くない。アレンジが良いせいだろうね。ヴォーカルも良いしギター・ソロ、クールなヴォーカル、オルガンの演奏も良い。2つのバージョンを聴き比べるのは興味深かったよ。お気に入りのアルバムということになると、やっぱり難しいな。ファースト・アルバムを初めて買って、開けた時のこともはっきり覚えている。あの蜘蛛の巣だらけの顔のジャケット。忘れられないよ。そしてレコードをかけながら、写真を眺めてね。実際のライヴではないのだろうけれど、ライヴのシーンのような写真で、オルガンなんかもかっこ良くて。そして音楽も、ブラック・サバスのファーストも同じだけれど、とにかくロウでブルータルで、にもかかわらず演奏は素晴らしい。プログレッシヴな要素もあって、例えばブラック・サバスのファーストのドラムだけを取り出しても、本当に素晴らしいものだよね。ベースだけを聴いてみてもそう。それが、4人同時にプレイされている訳だからね。ユーライア・ヒープも同じく全員が素晴らしい。ドラムも素晴らしいし、ケン・ヘンズレーのプレイは狂気の沙汰だし、ミック・ボックスにも素晴らしいプレイがある。パーティで聴いたらボトルを全部吹き出してしまうだろうね。あまりに良過ぎて。込められている感情が素晴らしすぎるんだ。『Look at Yourself』もびっくりするようなアルバムさ。本当に素晴らしい。ヴォーカル・ラインも凄いし。だけど、『Look at Yourself』はドラムが少々おとなしい。こんなことを私が言うべきではないのだろうけれど、私たちはこれまでにたくさんのアルバムを作ってきたけれど、すべてが私の思ったようなサウンドになっている訳ではないし、すべてを私が決定したわけではない。時に妥協をしなくてはいけないこともあった。思った音を歌えなかったことも、時にはあった。だけど、今はバンドにとってベストなオプションを選択できる状況になっているんだ。というのも、みんなホーム・スタジオを持っているから。スタジオで「あと5分しかない」とか、「もう予算がないから急いでやらなくちゃ」なんていうことを言う必要がない。最初のEPはそんな調子でね。ハンク・シャーマンが「A Corpse without Soul」のギターを一度弾いて、「イマイチだったからもう一度やらせてくれ」と言ったら、エンジニアが「そんな時間はないよ。1日で4曲録音してミックスしなくちゃいけないんだから」なんて言われてね。あれは1日、それとも2日だったかな、1日レコーディングで1日ミックスだったかもしれない、それで「何があっても次のテイクで終わりだ」と言われてさ。凄いプレッシャーだった。実際に収録されたのは、次のテイクだよ。私が『Melissa』のヴォーカルを録った時もそんな感じだった。時間がないから一度ずつしか録れない。リード・ヴォーカルを重ねるのは無理だと(笑)。だから、ああいう仕上がりになったのだけど、出来は良かったと思うよ。独特のフィーリングがあって、もしかするとヴォーカルを重ねなかったせいでそうなったのかもしれない。『Melissa』の時は6日間スタジオを使えたからね、良かったよ。とてもハッピーだった。『Don’t Break the Oath』の時は8日間。昔は一生懸命やって、それでもパーフェクトでない部分を受け入れなくてはいけなかったんだ。まあ、時にはそういうミスややり直したいと思った部分が良い方向に働くこともある。もともとの演奏には、非常に自然なフィーリングがあって、やり直してしまうと、それが失われてしまうなんていうこともあるから。完全に修正するよりも、少々のミスをそのままにしておく方が良いこともあるんだ。そういう訳で、初期の作品、『Melissa』や『Don’t Break the Oath』には完全ではないパートも入っている。

 

― では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

 

キング:日本には本当に行きたいんだ。ほとんど行くことになっていたのだけどね。セットに問題が起こって。スウェーデンから送ったものが、中国で止まってしまった。中国で受け取って上海まで持って行き、そこから東京へ送る予定だったのだけどね。プロモーターと費用を折半して。ところが、コンテナの中身のせいで、これは中国には入れられないと言われたんだ。少なくとも私はそう理解している。さらに、そこまで来る間にも、すでに遅れが発生していた。いくつかの港を経由していて。本当に酷かった。中国経由は二度とやらないよ(笑)。私たちがいつも使っているロケット・カーゴなんかもその輸送会社を使っているということだったから、安全だと思ったのだけどね。そうではなかった。日本には本当に行きたい。私たちのショウはとてもスペシャルで、こんなものは過去に見たことがないだろう。特に新しいマーシフル・フェイトのセットは、過去に誰も見たことがないようなもので、また私たちのステージを見ない限りは再び見ることもないようなものさ。日本でやる時も、もちろんフルのセットを持って行くつもり。世界のどこでもそうしているし、そうでなければプレイしない。日本でプレイするというのは、すべての人にとって素晴らしい経験になるだろう。日本のファン、そして日本という国を経験する私たち自身も含めてね。日本には必ず行くよ。その時までヘヴィでいてくれ。

 

ー マーシフル・フェイトの新作も期待しています。

 

キング:さっきも言ったように、タイトルもカバーもできている。素晴らしい作品になるよ。ハンクからも曲が送られてきているし、私の曲もある。アンディが書いた曲もあって、とても気に入っているんだ。その曲にもうすぐヴォーカルをつけるつもり。「Black Horseman」みたいなイントロだと感じられる曲で、あれよりも長いのだけど、その後ヘヴィになってね。アンディは素晴らしいアイデアを持っているよ。私もタイトルをたくさん思いついていて、『The Institute』はアルバム2枚にわたる物語になるんだ。すでにストーリーは出来上がっている。アンディには曲のタイトルを伝えたし、マネジメントにも教えた。みんな同じフィーリングを共有しないといけないからね。彼らは「まったく新しい生を得ているね、これは凄い!」なんていう感じで、詳細がわかってこれがどんな作品になるのか理解し始めているようだ。『The Institute』について、色々言いたくて仕方がないよ(笑)。発表するまでは黙っているべきなのだけど、次はタイトル・トラックを公開することになる。ツアーをいつ再開できるか見なくてはいけない。というのも、アルバムをリリースするのはそのタイミングになるだろうから。当面の間は曲作りに専念するよ。キング・ダイアモンドだけでなく、他のプロジェクトも続けて行くけれど、ここまで良いアルバム、曲ができたと思ったことは過去にないよ。まったく違ったレベルの作品になる。

 

― ぜひ来年には聴きたいところです。

 

キング:どうだろう。マーシフル・フェイトに関しては、もともと来年の夏ツアーする予定で、今もまだその予定ではあるのだけれど、私もコロナをコントロールできる訳ではないし、保険会社のこともある。そこでは新曲を少なくとも2曲、最初のミニLP、『Melissa』、『Don’t Break the Oath』の曲と共にプレイする予定なんだ。どの曲をプレイするかはすでに決めてある。あと、セットもパソコンで3D化されていて見ることができるのだけど、素晴らしいものだよ。マーシフル・フェイトがそれでライヴをやったら、人々が写真を撮って、それであっと言う間に噂が広まって行くと思う。「何なんだあれは?マーシフル・フェイト?キング・ダイアモンド?オー・マイ・ゴッド!」なんていう感じで。本当にダークなものさ。とてもユニークで、殆ど儀式みたいなもの。新曲はプレイするけれど、その頃はまだマーシフル・フェイトのアルバムは出ていないと思う。レーベルは、キング・ダイアモンドの方、『The Institute』の1枚目を先に出したいと思っている。マーシフル・フェイトが先に出ることはない。だけど、もしこれらのショウが実現するならば、新曲を2曲プレイしよう思っているよ。プランはすぐに変わってしまう状況だけれど、今プレイするならば新曲2曲をやる。来年夏はアメリカのラスヴェガスのフェスティヴァルでプレイする予定で、今年はその後でメキシコの大会場でやるはずだった。クリスマスまでにいくつかマーシフル・フェイトのショウをやる予定で、クリスマスから春にかけて、新しいキング・ダイアモンドのアルバムが出るはず。そしてそれからキング・ダイアモンドのツアーに出るというのがプランで、ヨーロッパやアメリカを回る。新しいアルバムのストーリーに基づいた、完全にアップデートされたセットを組んでね。それが終わったら、新しいマーシフル・フェイトのアルバムが出て、マーシフル・フェイトとしてツアーをやる感じかな。当面の間は曲を書き続けるよ。インスピレーションが湧いているしね。私がやらなくてはいけないこともまだまだたくさんある。私は個々に別々の曲ではなく、全体として複雑なストーリーになっているものを書くから。リサーチもまだまだしなくてはいけない。アメリカだけでなく、世界各地の精神病院の写真を手に入れているんだ。ストーリーはとても不気味な、精神病院と関係のあるもの。だけど、どんな内容なのかは予想もつかないだろう。今までに聞いたこともないような、夢にも思わないようなことが起こる。ただ精神病院が舞台というだけではない。ひねりが利いていて、アルバムにぴったりの内容さ。だいぶ前に書いた小品は、真夜中にキーボードのサウンドをテストしていて思いついた。その時にヴォーカル・パートの一部も思いついてね。ここに出て来る精神病院では何かが起こっていて、普通のところではないんだ。男はたまたまその精神病院にたどり着いてしまう。なぜかについてはここでは明かせないけれど、特別な経験を通じてそこに行ってしまったんだ。意図に反してね。そこで突如、完全に狂っていると思われる物事を見る。そこで見聞きしたものは、到底信じられるものではない。そのうちその主人公を疑うものが現れ、テストにかけようとする。その中のテストの1つが、何と言うか、彼はそこの患者ではないと思っているのだけれど、彼らはそうだと言う。そして彼らは男にヒットソングを歌わせる。タイトルは何かと聞かれるのだけれど、わからない。わからないと言うと、彼らは「知らないのか?」と言う。そして彼らは演奏するんだ。まるでこの世のものとは思えない曲をね。それがこれなのさ。キーボードを弾きながらこんなことを思いついて、それを書き付けなければならなかった。それで急いで妻のリヴィアを呼んで、ここに来てこれを聴いてくれ、素早く録音するのを手伝ってくれと。忘れてしまわないように、ずっとプレイし続けていなくてはならなかった。演奏するのがわりと難しいものだったし。妻のおかげで、無事記録することができたよ。キーボードのサウンドはまるでこの世のものとは思えないようなもので、パラレルワールドか何かの歌みたいだよ。妻にただハミングして聞かせただけで、3日間頭から離れないようなものばかりさ。すべてが正しい方向に向かっている。次のアルバムには本当に大きな期待を抱いているよ。ストーリーを説明してあげられたら良かったんだけどね。将来一緒に仕事をする可能性がある人物に概要を話したら、大興奮していたよ。彼がやることになるかもしれないビジネスにも取り入れるかもしれない。アンディやマネジメントもストーリーは知っていて、とても気に入ってくれている。どこかの精神病院からスペシャル・ライヴをやるなんていうこともできるかもしれない。本当にできるかはわからないけれど。ストリーミングなどでね。とにかく今は非常にポジティヴな時期で、全力で取り組んでいる。大きな期待を抱いているし、どちらのバンドのライヴも素晴らしいものになるよ。

 

 

文 川嶋未来

 

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2021年8月20日発売

 

■マーシフル・フェイト

 

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