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フィリップ・H・アンセルモ
来日独占インタビュー!

パンテラ 楽曲もプレイした来日公演が大盛況!
フィリップ・H・アンセルモ来日独占インタビュー!
『マーシフル・フェイト は ヴィニー・ポールのスタイル、そして パンテラ に影響を与えている』

RELEASE INFO

文・取材:川嶋未来  写真:Takumi Nakajima

大盛況に終わったフィリップ・H・アンセルモ&ジ・イリーガルズの来日公演。パンテラのヴォーカリストとして良く知られているフィリップであるが、エクストリーム・メタルに関する造詣の深さも相当のもの。そしてまた彼は、多くのエクストリーム・メタル・バンドに関わってきた。クライスト・インヴァージョンやヴァイキング・クラウン、スコウアーといった複数のブラック・メタル・プロジェクト。今は亡きキルジョイ率いるデス・メタル・バンド、ネクロフェイジアへの匿名参加。今回多くのパンテラ・ナンバーを披露したイリーガルズにしても、本来はデス・メタル・バンドである。そんな訳で今回は、フィリップのエクストリーム・メタル愛に焦点を絞り、話を聞いてみた。

 

 

― そもそもの音楽との出会いはどのようなものだったのですか。

 

フィリップ:俺は子供の頃、ニューオーリンズのフレンチ・クオーターで育ったんだ。そこで伝統的なマルディ・グラの音楽から、クラシックなロック、というか当時は新しい音楽だったんだけど、レッド・ツェッペリン、ビートルズ、ジミ・ヘンドリクス、ジャニス・ジョップリン、キング・クリムゾン、ムーディ・ブルースなどに接していた。言い忘れているのもあると思うけど。それから昔のテレビ番組。『トワイライト・ゾーン』や『アウター・リミッツ』みたいな番組は、サウンドトラックもクールだっただろ。

 

― では、ヘヴィメタルとはどのように出会ったのでしょう。

 

フィリップ:俺にとっては、ヘヴィメタルはどんなものでもありえる。これは奇妙に思えるかもしれないけど、一番良い例を挙げるとすれば、クイーンの『News of the World』。「Sheer Heart Attack」なんかはヘヴィメタルだろ。ジェスロ・タルなんかもそうだし、レッド・ツェッペリンやブラック・サバスもそう。だけど、俺にとってヘヴィメタルというと、ジューダス・プリースよりはほんのちょっと前、ポール・ディアノ時代のアイアン・メイデンだね。ああいうタイプのヘヴィメタルさ。

 

― NWOBHMとか。

 

フィリップ:その通り。

 

― 1980年頃ですね。

 

フィリップ:80年か81年の頃だね。

 

― その後はよりエクストリームなものに進んでいったのですか。ヴェノムとか。

 

フィリップ:もちろん。そのあたりで初めて、どんな新しいことが起こっているのかに注意を払うようになった。モーターヘッド、ディオ期のブラック・サバス。それからもちろんマーシフル・フェイトはとても重要だった。彼らの最初のEPを見つけてね。『Nuns Have No fun』と呼ぶ人もいるけど、あれは『Mercyful Fate』だよ。店で見かけたんだ。どんなサウンドなのか知りもしなかったけど、これは聴かなくちゃと思って。

 

― あのアートワークだから?

 

フィリップ:そう、それで買ったんだ。ワオ、ぶっ飛んだね。それからヴェノム。俺は『Black Metal』を先に聴いた。それで、これはファーストも聴かなくちゃと思って。その後、すぐに色々なバンドが出て来ただろ。バソリーとか。今80年代を振り返ってみても、ウィッチファインダー・ジェネラルの存在は大きいよ。あのセカンド・アルバム、『Friends of Hell』は大好きだ。ファーストも好きだけどね。『Friends of Hell』は最高だ。それからセイント・ヴァイタスのファースト。とにかく遅くて「何なんだこれは?」という感じだった。それから少し経って、85年(注:実際は86年10月27日)にハロウズ・イヴ、アグノスティック・フロント、モーターヘッドというラインナップのライヴを見た。そこでアグノスティック・フロントを見て、俺のすべてを変えられたんだ。当時俺はまだキッズで、年上のクラブ・バンドに入りたいと思っている奴らとプレイしていたからね。みんなフワフワの髪の毛にスパンコールなんていうスタイルで。ところがアグノスティック・フロントときたら、そんな格好は一切せず、凄まじいエネルギーだろ。これこそ俺がやりたいバンドだと思った。そこからブラック・フラッグ、D.R.I.、クリプティック・スローターと進んでいったんだ。

 

― それは伝説的なライヴですよね。アグノスティック・フロントのファンが暴れすぎて、レミーが怒って演奏をやめてしまい、暴動になったという。

 

ファリップ:あのショウのことを知っているのか。そうなんだよ。俺はあの場にいたんだ。レミー、安らかに眠ってくれ。あの時レミーはとても怒っていたよ。キッズがステージダイブをしまくったせいで、マイクが何度も彼の口にぶつかって。それで一度ステージ裏に引っ込んでしまったんだが、戻って来て(レミーのものまね口調で)「曲を演奏させてくれ。曲を演奏したんだ」って。観客も「オールライト!」なんて言っておきながら、演奏が再開されるとすぐにまたみんなステージダイブを始めた(笑)。それで、怒ったレミーがマイクスタンドを掴んで観客に向かって投げつけたんだ。それが俺の知ってる奴の目に直撃してさ、腫れ上がっていたよ。で、キッズたち、というか俺もだけど、コードやモニターを引っこ抜いたりし始めて。ツアーバスに瓶を投げつけている奴もいた。俺はそれはやってないよ。暴動になってしまったんだ。もちろん良いことではない。その後レミーと仲良くなってね。「あの時のショウにいたんですよ」っていう話をすると、レミーはいつも「オー・マイ・ゴッド。あれは悪かったと思ってる。ニューオーリンズのみんなに謝りたい」って言っていたよ。

 

― あれでアグノスティック・フロントはツアーからドロップされてしまったんですよね。

 

フィリップ:そうなのか。それは知らなかった。あのショウでは、俺たちの友人のジョン・サンチェスがアグノスティック・フロントのギターを務めたんだよ。彼は、ニューオーリンズから1時間くらいのところにあるバトン・ルージュのケイオス・ホードという素晴らしいバンドにいてね。本当に良いバンドだった。ニードル・ダメージ!とにかくギターがヘヴィで。おそらくメタリカと同じくらいの時期に、クランチーなギター・サウンドを出していたよ。メタリカと言えば、彼らの最初の2枚は素晴らしいとは思う。間違いなくファーストは素晴らしいよ。ただ、セカンド・アルバムは、マーシフル・フェイトのサードと同じ日に買ったんだよ。『Don’t Break the Oath』。このアルバムは、ターンテーブルに乗りっぱなしだったよ。俺にとっては、マーシフル・フェイトこそがお気に入りだったんだ。スレイヤーも忘れるわけにはいかない。彼らは素早く音楽性が変わっていくバンドだった。初めてスレイヤーを聴いたのは、『Metal Massacre』に入っていた「Aggressive Perfector」だった。「これは最高だ」って思ってね。だけど、ファースト・アルバムが出たときは、とても気に入ったけど、このバンドがどういう方向に向かって行くのかがわからなかった。その後『Haunting the Chapel』を聴いて、「これは地球上で最高のバンドになるかもしれない」と思っていたところへ『Hell Awaits』だろ。『Hell Awaits』には人生を変えられたよ。ヘル・アウェイツ!今でも最もヘヴィなアルバムの1つさ。大好きだよ。

 

― やはり『Reign in Blood』よりも『Hell Awaits』ですか。

 

フィリップ:そうだ。一度ケリー・キングと話したことがあるんだ。ケリーにこう言ったんだよ。「『Hell Awaits』は展開がたくさんあるね」って。そしたらそれは、完全にマーシフル・フェイトからの影響だと。マーシフル・フェイトの最初のEPに入っていた「A Corpse without Soul」という曲があるだろ。あれとスレイヤーの「Haunting the Chapel」は、曲のほうね、イントロが同じなんだよ(訳注:実際はおそらく「Captor of Sin」)。続けて聴いてみれば、俺の言っていることがわかるはずさ。同じ構成なんだ。スレイヤーがマーシフル・フェイトから影響を受けているというのは素晴らしいことだよ。

 

― では、パンテラにはマーシフル・フェイトの影響はあるのでしょうか。

 

フィリップ:パンテラのメンバーたちに、本当のヘヴィメタルを聴かせるのには凄く時間がかかった。面白いことに、キング・ダイアモンドのドラム・サウンドを気に入ったのは、ヴィニー・ポールだったんだよ。キング・ダイアモンドのファーストのドラムはミッキー・ディーだっけ?そうだよな、その後モーターヘッドに入ったんだから。で、ヴィニーがドラム・トーン、そしてキング・ダイアモンドをとても気に入っていたので、マーシフル・フェイトも聴いてみろって言ったんだ。だから、奇妙なことではあるけれど、マーシフル・フェイトはヴィンスのスタイル、そしてパンテラに影響を与えていると言える。ヴィンスがドラム・パターンを考えて、それにみんなが合わせて行くということもやっていたからね。

 

 

 

― ハードコアとの出会いは、例のアグノスティック・フロントのライヴだったのですか。

 

フィリップ:目の前で見たのは、そのアグノスティック・フロントが最初だった。若いころの俺の生活は、普通とは違ったんだ。俺は常にバンドをやって、ライヴをやっていたから。そのせいで、見られなかったギグがたくさんあるよ。ヴォイヴォドとケルティック・フロストが来たときも、2時間くらい離れたクソみたいなバーでプレイしなくちゃならなくて。本当に頭に来たよ。

 

― それ以前は、どのようにしてハードコアと出会ったのでしょう。

 

フィリップ:87年にテキサスに引っ越して、最初に友人になった奴らの中に、熱心なレコードコレクターがいたんだ。もちろんもともとラモーンズなどは好きだったのだけど、その友人の中の一人が、俺にディスチャージの『Hear Nothing See Nothing Say Nothing』を教えてくれた。まさにチェインソー・ギター・サウンド。とても気に入ったよ。もう一人の友達に「セイント・ヴァイタスというバンドを知ってるか?」って聞いたんだ。奴は何でも持ってたからね。それで仲良くなって、いろいろと古いパンク・バンドを教えてくれた。ザ・デッド・ミルクメンとか。あと、ギビー・ヘインズのバンドは何だっけ?そう、バットホール・サーファーズだ。とても変なバンドでさ。アルバムのタイトルは忘れてしまったけど、一番有名なやつ。ドラマーが二人いて、”There’s a time to fuck and a time to crave, I smoke Elvis Presley’s toenails when I wanna get high!”っていうやつ(注:「The Shah Sleeps in Lee Harvey’s Grave」)。これが入ってるアルバムは最高だよ。ブラック・フラッグはダークで他とは違っていて、とてもハマった。87−88年のころは、1つのバンドしか聴かないという時期があった。あまりに興味深すぎてね。ヴォイヴォドやケルティック・フロスト、そしてブラック・フラッグもその中の1つだった。他にも忘れているバンドがいるかもしれないけど、ブラック・フラッグは終わりがなかったね。さかのぼってたくさんの作品を聴きまくった。お気に入りは(ヘンリー)ロリンズがいたときだ。ロリンズの最初のバンドは何だっけ。3文字の。あれも良いバンドだったよな。

 

ー S.O…

 

フィリップ:そう、S.O.A.。あれもとても良かった。やっぱりディスチャージとブラック・フラッグだね。

 

ー ブラック・フラッグだと、特に『My War』のB面あたりですか。スラッジのルーツとも言われていますが。

 

フィリップ:あれはスローでドローンっぽくて。「Nothing Left Inside」、「Three Nights」、「Scream」。I’ll scream in your ear!まあ、でもやっぱり「Nothing Left Inside」だね。あの曲には当時俺が求めていたものがすべて入っていた。とてもスローでさ。俺は今でもスレイヤーも大好きで、ずっとスラッシュ・メタルが大好きだった。スラッシュのコレクションも膨大だよ。デモもたくさん持っていたのだけど、ハリケーン・カトリーナのせいで多くを失ってしまった。クリエイターが出てきて、彼は少しだけ他のバンドより速かった。ヴァイキングが出てきて、彼らも他のバンドより少しだけ速かった。他にもいろいろいるよ。コロナーとか。他に俺が好きだった変なバンドというと、メコン・デルタだね。クレイジーなバンドさ。ヴォーカリストも素晴らしい。普通とは違うシンガーだけどね。奇妙なクリス・コーネルとでも言うのかな。ファースト・アルバムには「Heroes Grief」という曲が入っていたな。

 

 

― ネクロフェイジアに入ったきっかけは何だったのでしょう。どうやってキルジョイと知り合ったのですか。

 

フィリップ:もともと『Season of the Dead』が大好きで。それから『Fun at the Funeral』、いや、これはまた別の変なバンドだ。ジェスターズ・オブ・ディスティニー。

 

― いましたね。アルバム1枚で消えてしまいましたが。

 

フィリップ:厳密にはアルバム1枚とカバー集のEPも出してる。(訳注:調べてみたら、17年にも復活作をリリースしていました!)それはともかく、俺はネクロフェイジアの大ファンだったんだ。友達の多くは『Season of the Dead』を嫌っていたけど、俺は大好きだった。ロウで、テーマもホラーだろ。キルジョイと会ったのは、俺たちが奴のホームタウンでプレイしたとき。90年頃かせいぜい91年で、まだ俺たちも有名じゃなかった頃だよ。そのライヴで、「キルジョイ」というバンド(訳注:ネクロフェイジアのヴォーカリスト、キルジョイが、ネクロフェイジアの活動休止時期にやっていたバンド)がオープニングだと教えられたんだ。それで、キルジョイというのは、あのネクロフェイジアのヴォーカリストではないのかと思ってね。おそらく誰かが俺たちを引き合わせてくれて、俺は「ネクロフェイジアの大ファンなんだ」と伝えたんだよ。それで手紙をやりとりしたり、電話で話したりするようになった。94年に俺がクライスト・インヴァージョンのファースト・デモを作って、奴に聴かせたんだ。そしたらめちゃくちゃ気に入ったようだった。それで、俺にバンドに加入して欲しいと。あのアルバムを作ったときは、ネクロフェイジアの本物のスピリットに忠実にやりたいと思った。あのヴァイブに自分自身を合わせて曲を書いたよ。

 

― つまりキルジョイがパンテラのオープニングをやったということですか?

 

フィリップ:そうだよ。

 

― それは知りませんでした。ずいぶんと面白い組み合わせですね。

 

フィリップ:あのときは俺たちの前に1つスラッシュ・バンドが出て、あいつらは本当にクソ野郎だったな、で、キルジョイは一番最初に出たんだ。確かに変な組み合わせだよな。俺もまったく予想していなかったよ。でも、本当にそういう経緯だったんだ。

 

 

 

文・取材 川嶋未来

写真 Takumi Nakajima

 


 

バック・カタログ日本盤初登場 1月24日 発売

フィリップ・H・アンセルモ&ジ・イリーガルズ

1st『ウォーク・スルー・エグジッツ・オンリー』

2nd『チュージング・メンタル・イルネス・アズ・ア・ヴァーチュー』

日本盤ボーナストラック2曲収録 各2,750円(税抜 2,500 円)

 

『ウォーク・スルー・エグジッツ・オンリー』

【CD収録曲】

01. ミュージック・メディア・イズ・マイ・ホアー
02. バタリオン・オブ・ゼロ
03. ビトレイド
04. ユサーパー・バスターズ・ラント
05. ウォーク・スルー・エグジッツ・オンリー
06. ベッドルーム・デストロイヤー
07. ベッドリドゥン
08. イレレヴァント・ウォールズ・アンド・コンピューター・スクリーンズ
《日本盤限定ボーナストラック》
09. コンフリクト
10. ファミリー・フレンズ・アンド・アソシエイツ

 

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『チュージング・メンタル・イルネス・アズ・ア・ヴァーチュー』

【CD収録曲】

01. リトル・ファッキング・ヒーローズ
02. ユートピアン
03. チュージング・メンタル・イルネス
04. ジ・イグノーラント・ポイント
05. インディヴィジュアル
06. デリンクエント
07. フォトグラフィック・トーンツ
08. フィンガー・ミー
09. インヴァリッド・コラブリン・フロウズ
10. ミックスド・ルナティック・リザルツ
《日本盤限定ボーナストラック》
11. アグリー・マグ
12. ピッグス・キッシング・ピッグス

 

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