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フィリップ・H・アンセルモ&ジ・イリーガルズ 来日公演 独占ライヴ・レポート

パンテラ 最後の来日から約19年フィル・アンセルモが歌うパンテラが日本で実現!
急逝したC.O.C.リード・マレンに捧ぐ追悼曲も披露!

LIQUIDROOM | 2020/01/28

フィリップ・H・アンセルモ&ジ・イリーガルズ 来日公演 独占ライヴ・レポート

パンテラ 最後の来日から約19年フィル・アンセルモが歌うパンテラが日本で実現!
急逝したC.O.C.リード・マレンに捧ぐ追悼曲も披露!

LIQUIDROOM | 2020/01/28

文:川嶋未来 写真:Takumi Nakajima

ついに日本にやってきたフィリップ・H・アンセルモ&ジ・イリーガルズ。もともとは昨年4月に来日予定であったが、体調不良により延期となっていた公演であるから、余計にみんな首を長くしていたことだろう。この日は平日、しかも季節外れの大雨、かつめちゃくちゃ寒い。だが、そんなことは一切関係ない。会場となったLIQUIDROOMは後ろまでギッシリの超満員御礼。それはそうだろう。あのフィル・アンセルモがパンテラのナンバーを披露するのだ。パンテラの最後の日本公演(というよりも、これがパンテラのラスト・ライヴだ)は、2001年の8月。あれから19年弱。会場には、当時まだ生まれていなかったファンもいるであろう。期待が高まらないはずがない!

 

場内のBGMはマーシフル・フェイト、ウィッチファインダー・ジェネラル、ペンタグラム、ラモーンズ、シージにアグノスティック・フロントと、明らかにフィルの選曲とわかるもの。ステージ裏ではそのフィルが他のメンバーを集め、円陣を組んで気合いを入れている。そしてBGMは定番の「Down on Phillip’s Escalator」へと切り替わる。(「これ、誰の曲か答えてみろ」とフィルにいきなり振られるも、即答できず。正解はテッド・ニュージェントがやっていたアンボイ・デュークス。)

 

 

ステージにイリーガルズのメンバーが登場し、インスト曲の演奏が始まる。これは、イリーガルズのセカンド・アルバム、『チュージング・メンタル・イルネス・アズ・ア・ヴァーチュー』に収録されている「Utopian」という曲からの抜粋だ。90年代にフィルがやっていたブラック・メタル・プロジェクト、クライスト・インヴァージョンのリフが転用されているらしい。そしてフィルが現れると、耳をつんざくばかりの歓声が。まずは、セカンド・アルバムのオープニング・ナンバー、「Little Fucking Heroes」だ。メンバーのヘッドバンギングもとにかく激しい。続いては、「次はおぞましい曲だ」と紹介された複雑怪奇な「Choosing Mental Illness」。「ギクシャクした聞きづらいもの」という、イリーガルズのアイデンティティを体現したような曲である。変拍子、凄まじいブラスト、複雑な展開、連発されるキメ。「イリーガルズはエクストリーム・メタル・バンドだ」というフィルのMCどおり、彼のアンダーグラウンド精神全開の曲が続いていく。珍しかったのが「The Better」だ。これはアルバム未収録曲。フィル曰く、彼がやっているゴシックっぽい別プロジェクト、En Minor風のナンバーであり、これまでイリーガルズのライヴで数度披露されたことがあるだけとのこと。ライトを落とし、ムーディに演奏されたイリーガルズらしからぬこの曲は、急逝したC.O.C.のドラマー、リード・マレンに捧げられた。

 

 

 

 

ここまでで約30分。「パンテラやらないのか!」と不安になったオーディエンスもいたかもしれない。だが心配無用。スペシャルセットはここからだ。「今からやる曲は、ヴィニー・ポール、そしてダイムバックに捧げる」というフィルの言葉に、オーディエンスからは絶叫が漏れる!そして、いきなり「Mouth for War」だ!冒頭から大合唱。日本では、マイクを観客に向けて歌わせようとしても、なかなかうまくいかないことが多いが、今日は何の心配もなし。ここまできちんとした大合唱を見る機会もなかなかない。「Becoming」、「Yesterday Don’t Mean Shit」と、往年の名曲が惜しげもなく披露されていく。クラウドサーフにモッシュ、サークル・ピット。場内からは聞こえるのは殆ど悲鳴。「イリーガルズはもともとはデス・メタル・バンド。なのに、こいつらは1週間でパンテラ・セットを覚えた凄いやつらだ」と、メンバー一人一人を紹介していく。

 

 

 

 

 

 

さらにフィルはMCで、ロボットレストランに行ったことも報告。そう、このライヴの前日、イリーガルズ、オープニングを務めたオーストラリアのキング・パロットのメンバーとで、新宿にあるロボットレストランに行ったのだ。最初は「これが90分も続くのか?」と頭を抱えていたフィルだが、ショウのあまりにクレイジーぶりに圧倒された様子。ライヴ直前も「いまだにロボットレストランで受けた脳のダメージが治ってない気がする」と言っていた。
続く快速ナンバー「Strength beyond Strength」に場内はますますヒートアップ。続けて「Goddamn Electric」が、チラリとながら披露される。そして歴史的名曲「Walk」!イントロだけで絶頂に達してしまう曲だ。当然のように、場内の盛り上がりはピークに。「Domination」~「Hollow」のメドレーが終わったところで、本編終了。

 

 

 

これで素直に帰宅するオーディエンスなどいるはずもない!そして、嵐のようなアンコール・コールに応えないバンドなどいるはずもない!イリーガルズのメンバーたちは、何を演奏するか、ステージ袖で相談を始めている。つまり、これは予定調和のアンコールではないということ。実際、事前に配られたセットリストにアンコールの記載はなし。(というより、蓋を開けてみれば予定とは全然違うセットになっていたのだが。)「パンテラのすべてのヴァイブが詰まった曲だ。みんな2−3回は聞いたことあるはず」とプレイされたのは、「A New Level」!!これでもかという盛り上がりを見せ、熱すぎるライヴは、お決まりのフィルによるアカペラ、「天国への階段」で終了。

 

「パンテラは常にセットリストを変えていくバンドだった」というフィルのMCがあったが、実際、名古屋では「I’m Broken」、「This Love」、「Fucking Hostile」をプレイ。大阪は東京と近い内容であったが、パンテラ時代もプレイしたことがないという「We’ll Grind That Axe for a Long Time」(渋すぎるだろ)や、「Sandblasted Skin」が披露された。大阪では、「全編パンテラのライヴも見てみたいか?ならプロモーターに、また俺たちを呼ぶよう言ってくれ!」なんていうMCも聞かれた。そんなことを言われると、早くも再来日を期待してしまいたくなるではないか。

 

 

 

文 川嶋未来
写真 Takumi Nakajima

 

 

【セットリスト】
2020.1.28(火)LIQUIDROOM

Little Fucking Heroes
Choosing Mental Illness
Bedridden
Photographic Taunts
Mixed Lunatic Results
The Better (Dedicated to Reed Mullin from C.O.C.)
Mouth for War (PANTERA cover)
Becoming (PANTERA cover)
Yesterday Don’t Mean Shit (PANTERA cover)
Strength Beyond Strength (PANTERA cover)
Goddamn Electric (PANTERA cover) (Partial)
Walk (PANTERA cover)
Domination / Hollow (PANTERA cover)
(Encore)
A New Level (PANTERA cover)

 


 

バック・カタログ日本盤初登場 1月24日 発売

フィリップ・H・アンセルモ&ジ・イリーガルズ

1st『ウォーク・スルー・エグジッツ・オンリー』

2nd『チュージング・メンタル・イルネス・アズ・ア・ヴァーチュー』

日本盤ボーナストラック2曲収録 各2,750円(税抜 2,500 円)

 

 

『ウォーク・スルー・エグジッツ・オンリー』

【CD収録曲】

01. ミュージック・メディア・イズ・マイ・ホアー
02. バタリオン・オブ・ゼロ
03. ビトレイド
04. ユサーパー・バスターズ・ラント
05. ウォーク・スルー・エグジッツ・オンリー
06. ベッドルーム・デストロイヤー
07. ベッドリドゥン
08. イレレヴァント・ウォールズ・アンド・コンピューター・スクリーンズ
《日本盤限定ボーナストラック》
09. コンフリクト
10. ファミリー・フレンズ・アンド・アソシエイツ

 

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『チュージング・メンタル・イルネス・アズ・ア・ヴァーチュー』

【CD収録曲】

01. リトル・ファッキング・ヒーローズ
02. ユートピアン
03. チュージング・メンタル・イルネス
04. ジ・イグノーラント・ポイント
05. インディヴィジュアル
06. デリンクエント
07. フォトグラフィック・トーンツ
08. フィンガー・ミー
09. インヴァリッド・コラブリン・フロウズ
10. ミックスド・ルナティック・リザルツ
《日本盤限定ボーナストラック》
11. アグリー・マグ
12. ピッグス・キッシング・ピッグス

 

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