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ナイト・レンジャー

デビュー40周年記念ツアー
来日公演の模様をレポート

昭和女子大学 人見記念講堂 | 2022/10/23

ナイト・レンジャー

デビュー40周年記念ツアー
来日公演の模様をレポート

昭和女子大学 人見記念講堂 | 2022/10/23

文:川嶋未来 / 写真:Mikio Ariga 【協力】ウドー音楽事務所 

パンデミックも多少落ち着いてきた感もあり、嬉しいことに海外アーティストによる公演も頻繁に行われるようになってきた。そんな中、ナイト・レンジャーも、3年ぶりに日本にやって来ることに。今回はデビュー40周年記念のツアーであり、東京は昭和女子大学人見記念講堂での3晩連続公演。私が足を運んだのは3晩目の10月23日(日)。

 

 

 

開演時間を5分ほどすぎたところで客電消灯。エルヴィス・コステロの「Pump It Up」が流れる。そしてメンバーが登場。前日、前々日ともに、「(You Can Still)Rock in America」でスタートという事前情報を得ていた(というか、ここ最近のライヴはほぼそのパターン)ので、今日も当然そうだろうと油断していたら、何といきなり「This Boy Needs to Rock」からスタート!ご存知、85年のサード・アルバム『7 Wishes』収録のハードロック・ナンバーだ。しかも、ギター・ソロから「Highway Star」に寄り道するパターンで、これはここ最近ほとんど披露していないはず。いきなりレアな流れに興奮が高まる。続いては再び『7 Wishes』から、「Four in the Morning」。美しいポップなナンバーだが、コーラスのハーモニーもバッチリ。ブラッド・ギルス、ケリ・ケリーのギター・ソロも、流れるように淀みがない。(当たり前だけど。)そのまま間髪入れずに、デビュー・アルバム『Dawn Patrol』収録の名曲、「Sing Me Away」へ。ドラムのケリー・ケイギーがヴォーカルをとるナンバーだ。場内の熱気もどんどんと高まっているのがわかる。

 

 

 

 

「東京での第3夜。今晩も良い曲をお届けするよ」という紹介でプレイされたのは、「Coming of Age」。90年にリリースされたダム・ヤンキースによるデビュー・アルバムのオープニング・ナンバーだ。イントロを聴いた瞬間に「あの曲だ!」とわかる印象深すぎる曲である。新作のタイトル『ATBPO』をきちんと覚えているか、オーディエンスに確認した後、そのニュー・アルバムから「Bring It All Home to Me」。ベテラン・バンドの場合、新曲を披露すると、露骨に会場内に「新しいのはいいからクラシックをお願いしますよ〜」という雰囲気が蔓延することがあるが、この日はこの曲でも場内のヴォルテージが下がらないのだから凄い。そこから続け様に「Call My Name」のピアノ・イントロへ。デビュー・アルバムに収録の、しっとりとしたスローナンバーで、2人のギタリストによるソロも実にエモーショナル。「俺たちは全員カリフォルニア育ち」と、メンバー5人の出身地を紹介、となれば、次はもちろん「Growin’ up in California」。11年の『Somewhere in California』のオープニング曲で、ライヴではあまり披露されることのないディープ・カットだ。それにしてもジャック・ブレイズの声の出方は驚異的。あれで本当に68歳なのだろうか?続いては「The Secret of My Success」。87年の4thアルバム収録のナンバーで、セットリストの常連でもある。そして「Eddie’s Comin’ Out Tonight」。デビュー・アルバムに入っている80年代らしいヘヴィでハードな曲だが、今年はあまりプレイされておらず、昨晩もその前の晩も披露されていない。ブラッドもケリも弾きまくりだ。

 

 

 

ここでケリ・ケリーが一旦舞台袖に引っ込み、アコースティック・ギターを手に再び戻って来る。そして披露されたのが、ダム・ヤンキースの名曲「High Enough」。「ナイト・レンジャーのハートでありソウルだ」と紹介された「Goodbye」は、『7 Wishes』収録の美しいナンバー。ケリー・ケイギーがステージ・フロントまで出てきて、ひたすらエモーショナルな熱唱を聴かせる!『Midnight Madness』収録の「When You Close Your Eyes」でも、オーディエンスはテンションが上がり続ける。

 

 

 

そして誰もが知るあのイントロが炸裂!そう、「Don’t Tell Me You Love Me」だ!デビュー曲のオープニングというのは、多くのファンにとって思い入れの深いものになりがちだが、この曲はその代表だろう。これぞ歴史に残る名曲だ。ブラッドとケリも所狭しと駆け回る。メンバー紹介をしたところで本編が終了。昨晩はそのままアンコールに突入したようだが、この日は一旦5人はバックステージへ。

 

 

 

 

「アンコールはアレとアレだろうなあ」なんて考えていると、「ブラッド・ギルスがオジー・オズボーンのバンドでギターを弾いていたことを知っているか?」というジャックの問いかけが。(まあ、この会場にいて、それを知らない人はいないだろうけれど。)「ブラッドはオジーの曲を覚えているかな?聴きたい奴は手を挙げてくれ」という呼びかけに、もちろん会場中が挙手。「Crazy Train」のイントロが飛び出すと、会場のヴォルテージはマックスに!1番+ギター・ソロというショート・ヴァージョンだが、これには当時を思い出し、涙を禁じ得ない。続いて美しすぎる「Sister Christian」、そして最後はもちろん「(You Can Still)Rock in America」。これ以上ないエンディングだ。ライヴの終わりを告げるSE、ブルース・スプリングスティーンの「Born in the USA」が鳴り響く中、5人はステージからピックをバラまくなど、最後までファン・サービスを忘れない。「日本のファンとは特別な絆を感じている」と言うナイト・レンジャー。その絆を実感させてくれた、あっという間の、そして最高の1時間半。定番の大名曲あり、意外なディープ・カッツありと、なかなか興味深いセットの東京第3夜であった。

 

 

 

 

 

文:川嶋未来 / 写真:Mikio Ariga 【協力】ウドー音楽事務所

 


 

【セットリスト】
2022.10.23(日)昭和女子大学 人見記念講堂

  1. This Boy Needs To Rock
  2. Four in the Morning
  3. Sing Me Away
  4. Coming Of Age
  5. Bring It All Home To Me
  6. Call My Name
  7. Growin’ Up in California
  8. The Secret Of My Success
  9. Eddie’s Comin’ Out Tonight
  10. High Enough
  11. Goodbye
  12. When You Close Your Eyes
  13. Don’t Tell Me You Love Me
  14. Crazy Train
  15. Sister Christian
  16. (You Can Still)Rock in America

 

【メンバー】
ジャック・ブレイズ(ベース/ヴォーカル)
ケリー・ケイギー(ドラムス)
ブラッド・ギルス(ギター)
エリック・リーヴィー(キーボード)
ケリ・ケリー(ギター)


 

 

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2021年8月6日発売

ナイト・レンジャー

『ATBPO ~アンド・ザ・バンド・プレイド・オン~』

CD

【CD収録曲】

  1. カミング・フォー・ユー
  2. ブリング・イット・オール・ホーム・トゥ・ミー
  3. ブレイクアウト
  4. ハード・トゥ・メイク・イット・イージー
  5. キャント・アフォード・ア・ヒーロー
  6. コールド・アズ・ディセンバー
  7. ダンス
  8. ザ・ハーデスト・ロード
  9. モンキー
  10. ア・ラッキー・マン
  11. トゥモロー
  12. セイヴィアー[ボーナストラック]
  13. ザ・ハーデスト・ロード(アコースティック・ヴァージョン)[日本盤限定ボーナストラック]