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ライオット

ライオットがアコースティック・セットに初挑戦!
フル・スケール・ショーを含む約2時間半にも及ぶ来日公演の模様をレポート!

CLUB CITTA' | 2019/10/06

ライオット

ライオットがアコースティック・セットに初挑戦!
フル・スケール・ショーを含む約2時間半にも及ぶ来日公演の模様をレポート!

CLUB CITTA' | 2019/10/06

文:川嶋未来 写真:野田雅之

ライオットがまたまた日本にやってきた。昨年9月のMETAL WEEKENDに続き、2年連続(というか昨年は2回来ている)の来日公演。いかにその人気が根強いものであるのか、よくわかる。今回は第1部がアコースティック・セットという、あまりにも意外なスペシャル企画。ドン・ヴァン・スタヴァンも、「俺たちは”クワイエット”ライオットじゃないからさ」というジョークを飛ばしていたが、彼らにとっても初挑戦となるアコースティック・セットのスペシャル感は相当のもの。本番前のサウンドチェックでも、アコースティック部分を入念にやっていたのが印象的であった。

 

 

 

ジャジーでオシャレなイントロ、ビリー・ジョエルの「New York State of Mind」が終わり、バンドのメンバーが登場。何と全員椅子に腰かけているではないか。まあ、アコースティック・セットなのだから当然ではあるのだけど。ちなみにお客さんもスタンティングではなく、きちんと着席状態だ。本当にこれがライオットのライヴなのかと考えていると、いきなり「Narita」からスタート!これが実に素晴らしい。実力は折り紙付きのヴォーカリスト、トッド・マイケル・ホールはややメタル色を抑えて歌っているだろうか。実にアコースティック・セットにぴったりだ。ドラムのフランクは、コンガと足にくくりつけた鈴でリズムを刻む。続く「Tokyo Rose」は、原曲を知らなければ普通にこういう曲なのだと思ってしまうほどのハマり具合。「Land of the Rising Sun」は、アコギ2本のハーモニーが実に美しい。トッドに一緒に歌うよう要求されたオーディエンスは、最初少々戸惑っていた感もあったが、最後には大合唱。次の「Altar of the King」、「Outlaw」は、昨日はエレクトリック・セットで披露されていた。続く「In Your Eyes」ではフランクがピアノを披露。この曲は、アコースティック・セットという特別企画だからこそセットリストに乗ったもの。これまでほとんどライヴでは披露されていないレアナンバーだ。とにかく美しくエモーショナル。アコースティック・セットのラストを飾ったのは「Until We Meet Again」。マーク・リアリに捧げられたこの美しいナンバーも、今回のスペシャル企画だからこそプレイされた曲。「トッドは世界最高のヴォーカリストだ。きっとマークもトッドのことを気に入っただろう。」というマイク・フリンツのMCも泣かせる。第1部アコースティック・セットは全7曲40分。バンド自身も含め、当初「ライオットがアコースティック・セット?」という驚きもあったことだろうが、蓋を開けてみれば大成功も大成功。ドンも「アコースティックのアルバムを作ってみようかと思った」と言っていたほど。マイクによれば、マーク・リアリは「本当に良い楽曲はどんな楽器でプレイしても良いものだ」と言っていたそうだが、まさにそれを証明することとなったこのスペシャル企画。ライオットの楽曲が持つメロディの素晴らしさを、再認識したファンも多かったことだろう。

 

 

 

 

約30分間の休憩を経ての第2部は、もちろんいつものライオット。正装したメンバーが登場、オーディエンスも総立ちだ。まずは「Victory」から「Flight of the Warrior」。「Flight of the Warrior」はもともと大名曲だが、何度見てもライヴでの破壊力に圧倒される。当然のように大合唱が巻き起こる。14年の『Unleash the Fire』収録、ヘッドバンギング必至のヘヴィ・ナンバー「Bring the Hammer Down」は、今年になってセットリストに乗るようになってきた曲だ。「On Your Knees」におけるトッドのハイトーンはとにかく凄い。そのままなだれこんだ「Metal Soldiers」では、フォーメーションも見せる。「Fall from the Sky」は実にライオットらしい曲。これで燃えないメタル・ファンなんていないのでは?「40年前のオールドスクール」と紹介された『Narita』収録の「49er」も、今年になってセットリスト入りし始めた曲。初期のライオットらしい、実にカッコいいロックンロール・ナンバーだ。続く『Nightbreaker』収録、意外な選曲の「Destiny」では、トッドがドンの帽子を奪ったり、2人でキスをしたりとお茶目な面も見せる。レアナンバーが続いたあとは、大定番、「Johnny’s Back」。「みんなこの曲は知ってるだろ。一緒に歌ってくれ」というトッドの呼びかけに応え、オーディエンスも大合唱。この曲のエンディングのカッコよさは異常だ。「次の曲は遅いから、みんな寝ちゃうかもしれないな」という前振りから結局疾走ナンバーというお約束でプレイされたのは、これまた珍しい『The Privilege of Power』収録の「Storming the Gates of Hell」。ギタリスト2人による短いギターソロ・コーナーを挟んで、再び名作『Thundersteel』から「Bloodstreets」、そして『Unleash the Fire』収録の「Take Me Back」。これら2曲は、昨晩はアコースティック・セットで披露されていたもの。「Angel’s Thunder, Devil’s Reign」に続いて、またまた『Nightbreaker』から「Magic Maker」というレアナンバー!実にバラエティに富んだセットリストだ。そして新作から「Heart of a Lion」と続いていくが、トッドの歌はますます冴えわたるばかり。一切疲れを感じさせないのだから、彼の喉は一体どうなっているのだろう。「What time is it?」とくれば、当然テキーラタイム!「Swords and Tequila」で大合唱のあとは、永遠のクラシック「Warrior」。大興奮の大合唱で会場全体が1つになったところで本編が終了。ここで一旦メンバーが引っ込むが、これで終わりのわけがない。

 

 

 

 

凄まじいライオット・コールに応え、アンコールは「Road Racin’」から。40年前に書かれた曲だが、最新ナンバーと並んでも一切の違和感がないのが凄い。で、「ラストは当然アレだろうなあ」とみんなが思っているところで一旦「Sign of the Crimson Storm」を挟んだ上で、「Thundersteel」!もちろん場内の熱気は大爆発。最高すぎるエンディングだ。「Road Racin’」と「Sing of the Crimson Storm」はもともとセットリストに書かれていなかったので、お客さんの盛り上がりを受けて急遽追加されたのだろう。それも納得、凄まじいまでの大盛り上がりのライヴであった。

 

 

 

 

 

 

アコースティック・セット40分、エレクトリック・セット110分のトータル2時間半。定番の超名曲からレア曲までがぎっしりと詰め込まれた、これで満足しないヘヴィメタル・ファンなんていないであろうという一夜であった。来年もまたぜひ来日してほしいですね。

 

 

 

文:川嶋未来

写真:野田雅之

 

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Setlist

 

[ACOUSTIC SET]

  1. Narita
  2. Tokyo Rose
  3. Land of the Rising Sun
  4. Altar of the King
  5. Outlaw
  6. In Your Eyes
  7. Until We Meet Again

[ELECTRIC SET]

  1. Armor of Light
  2. Flight of the Warrior
  3. Bring the Hammer Down
  4. On Your Knees
  5. Metal Soldiers
  6. Fall From the Sky
  7. 49er
  8. Destiny
  9. Johnny’s Back
  10. Storming the Gates of Hell
  11. Bloodstreets
  12. Take Me Back
  13. Angel’s Thunder, Devil’s Reign
  14. Magic Maker
  15. Heart of a Lion
  16. Swords and Tequila
  17. Warrior
  18. Road Racin’
  19. Sign of the Crimson Storm
  20. Thundersteel