フィンランドのフォーク・メタル・バンド、Verikalpaがニュー・アルバムをリリース。と言うことで、ヴォーカリストのヤニに話を聞いてみた。
― ネット情報によると、バンドの結成は06年ということになっています。一方でファースト・アルバムのリリースは18年と、ずいぶんの年月が経っていますね。
ヤニ:曲を書き始めた時は、俺1人でやっていたんだ。自分のためだけにね。バンドも何もやっていなかったから。それからAurora Nocturnaというバンドに、ヴォーカリストとして加入した。05年頃だったと思う。そこでベースのサミに会った。曲作りという点に関して、彼とは共通点がたくさんあったから、何か一緒にやろうという感じになって。だけど、結局何事も起こらないまま、月日が過ぎて行った。15年になってやっときちんとバンドをやろうということになってね。捨ててしまうには惜しい曲ができていたから、他のメンバーを探して。それが思いのほかうまくいった。という訳で、端的に言うと、このバンドの活動を開始したのは15年ということなのさ。
― Verikalpaは通常フォーク・メタル・バンドだとされますが、具体的にはどのような音楽をやっていると言えるでしょう。
ヤニ:正直バンドをカテゴライズをするのはあまり好きではないな。確かにフォーク・メタルが俺たちの基礎ではあるけれど、メロディック・デス・メタルのヴァイブや80年代のロックのヴァイブもたくさん聴こえると思うよ。
― 具体的にはどのようなバンドから影響を受けているのでしょう。
ヤニ:5大バンドは、Finntroll、Korpiklaani、Moonsorrow、Turisas、Ensiferum。だけど、Children of Bodomからの影響も受けているよ。
― ニュー・アルバム『Tuomio』がリリースになります。過去の作品と比べて、どのようなところが進化、変化していると言えるでしょう。
ヤニ:間違いなくプロダクションさ。曲作りについては変化をさせておらず、すべて今まで通りだった。だけど、実際レコーディングが始まると、風景の変化があった。Sonata Arcticaのパシ・カウッピネンがエンジニアで、とても楽しく仕事ができたよ。
― 今回パシを起用した経緯はどのようなものだったのでしょう。
ヤニ:俺たちのドラマー、ヤリが以前のバンドを通じて彼を知っていてね。Studio 57でレコーディング経験があったんだ。彼と仕事をすることで、過去の3枚のアルバムのネガティブなものを、ポジティブなものに変えられると感じた。風景を変えるのは必然で、今回それが実行できて良かったよ。
― タイトルの『Tuomio』はフィンランド語ですが、どのような意味なのですか。
ヤニ:「宣告」、「判決」という意味さ。
― これはコンセプト・アルバムなのでしょうか。
ヤニ:いや、コンセプト・アルバムではない。最初の曲とタイトルトラックは、それっぽいけどね。俺の歌詞は常にシンプルで、アルバムは思いついたランダムな話を寄せ集めたものだよ。
― アートワークは何を表現しているのですか。
ヤニ:アルバムのタイトルそのままさ。イギリスの判事のカツラをかぶったオークやトロールが欲しかった。うまく行ったと思うよ。
― 歌詞はすべてフィンランド語ですが、これは何故なのでしょう。
ヤニ:その方が良いサウンドになるから。最初から最後まで、自然に歌詞が湧き上がってくる。これを変えようと思ったことは一度もないよ。
― あなたたちのアルバム・タイトルはすべて「T」から始まります。これは故意なのですか。もしそうならば、理由を教えてください。
ヤニ:これは教えられないトップシークレットなんだ。少なくとも今はね。だけど、しかるべきところに「T」を配置しているということ。
― お気に入りのアルバムを3枚教えてください。
ヤニ: Children of Bodomの『Hate Crew Deathroll』、Finntrollの『Nattfödd』、U.D.Oの『Man and Machine』。
― では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。
ヤニ:いつか君たちに会いたいな。俺たちの夢は日本でプレイすることさ。ジョッキを高く掲げろ!
文 川嶋未来