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シャグ-U
(Turmion Kätilöt)
独占インタビュー

俺たちがやっているディスコは
君たちがこれまでに見たことがないものさ
とんでもない2晩になるよ
気に入ってくれるに違いない

                                   

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文:川嶋未来

24年5月に、初来日公演を予定しているフィンランドのディスコ・メタル・バンド、TURMION KÄTILÖT。それを記念して、彼らの最新アルバム『Omen X』が、ここ日本でもリリースとなる。と言うことで、ヴォーカリストのシャグ-Uに色々と話を聞いてみた。

 

 

ー TURMION KÄTILÖTの音楽をどう説明しますか。もし無理矢理にカテゴライズすると、どうなるでしょう。

 

シャグ-U:(笑)。これは良い質問だな。うーん、それと同時に難しい質問でもある。と言うのも、俺たちは1つのジャンルに留まるタイプのバンドではないからね。インダストリアル・メタルだとか、ディスコ・メタルだとか言われるけれど、基本的に俺たちにはルールはないんだ。踊れるビートが基本ではあるけれど、同時に激しさも兼ね備えているだろ?ディスコと言われることも多いけれど、そう、メタル・オン・ステロイドかな(笑)。

 

ー 具体的には、どのようなアーティストからインスピレーションを受けているのでしょう。

 

シャグ-U:バンドを始めたPetja(MC ラーカ・ペー)は、そもそもあまり音楽も聴かないんだよ。もちろんRammstein的な要素はあると思うけれど、PetjaはDJだから、主なインスピレーションは、オールドスタイルなディスコ。ディスコ・ミュージックをベースにして、その上にメタルの要素を乗せると、TURMION KÄTILÖTが出来上がるのさ。

 

ー TURMION KÄTILÖTに近い音楽性を持っているバンドはいると思いますか。

 

シャグ-U:いや、思わない。俺たちは俺たちの音楽を作っているからね。俺たちみたいなサウンドを出しているバンドには、出会ったことがないな。

 

 

 

ー 80年代、ディスコはメタルの敵みたいな扱いだったことを考えると、ディスコとメタルの融合というのは非常に面白い発想だと思います。

 

シャグ-U:(笑)。PetjaはDJだから、ディスコが大好きなのは間違いないけれど、ディスコにはラフな面がない。そういう感情を表現しようとすると、ディスコだけだとソフトすぎるのさ。俺たちは、もっとラフでハードな音楽をやりたいから。歪んだギターやスクリームを乗せることで、ずっとラフになるんだ。だから、ディスコとメタルを混ぜ合わせようと計画をしたと言うよりは、必要に迫られてメタルを取り入れたということだよ。Petjaにはそういうサウンド、そういう要素が必要だったんだ。その結果がディスコ・メタルなのさ。

 

ー あなた自身はいかがですか。あなたはメタル・ファンなのでしょうか。

 

シャグ-U:俺はあらゆる種類の音楽のリスナーで、俺のプレイリストには、様々な音楽が入っている。テクノからラップ、クラシックもメタルもある。良い音楽は良いと言うこと。だけど、若い頃は完全なメタルヘッドで、メタル以外の音楽を聴くのは邪道だと思っていたよ(笑)。年をとって、他の音楽にも良いものがあるということを学んだのだけど。

 

ー お好きなメタル・バンドはどのあたりですか。

 

シャグ-U:俺としては、年を取るにつれて好きなアーティストも変化していったけれど、トップ3を挙げるとすると、Rob Zombie、Rammstein、In Flamesだね。10代の頃、この3アーティストには衝撃を受けたから。

 

ー TURMION KÄTILÖTにはどのような経緯で加入したのですか。

 

シャグ-U:Petjaとは、バンドに入る前からずっと友達でね。ある日、俺の前任のヴォーカリストのトゥオマスが、自分のやりたいことを追求するために、バンドを抜けることになってね。パーティの後で酷い二日酔いになっていた夜、Petjaから連絡があったんだ。「新しいシンガーが必要なのだけど、俺が知っている中で、君が一番のシンガーだ。TURMION KÄTILÖTに入れるかい」って。もっとドラマチックな話があったら良いのだけどね(笑)。君が必要だから、バンドに入ってくれというシンプルなメッセージだったのさ。

 

ー お気に入りのシンガーは誰でしょう。お手本とするヴォーカリストはいますか。

 

シャグ-U:俺にとって最も大きな存在は、In Flamesのアンダース。ハーシュ・ヴォーカルの中に、メロディを加えることを教えてくれたのが、彼だったから。常にデス・メタル的な歌い方をする必要はないってね。惨めっぽさを表現する歌い方とか。それも超メタルなままで。スクリーミング・ヴォーカルを学び始めた俺にとって、ゲームチェンジャーだった。常にCannibal Corpseみたいに歌う必要はないのだと教えられたよ。低音域だけでなく、ハイ・スクリームをやったり、メロディを加えたり、惨めっぽく、しかしカッコ良く歌ったり。メタル・ヴォーカリストとして、アンダースからは一番大きな影響を受けたね。

 

ー TURMION KÄTILÖTはブラック・メタル・バンドのようなルックスをしていますね。

 

シャグ-U:そうだね(笑)。メイクをしていないと、メタル・バンドだとは思ってもらえないだろうから。少なくとも俺にとっては、メイクをするのは変名的なものでもある。もちろんステージに上がるのは俺自身だけれども、そうだな、俺の別の面と言えばいいかな。メイクをすることで、ステージの人格が現れるのさ。俺たちにとっては儀式みたいなもの。それに、メタル・バンドとして、サウンド同様のルックスを持つ必要がある。もちろんただステージに上がって頭を振ることもできるけれど、視覚的要素も大切だからね。サウンドだけでなく、視覚的にも良くないといけないから、ヴィジュアルにも気を遣っているのさ。

 

ー つまり、TURMION KÄTILÖTは少なくともメタル・バンドではあると考えているということですね。

 

シャグ-U:そうだね。確かにディスコやレイヴ、その他色々な要素はあるにしても、結局はメタル・バンドだと思う。もし一つのジャンルで言うのだとしたら、俺たちはメタルさ。

 

 

ー 23年に最新アルバム『Omen X』がリリースされました。これは過去の作品と比べた場合、どのようなものだと言えるでしょう。

 

シャグ-U:PetjaとキーボーディストのJanne(ランQ)が、主に曲を書いていて、彼らがメインのリフやメインのメロディなどを思いついて、そこからみんなのアイデアを付け加えていくのだけれど、最新アルバムでは、全員での共同作業が多かった。俺もヴォーカル・メロディをたくさん書いたよ。とても新鮮だった。もちろんPetjaがバンドのメインのディレクターではあるのだけれど、彼はみんなと一緒にアルバムを作りたがっているんだ。決して自分のソロ・バンドにしようとは思っていない。今回はバンドとしてみんなで積極的に曲作りをして、そこが過去の作品とは違うところだった。それに、あれはとてもソリッドなアルバムだと思う。アルバムを作る前から、メタルの要素が強いアルバムにしようと思っていて。良い出来だと思うよ。よりハードで、メタリック。前作の『Global Warning』では、あらゆる要素をミックスしたようなアルバムだったけれど、今回はもっとソリッドなメタルらしい仕上がりになっている。

 

ー 歌詞がフィンランド語なので、私は意味がわからないのですが、どのような内容なのでしょう。

 

シャグ-U:一言で言うなら愛。だけど、もちろん愛というのが簡単なものでないことは知っているだろう。愛というものは、簡単に手に入るものではないし、愛には様々な色、影がある。俺たちが扱うのは、愛のとてもブルータルで病んだテーマ。愛にはロマンチックな一面もあるけれど、よく愛というものを見てみれば、そこにはとても残酷で悲しい面がある。それぞれの曲が、愛のさまざまな面を取り上げているんだ。

 

ー 英語でなく、フィンランド語を使う理由は何ですか。

 

シャグ-U:過去には英語で歌っている曲もあったけれど、『Omen X』に関しては、英語で歌う必要性を感じなかったんだ。ニュークリア・ブラストにも聞いたんだよ。英語で歌った方が良いかって。もちろん、やろうと思えば英語でも歌えるから。だけど、彼らの答えも「君たちがしっくり来るようにやってくれ。マーケティングについて、君たちが気にする必要はない。それは自分たちの仕事だから」と言うものだった。フィンランド語は、響きが激しいんだよ。ある意味ドイツ語に近くて、「k」が多いし、発音がとてもブルータル。仮に美しい話をしていても、外国人にはブルータルに聞こえるはずさ(笑)。これもフィンランド語で歌う理由の1つ。お気に入りのフィンランド語で歌うバンドもたくさんいるし、その遺産を受け継いでいるというのもある。さらに、フィンランド語では一つの単語が複数の意味を持つことが多い。コンテクストに応じてね。だから、俺たちの歌詞を、聴いた人が時に良いこととして、時に悪いこととして解釈したりもできる。

 

 

 

ー 一方で、アルバムのタイトルは英語ですよね。これは何故なのでしょう。

 

シャグ-U:前作『Global Warning』(=世界的警告)は、前持ってタイトルが決まっていたのだけれど、あれがリリースされた途端、コロナのせいで世界中でロックダウンが始まってね。それが内輪のジョークになったのさ。『Global Warning』をリリースしたら、突如コロナが発生したって。それでそのうち、また予言ができるか試してみよう、”omen of the future”(=未来の不吉な前兆)なんていうタイトルにしたらどうなるだろうなんていう話になって(笑)。これが10枚目のアルバムだから、”X”はそこから来ている。つまり、正直なところ、ジョークからスタートしたタイトルなんだ(笑)。

 

ー アートワークは何を表現しているのでしょう。

 

シャグ-U:あれを描いたのは、さっきも話題に出た俺の前任のトゥオマス。彼は今でも俺たちのグラフィック面を手伝ってくれていてね。あのアートワークは、彼なりの『Omen X』の解釈。だけど、世界の終わりというよりは、新しい世界がどうなるかというものを表現している。そして、”X”というのは数字の「10」というだけでなく、十字路でもある。十字路に差し掛かったら、どっちの道を進むかを決断しなくてはいけない。さらに”X”というのは、「ストップ」とか、ある種の警告を表現するものでもある。トゥオマスは、とても素晴らしい仕事をしてくれたと思う。歌詞と同様、このアートワークも、さまざまな解釈が可能なものだよ。

 

 

ー オールタイムのお気に入りのアルバムを3枚教えてください。

 

シャグ-U:そうだな、まずはIn Flamesの『Soundtrack to Your Escape』。あれは、俺にとって彼らのベストなアルバム。俺にとってはゲームチェンジャーだった。それからRammsteinの『Mutter』。あれには若い頃、大きな衝撃を受けた。あとは、難しいな。良いアルバムはたくさんあるから。Rob Zombieの『Hellbilly Deluxe』。

 

ー 24年5月に初来日公演が予定されています。どのようなステージが期待できるでしょう。

 

シャグ-U:圧倒的に激しいショウをお見せするよ。俺個人的にずっと日本に行きたくて、バケットリストの一つだった。多くの人は、ツーリストとして日本に行く訳だけれど、ショウまでやれるのだからね。思い描いていた以上のことさ。ショウを見てもらえれば、俺たちがやっているディスコとメタルの融合というのが、どういうものかわかってもえるだろう。日本のオーディエンスに、俺たちの全力を見せることを楽しみにしているよ。俺たちがやっているディスコは、君たちがこれまでに見たことがないものさ。とんでもない2晩になるよ。気に入ってくれるに違いない。

 

文 川嶋未来

 


 

【公演日程】

■ Two Nights for Love 2024 歌舞伎町 MADHOUSE

2024年5月22日(水) / 23日(木)

開場 17:15 / 開演 Opening Act 18:00 / BEAST IN BLACK 19:15 東京:Zepp Shinjuku

公演の詳細は特設ページから

 


 

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2024年1月26日

Turmion Kätilöt

『Omen X』

CD

【CD収録曲】

  1. トトゥウス
  2. ガブリエル
  3. ヴィエ・セ・ポイス
  4. プハ・コルミナイスース
  5. プオリ・ヴァルタクンタ
  6. ヴェレスタ・ソケア
  7. イサ・メイダン
  8. ソルメンヤルキ
  9. カイ・タンシーン
  10. クン・ケサ・クオリ
  11. クオレッタヴィア・ヴァンモヤ
  12. 《日本盤限定ボーナストラック》

  13. イサ・メイダン (ライヴ・ヴァージョン)
  14. ソルメンヤルキ (ライヴ・ヴァージョン)
  15. クオレッタヴィア・ヴァンモヤ (ライヴ・ヴァージョン)

【メンバー】
MC ラーカ・ペー (ヴォーカル)
シャグ-U (ヴォーカル)
ボビー・アンダーテイカー (ギター)
マスター・ベイツ (ベース)
ランQ (シンセサイザー/キーボード)
DQ (ドラムス)