“『The Legacy』『The New Order』セットと日本独自のベスト、両晩がスペシャル “
9月にZepp DiverCityで開催される『THE BAY STRIKES BACK』を記念し、ベイスラッシュの重鎮チャック・ビリー(vo)が来日への意気込みとベイエリア・スラッシュを語る!
ー 『Bay Strikes Back』ツアーはすでにアメリカやヨーロッパで数度開催されていますが、そもそもこの企画は誰が思い付いたものですか。
チャック:全部のバンドとエージェントだったと思う。過去にやったことがないものをやろうと話して、今こそこの企画をやる時だと。最初から素晴らしいツアーになったよ。多くのショウがソールドアウトになって、ベイエリア・スラッシュのサウンドを愛するファンがたくさん集まって。とても良いツアーだったな。
ー Exodus、Death Angelという長年の盟友とのツアーは、やはり特別なものですか。
チャック:そうだね、やっぱりよく知っている人間とのツアーは楽だよ。家族と旅するみたいで。3バンドで素晴らしいショウもやれたし。
ー あなたのスラッシュ・メタルとの出会いはどのようなものでしたか。
チャック:うーん、間違いなく初期のメタリカだろうな。ベイエリアでの初期のショウ。彼らはかなり早い段階からベイエリアに来ていたんだ。その後、スレイヤーもLAから来るようになった。公園で『Day in the Dirt』というイベントがあって、スイサイダル・テンデンシーズがLAから来たり、スレイヤーやエクソダスなどが出ていたよ。初期のバンドたちがね。
ー あなたはもともとメロディックなハードロックがお好きだったとのことですが、それらのスラッシュ・メタル・バンドを初めて聴いた時は、どのような印象を持ちましたか。
チャック:俺が聴いたり、シンガーになるために勉強したりしていたヴォーカルのアプローチとは、明らかに違うものだった。メロディに合わせるのではなく、タイミングを合わせてたくさんの言葉を乗せることを学んだよ。俺にとっては新しいものだったけれど、テスタメントに加入する前に、色々と実験をしてみたんだ。
ー レガシー/テスタメントに誘われた時は、どのように感じましたか。
チャック:素晴らしかったよ。ちょうど大学でシンガーになるための勉強、プライベート・レッスンを終えたところで、ゼトロがエクソダスに加入するために抜けたのもパーフェクトなタイミングで、と言うのも、俺もバンドのオーディションを受ける準備が整っていたからね。ゼトロからバンドを抜けると聞いて、アレックス・スコルニックの電話番号を教えてくれて、このバンドをチェックしてみろと。それでオーディションを受けて、1週間後にはギグをやっていた。そこからはあっという間だったよ。メガフォースが、俺をシンガーに迎えてアルバムを出したいということで。
ー 大学では伝統的な歌の勉強をしていたのですね。
チャック:そう。
ー やはりスラッシュ・メタルのヴォーカル・スタイルは、それとはまったく違うアプローチが必要でしたか。
チャック:まったく違った。ビートに合わせて歌うのだからね。伝統的な歌い方では、ビートの上にメロディを乗せる。必ずしもただビートを追うのではなくね。だから、この2つの方法を混ぜ合わせることで、ヘヴィな中にもメロディックなフィーリングがあるという、俺のスペシャルなスタイルのスラッシュ・メタルが出来あがったのさ。
ー 当時のシーンの雰囲気がいかがでしたか。新しいこと、創造的なことが起こっているという感じでしたか。
チャック:わからなかったよ。ライヴがあれば見に行って、その後パーティをしてと、普通のことをしていると思っていたから。そうやってみんなと仲良くなって、バンドをやっていなくてもバンドのメンバーと仲良くなって、ファンたちもシーンの一部という感じだったな。
ー ベイエリアのスラッシュ・メタルが、その後これほどビッグなものになるとは思いもしなかったということでしょうか。
チャック:当時は思わなかった。でも、今振り返ってみると、80年代初頭のベイエリアは、グラム・メタル・バンドばかりだったんだ。ヘアスプレーを使うバンドさ。ベイエリアでスラッシュ・メタルのバンドが多く出てくるようになると、そういうバンドはLAに行ってしまったようだ。LAの方がヘアースプレー・サウンドで知られていたからね。そして突然ベイエリアは、スラッシュ・メタルや速いバンドのメルティング・ポットになったのさ。
ー ベイエリアにスラッシュ・メタルのバンドが多く現れた理由は何だと思いますか。Ruthie’s Innのようなクラブ、メタリカ、ハードコア・パンクなど、いくつかの要因が考えられますが。
チャック:さっき言ったようなバンドたちがLAに行った後、Ruthie’s Inn、Keystone Berkeley、Stone、Mabuhay Gardensみたいな、近いところにあるたくさんのクラブでプレイできたからね。それでテスタメント、フォービッドゥン、ヴァイオレンス、ヒーゼン等、新しいバンドが次々と現れて、速い曲を演奏するようになったんだ。当時プレイできる場所が増えたんだよ。
“『The Legacy』と『The New Order』の権利が返ってきたんだよ。自分たちで権利を保有できるようになったことに対するお祝いみたいなものさ ”
ー 先日、テスタメントのニュークリア・ブラストとの再契約が報じられました。ニュー・アルバムを制作中ということでしょうか。
チャック:エリックと新ドラマーのクリスが頑張っているよ。ヨーロッパ・ツアー前に手をつけていて、良いスタートを切っていると思う。
ー どのような音楽性になるのでしょう。
チャック:まだわからないな。曲としてまとまれば、方向性もわかるのだけれど、今はまだ新しいドラマーとのジャム・セッションの段階で、新しいリフに彼のフィーリングを合わせているところだから。
ー 非常にテスタメントらしいアルバムになることは間違いない?
チャック:もちろんさ。
ー 9月の日本でのショウですが、どのようなセットリストになるのでしょう。
チャック:どっちの晩がどっちのセットになるかはまだわからないけれど、『The Legacy』と『The New Order』のセット、そしてもう1日はベストのセットになる予定さ。最近のショウでは、『The Legacy』と『The New Order』の曲を演奏することが多いから、ベストのセットはいつもとは違った曲を演奏することになる。両方の晩がスペシャルなショウになるよ。
ー 最近は『The Legacy』と『The New Order』の曲を多くやっている理由は何ですか。ファンからのリクエストなのでしょうか。
チャック:リリースから35年経って、『The Legacy』と『The New Order』の権利が返ってきたんだよ。これらのアルバムを作ってから35年が経って、自分たちで権利を保有できるようになったことに対するお祝いみたいなものさ。
ー 35年経った今の目で振り返って、これらのアルバムをどう見ますか。今でも誇りに思いますか。それともやり直したいところがありますか。
チャック:やり直したいとは言わないけれど、プロダクションがね。曲自体には、当時の記憶通りのスペシャルなエネルギーがある。チューニングが違うから、今聴いてみると、ヴォーカルもとても高く聴こえて面白いね。今ライヴではダウン・チューンしているから。その方がやりやすいし、よりヘヴィになるからね。
文:川嶋未来
【公演日程】
2023年9月24日(日) 開場 16:00 / 開演 17:00 東京:Zepp DiverCity Tokyo
ACTS:TESTAMENT / EXODUS / DEATH ANGEL
【CD収録曲】
- チルドレン・オブ・ザ・ネクスト・レヴェル
- WWⅢ
- ドリーム・ディシーヴァー
- ナイト・オブ・ザ・ウィッチ
- シティ・オブ・エンジェルズ
- イシュターズ・ゲイト
- シンプトムズ
- フォルス・プロフェット
- ザ・ヒーラーズ
- コード・オブ・ハムラビ
- カース・オブ・オシリス
- カタコームズ
【日本盤限定ボーナスフルライヴCD】
『LIVE IN TOKYO』2017.2.20 @Shibuya TSUTAYA O-EAST
- Brotherhood of the Snake
- Rise Up
- Disciples of the Watch
- The Pale King
- Practice What You Preach
- The New Order
- More Than Meets the Eye
- Dark Roots of Earth
- Stronghold
- Into the Pit
- Over the Wall
- D.N.R. (Do Not Resuscitate)
- 3 Days in Darkness
- The Formation of Damnation
- Alone in the Dark