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リッキー・マンドッツィ
(スキッツォフレニア)
独占インタビュー

今回のアルバムに関しては
様々なところからインスピレーションを受けた
読んだ本とか、歴史的事実
もちろんそれらを再解釈して
クールなストーリーに仕上げているけれど

                                   

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文:川嶋未来 Photo by Jens de Vos

ベルギーが産んだデス・メタル界の新星スキッツォフレニアが、ファースト・フル・アルバムをリリース。ということで、バンドの顔であるリッキー・マンドッツィ(B, Vo)に、話を聞いてみた。

 

 

ー もともとエクストリーム・メタルにハマったきっかけは何だったのですか。

 

リッキー:エクストリーム・メタルを聴き始めるには少々時間がかかった。9歳の時にギターを弾くようになって、やがてAC/DCやアイアン・メイデンなんかを聴き始めた。12歳か13歳の頃かな。コンピレーションでアイアン・メイデンの曲を初めて聴いてね、衝撃を受けたんだ。それでハードロックやヘヴィメタルを色々と掘っていくようになって、14歳か15歳くらいになると、スラッシュ・メタルに出会った。そこからゆっくりと、さらにエクストリームな音楽を聴くようになっていったんだよ。デス・メタルとかね。すぐにエクストリームなものを聴き始めた訳じゃないんだ。

 

ー まず、ハンマーヘッドというスラッシュ・バンドを始めたのですか。

 

リッキー:実はそうじゃない。俺はイタリア出身で、2013年にベルギーに引っ越したのだけど、その時にすでにハンマーヘッドというバンドは存在していて、EPも2枚出していた。俺はバンドを探していて、彼らもベース・ヴォーカルを探していて、それで俺にコンタクトしてきたのさ。だから、俺はハンマーヘッドとしてはライヴをやっただけ。レコーディングはしていない。スキッツォフレニアのギタリスト、ロメオもハンマーヘッドにいたけれど、彼もライヴしかやっていない。そのうち音楽性の違いが出てきて、俺とロメオはスキッツォフレニアをやろうということになったんだ。

 

ー となるとハンマーヘッドとスキッツォフレニアは別のバンドということですか。Metal Archivesなどは、ハンマーヘッドが名前を変えてスキッツォフレニアになったとしていますが。

 

リッキー:そうなんだよ。訂正しようと思っているんだけどね、難しくて(笑)。別のプロジェクトとして、新しく曲を書いたのさ。

 

ー スキッツォフレニアではデス・メタル寄りのアプローチをしています。

 

リッキー:ニュー・アルバムでは特にそうだね。

 

ー どのようなバンドからインスピレーションを受けているのですか。

 

リッキー:そうだな、バンド全体ということであれば、初期のモービッド・エンジェル、デモリション・ハマー、ペスティレンス、デスあたりの影響は大きい。シンガーとして個人的には、オビチュアリーのジョン・ターディやモービッド・エンジェルのデイヴィッド・ヴィンセント。ヴォーカル・ラインを作ることにおいて、彼らはずば抜けているよ。

 

ー まだお若いのに、デモリション・ハマーとは渋いですね。どのようにして彼らの音楽を知ったのでしょう。

 

リッキー:忘れちゃったな(笑)。モービッド・エンジェルをどうやって聴いたかは覚えているけれど。モービッド・エンジェルの少し後に聴いたんだ。常に彼らの持つパワーやヴァイオレンスに圧倒されるよ。スラッシュ・メタルではあるのだろうけれど、10倍ヘヴィというか。

 

ー ニュー・アルバム『リコレクションズ・オブ・ジ・インセイン』がリリースになります。デビューEPと比べ、とのような点が進化していると思いますか。

 

リッキー:そうだな、曲作りがさらに成熟したものになっているよ。一番は、メンバーそれぞれが自分の限界を押し進めたこと。EPはもっとシンプルなアプローチで、展開もシンプルだけど、今回はもっとテクニカルで複雑になっている。色々なことを試して、一切の制限を設けなかった。曲作りにおいても、オープンな気持ちで望んだよ。レビューでは、ブラック・メタルからの影響を指摘するものもあるけれど、直接的にブラック・メタルから影響は受けていないにしても、言いたいことはわかる。仕上がりにはとても満足しているよ。色々な影響を取り込んだからね。大変だったけれどね(笑)。2回目のロックダウンの最中にアルバムを作って、2回目のロックダウンは7ヶ月も続いたんだ。ファンも気に入ってくれると思うよ。

 

ー 具体的にはデス・メタル以外で、どのような影響を取り込んだということなのでしょう。

 

リッキー:難しいな。俺はクラシックなヘヴィメタルも聴くからね。シン・リジーなんかも聴くし、彼らの音楽には2本のギターによるハーモニーがたくさん出てくるだろ。アルバムを聴いてもらえれば、そういう影響がわかると思う。もちろんメロディはもっとずっとイーヴルなものだけれど。

 

ー 自分たちの音楽をカテゴライズするとしたらどうなるでしょう。

 

リッキー:自分で呼び名を決めるのは、とても難しいんだ。だから、リスナーにデス・メタルだとか、デスラッシュ、ブラックなんて言ってもらう方がいいね。EPはデスラッシュっぽかったと思うけど、今回のアルバムに関しては、シンプルにエクストリーム・メタルだと思うな。もちろんデス・メタルの要素も多いけれど、スラッシュっぽさもあるし。

 

ー スキッツォフレニアというバンド名にしたのは何故ですか。やはりセパルトゥラですか。

 

リッキー:もちろんそうだよ(笑)。16年にロメオとバンドを始めた時、スラッシュばっかり聴いていて、セパルトゥラも、特に初期作品からの影響は大きかったから。あのアルバムが大好きだったから、スキッツォフレニアというのはクールな名前だと思ったし、狂気というコンセプトも欲しかったから。俺たちの書く歌詞の多くは、狂気についてだからね。

 

ー ただ、サウンド的にはそれほどセパルトゥラには近くないですよね。

 

リッキー:そうだね(笑)。だけど、彼らからの影響というのは常に入っているよ。セパルトゥラは聴きまくったからさ(笑)。

 

 

 

 フレッシュゴッド・アポカリプスのフランチェスコ・パオリがアレンジメントとしてクレジットされています。

 

リッキー:最初は、シングルとしてリリースする数曲の手伝いをお願いしようと思ってアプローチしたんだ。ところが実際にやってみると、彼の仕事が素晴らしかったので、結局アルバム全体お願いすることになったんだ(笑)。彼もすぐに引き受けてくれた。曲に別の視点を与えてくれたり、本当に素晴らしかった。バンドの外部の人間と仕事をするというのは、簡単なことではない。自分たちの書いた曲をプロデューサーに渡して、それをいじられるというのは少々恐ろしいものさ。フランチェスコは素晴らしい仕事をしてくれて、凄く満足しているよ。

 

ー アレンジメントというのは具体的にどんなことをしたのですか。

 

リッキー:俺たちは、アルバム収録曲すべてにおいて10個くらいヴァージョンを作るんだけど(笑)、ファースト・ヴァージョンは、アルバムに収録されたものと完全に別物なんだ。これでファイナルだと思うものができたら、それをフランチェスコに送る。すると彼が一部のパートを短くしたり、サビをアレンジしたり、ソロを前倒ししたりしてくれる。

 

ー 曲の構成をいじるということですか。

 

リッキー:そう、ほんの少しだけどね。だけど、それで曲のインパクトが増すんだ。

 

ー ヤルネ・ヘイレンがレコーディング・エンジニアを担当していますが、彼を起用したのは何故ですか。

 

リッキー:ヤルネは、Carnationというベルギーのデス・メタル・バンドのメンバーで、自分たちのプロデュースもやっている。彼とはEPでも一緒に仕事をして素晴らしかったし、評判も良かった。Carnationでの仕事も気に入っていたからね。だから、アルバムをレコーディングするに当たって、誰に頼むかは考えるまでもなかったのさ。ヤルネはスキルもあるし、才能もある。仕事もしやすいし、融通も効くから。俺たちの欲しいサウンドを完璧にわかってくれるんだ。とても満足しているよ。

 

ー アルバムのタイトル『リコレクション・オブ・ジ・インセイン』には、どのような意味が込められているのでしょう。

 

リッキー:アルバムのアートワークを見てもらうと、大きな像の前に、男がひざまずいているだろ。どの曲の歌詞も違うストーリーを持っていて、ゴアなものもあれば、暗いものや悲しいものもある。「狂者の回想」というタイトルは、これらの歌詞とアートワークを要約したものさ。言葉で説明するのは難しいけれど。

 

ー このアートワークはどのようなシーンを描写しているのですか。

 

リッキー:俺たちが欲しかったのは、インパクトのある人目を引くものだった。だから像もミステリアスな感じで、詳細が見えないようになっている。シルエットみたいで、顔は良く見えないよね。「モノリス」という曲の歌詞が、このアートワークを一番よく表していると思う。洞窟、地下室みたいなところで、ミステリアスな石像があってっていう。

 

 

ー 歌詞の内容はヴァラエティに富んでいますが、どのようなところからインスピレーションを受けるのでしょう。

 

リッキー:今回のアルバムに関しては、様々なところからインスピレーションを受けた。読んだ本とか、歴史的事実。もちろんそれらを再解釈して、クールなストーリーに仕上げているけれど。ホラー映画や夢からもインスピレーションを受けることがあるよ。

 

ー どんなホラー映画がお好きですか。

 

リッキー:ここ最近は、あまりお気に入りを見つけることができない。ジャンプスケアーばっかり多用してたりね(笑)。もっと精神的に怖い方が好きなんだよ。緊張感があって、どこに危険が潜んでいるのか見えないようなやつ。10代の頃はスプラッターが好きだったけれど。

 

ー ラヴクラフトからの影響はありますか。「モノリス」などにはラヴクラフトっぽさも感じるのですが。

 

リッキー:あるよ。特にロメオと一緒に歌詞を書く時はね。彼はラヴクラフトの大ファンなんだ。

 

ー アルバム・リリース後の予定を教えてください。コロナでライヴなども難しいかもしれませんが。

 

リッキー:不確実なことも多くて、なかなか予定を立てづらいよ。事態が好転したかと思うと、すぐに新たな変異種が出てきたり。一応2月の終わりにはイーヴル・インヴェイダーズとツアーをすることになっている。3月までヨーロッパをツアーするんだ。4月にはオランダとベルギーでたくさんのショウも予定しているよ。ニュー・アルバムも出るし、新曲をプレイするのが楽しみだね。どうなるかはわからないけれど、俺たちのゴールはできる限りたくさんのライヴをやること。ライヴが大好きだし、個人的にもステージに上がって自分たちの曲をプレイしたいという欲求もある。とても重要なことなんだ。

 

ー お気に入りのアルバムを3枚教えてください。

 

リッキー:『Reign in Blood』。『The Number of the Beast』。それからシン・リジーの『Live and Dangerous』。

 

ー では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

 

リッキー:いつか日本でプレイできることを本当に楽しみしているよ。バンド内でも日本でプレイする夢について話し合っているほどさ。日本のファンがニュー・アルバムを気に入ってくれるといいな。日本に行くのが待ちきれないよ。

 

 

文 川嶋未来

 

 


 

 

 

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2022年2月17日発売

スキッツォフレニア

『リコレクションズ・オブ・ジ・インセイン』

CD

【CD収録曲】

  1. ディヴァイン・イモレイション
  2. クレイニアル・ディスインテグレイション
  3. シー・オブ・ソロウ
  4. モノリス
  5. オンワーズ・トゥ・ファイア
  6. ソウルズ・オブ・レトリビューション
  7. インサイド・ザ・ウォールズ・オブ・マッドネス
  8. フォール・オブ・ザ・ダムド
  9. ストラティファイド・リアリティーズ

 

【メンバー】
リッキー・マンドッツィ(ヴォーカル、ベース)
ロメオ・プロモス・プロモポウロス(ギター)
マーティー・ファン・ケルクホーフェン(ギター)
ロレンツォ・ヴィッソル(ドラムス)