フィンランドの人気フォーク・メタル・バンド、Ensiferumのペトリとヤンネが新たにスタートしたブラック・メタル・バンド、Satanic Northがアルバム・デビュー!と言うことで、ペトリに話を聞いてみた。
※ペトリ・リンドロス=IIT・カプラエ
ー まずバンドの結成経緯を教えてもらえますか。
ペトリ:そうだな、バンドは22年の初め、パンデミックが始まって、世界がロックダウンに見舞われた頃に結成されたんだ。退屈していたとまでは言わないけれど、まあそんな感じで、簡単に言ってしまえば、他のメンバーから連絡があったんだよ。何曲かできているんだけど、バンドに入らないかって。それで俺は「わかった。俺は何をすればいい?ギター?ベース?」ってね。バンド名はSatanic Northだと聞いて、すぐにやることを決めたよ。90年代のヴァイブを持ったブラック・メタルをやろうって。
ー このバンドを始めたのは誰なのですか。
ペトリ:実は俺が最後に加わったメンバーだった。他の3人のメンバーが、19年頃バーで飲みながら当時最新のImmortalのアルバムを聴いて、「ブラック・メタルやりたいな」みたいな話になったのさ。
ー Satanic Northは4人編成で、あなたとドラムのヤンネはEnsiferumのメンバーでもあります。他の2人は誰なのでしょう。
ペトリ:彼らはブラック・メタル・シーンにとっては新顔で、このスタイルのバンドは過去にやっていたことがない。
ー Immortal以外では、どのようなバンドからインスピレーションを受けていますか。
ペトリ:そうだな、たくさんあるけれど、Gorgoroth、もちろんDissectionも。Mayhem。かなりノルウェーのヴァイブにこだわっているんだ。90年代のね。
ー 90年代初頭のノルウェーでは、教会放火なども行われていましたが、当時どのように感じていましたか。
ペトリ:当時俺はまだかなり若かったからね。教会放火などが行われていることは知っていたけれど、それほど関心はなかったよ。随分と前のことだから。
ー Impaled NazareneやBeherit等のフィンランドのバンドよりも、ノルウェーのシーンに惹かれているのでしょうか。
ペトリ:両方さ。歌詞はヴォーカリストが書いているのだけれど、彼はとてもダークな世界からインスピレーションを受けているよ。Impaled Nazareneは、最も有名なフィンランドのブラック・メタル・バンドだろうね。Beheritも長い休みを経て、ついに最近活動を再開した。もうすぐ日本にも行くんだよね。素晴らしいことさ。
ー 曲は主に誰が書いているのでしょう。
ペトリ:バンド全員と言うのが良いかな。とりあえずリハーサルをやって、どんなものが出てくるかを見てみる。どんなリフが出来上がるかをね。みんなで演奏していると、自然と次がどうなるかというヴァイブが出来上がってくるんだ。アルバムに収録されている曲の全てのピースが、とても簡単に揃ったよ。一緒に作業をしていると、すべてがとてもしっくりと行くんだ。
ー 曲のタイトルはとてもストレートでシンプルなものですが、具体的にはどのような内容なのでしょう。
ペトリ:個人的には歌詞の内容を深掘りしてはいないから、ヴォーカリストに聞くべきだけれど、ダークなストーリー、短いストーリーになっているもの。そして誰にもわかりやすいものになっていると思うよ。
ー 歌詞は掲載されていませんね。
ペトリ:90年代には、歌詞が載っていないアルバムがたくさんあったからね。同じようなヴァイブにしたかったんだ。ブックレットに載せるのは、アートワークと写真、必要な情報だけ。アートワークにほぼすべてを語らせるのさ。
ー アートワークは何を表現しているのですか。
ペトリ:あれは、Satanic North軍団を描いている。とても細かく描き込まれている。サタンの軍団、地獄の軍団。悪魔や化け物がたくさん描かれているよ。とても気に入っているよ。Finntrollのギタリスト、Samuli Ponsimaaが描いてくれたんだ。素晴らしいアーティストさ。すべてのアートワークは彼が手がけてくれた。
ー 具体的にどのような指示をしたのですか。
ペトリ:あまり多くは伝えていない。ただ、90年代風にしたいと。彼も90年代のブラック・メタルが大好きだからね。いくつかのアイデアを伝えると、「どういうものが欲しいかバッチリわかった」って。数週間後に絵が出来上がって、まさに思っていた通りのものだったよ。
ー バンド名をなぜSatanic Northにしたのでしょう。
ペトリ:彼らは一番にこの名前を思いついたんじゃないかな。特に深く考えた訳ではなく、俺たちのやっている音楽を端的に示している名前。もちろんサタニックな音楽で、’North’というのは、俺たちが楽しんでいるフィンランドの気候。とても激しい音楽さ。
ー アルバムはReaper Entertainmentからのリリースです。契約の経緯はどのようなものだったのですか。
ペトリ:21年頃、デモを作っていて、いくつかのレーベルにコンタクトしたんだ。だけど、当時はパンデミックのせいで、どこのレーベルもリリース予定がいっぱいでね。色々なバンドのメンバーが集まって、いわゆるオールスター・バンドみたいのがたくさん出てきていたから。それで、アルバムは自分たちでリリースしようかと考えていたのだけれど、去年Summer BreezeでReaper Entertainmentの人たちに会ってね。彼らにはブラック・メタル・バンドがいないという話になったので、「俺はブラック・メタル・バンドもやっているよ」って。
ー バンドの今後の予定はどうなっていますか。ライヴもやるのでしょうか。
ペトリ:もちろんさ。いくつかライヴの予定は決まっているのだけれど、今のところフィンランド国内だけ。可能な限り、フィンランド国外でもやっていきたね。
ー お気に入りのブラック・メタルのアルバムを3枚教えてください。
ペトリ:ブラック・メタルで3枚か。物凄いインパクトがあったのは、Dissectionの『Storm of the Light’s Bane』。それからDimmu Borgirの『Enthrone Darkness Triumphant』。あれは当時聴くのをやめられなかったよ。3枚目はEmperorの『Anthems to the Welkin at Dusk』。
ー では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。
ペトリ:フィンランドのSatanic Northから日本のファンへ。ぜひ日本に行って、ブチかましたいな。
文 川嶋未来
【CD収録曲】
- ウォー
- アライズ
- ヴィレッジ
- ヘイトレッド・アンド・ブラスフェミー
- フォー・デーモンズ
- ビハインド・ジ・インヴァーテッド・クロス
- ヴァルチャーズ
- ウルフ
- コフティ・クオレマー
- サタニック・ノース
【メンバー】
フォン・オカルト (ヴォーカル)
スコモローフ (ギター)
IIT・カプラエ (ベース/バッキング・ヴォーカル)=ペトリ・リンドロス
アビシール (ドラムス)