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ジョン・ギャラガー (レイヴン)
独占インタビュー

俺たちくらい長くやっていて
これだけ生き生きとした新しい音楽を作れるバンドは
多くないだろうね

RELEASE INFO

文:川嶋未来

スピード・メタルの元祖レイヴンが、テクニカル・デス・メタル界のスーパー・ドラマー、マイク・ヘラーを迎えてニュー・アルバム、『メタル・シティ』をリリース!ベーシストでヴォーカリストのジョン・ギャラガーに話を聞いた。

 

 

ジョン:ハロー。庭いじりをしていたんだけど、ちょうど雨が降り出してね。パーフェクトなタイミングだよ(笑)。インタビューを始めようか。

 

ー ニュー・アルバム『メタル・シティ』がリリースになります。これはどのようなアルバムだと言えるでしょうか。

 

ジョン:このアルバムでは、クオンタム・リープが起こっているよ。アルバム3−4枚分進化していると思う。俺たちはもう46年もやっているバンドだけれど、これはベストなアルバムだと思う。俺たちくらい長くやっていて、これだけ生き生きとした新しい音楽を作れるバンドは多くないだろうね。『Wiped Out』や『Rock Until You Drop』の頃のエネルギーと、21世紀のプロダクションを混ぜ合わせたんだ。クラシックなレイヴンのスタイルと、新しい要素を同時に聞くことができる。俺たちにとってもとてもエキサイティングだったし、聞いた人もみんなブっとんだみたいだ。

 

— 今も言われましたが、明確に初期のアルバムのようなサウンドにしようという意図はあったのでしょうか。

 

ジョン:あれらのアルバムのエネルギーはいつも欲しいと思っていたし、マイク・ヘラーがバンドに加わったからね。それが大きな要因さ。彼がもたらすエネルギーが、あらゆることを引き起こしたというか。曲はすべて書き上げてあったのだけれど、彼からのインプットは重要だった。レベルを一段引き上げてくれたよ。曲作りのレベルも上がって、そこにマイクが加わることでスパークして、さらにレベルが上がったということ。

 

— マイクがバンドに加わった経緯を教えてください。

 

ジョン:トム・ハザートという、メガデスのデイヴ・エレフソンと一緒に仕事をしている友人が、いくつか手助けをしてくれてね。ジョー(ハッセルヴァンダー)が心臓発作を起こしたときに、俺もパニックになってしまって。アメリカやヨーロッパでのライヴやスウェーデンのフェスティヴァルが迫っていたから、トムに誰かドラマーの心当たりがいないか聞いたんだ。キャンセルする訳にはいかず、どうしてもやるしかなかったから。まずはシカゴのジミー・メスというドラマーを紹介してもらい、2日後に4時間のリハーサルをやった。彼はとてもよくやってくれたよ。それからニュージャージーに飛んで、そこではマイク・ヘラーとプレイしたんだ。俺たちはマイクのことは知らず、マイクも俺たちのことは殆ど知らない感じだった。30分ほど話をして、そのままプレイしたんだ(笑)。ところが出来は素晴らしくてね(笑)。

「君はどうしてこういう風にプレイしたんだい?」って聞いたら、「レコードの通りにやりました」って。ああ、なるほどと思って、「35年も経った今は、もっと速くルーズにプレイしているんだけど、そういう風に叩ける?」と聞いたら、できると。次のショウは完璧だったよ。ケミストリーさ。その時マイクは3回のショウだけ参加して、次はアナイアレイターのファビオがスウェーデン、あれ、スウェーデンだったかな、で叩いて、残りのヨーロッパ・ツアーはオープニング・バンドのドラマー、デイヴが叩いてくれた。彼も素晴らしかったのだけど、マイクには通ずるものがあったから、彼と話をしたんだ。フェスティヴァル出演の予定やニュー・アルバムのこととか。そこから始まったんだよ。

 

— 『メタル・シティ』というタイトルにはどのような意味が込められているのですか。

 

ジョン:ニューカッスルについての曲を書くというアイデアがあってね。それで「メタル・シティ」というタイトルを思いついたんだ。「メタル・シティ」という言い方は過去にも使われたことがあるのだけど、もっと広い意味で、ニューカッスルからは多くの素晴らしい音楽が生まれたという意味を込めている。とても古いバンド、60年代のシャドウズやアニマルズについても触れているし、もちろんブライアン・ジョンソンやマーク・ノップラー、スティングや、ニート・レコードのバンド、ガーディアン・レコードのバンドたちもいる。バックカバーでは、世界中のシンボルを集めた架空の街にしているけどね。メタルヘッドのシティということさ。タイトル曲も、とてもアンセムらしい曲になっている。

 

— アートワークはコミックブック風になっていますよね。

 

ジョン:もともとは、マイクがスーパーヒーロー風のTシャツを作ろうというアイデアを思いついたんだ。アーティストがダメでね、結局うまくいかなかったのだけど、そこからヒントを得て、アルバムのアートワークをコミックブック風にしようということになった。とても良いアイデアだと思ったからね。それで、それぞれの曲にも絵をつけて、サンクス・リストも、マーベル・コミックスやDCコミックスの広告ページみたいにして。X線メガネとか、1ドルの膨らませる潜水艦とか、子供の頃に見たクレイジーな広告(笑)。面白いだろ?とてもうまくいったよ。

 

 

— “Lunatic Comic Group Raven”(狂気のコミック・グループ・レイヴン)なんていう記載もありますが。

 

ジョン:(爆笑)。60年代や70年代のコミックスを見ると、表紙にこういうちょっとした文章が書いてあったんだよ。”Raven, the wildest band in the world!”とかさ(笑)。よりちゃんとしたコミックブックみたいに見えるようにね。

 

— 歌詞のテーマはどのようなものなのでしょう。

 

ジョン:曲によってバラバラさ。「パワー」は、バンドとしてのマニフェストのようなもの。『ゲーム・オブ・スローンズ』で脚色したような(笑)。『ゲーム・オブ・スローンズ』は見たことないのだけどね。ヴァイブを取り入れたんだ。「ヒューマン・レイス」は、人類が地球という惑星を破壊していることについて。「トップ・オブ・ザ・マウンテン」は、昔ある人からもらったアドバイスについて。頂点に達するためには、頑張って登り続けるしかない。「メタル・シティ」はさっき話したよね。「バトルスカード」は、『ブレイブハート』のような映画のヴァイブを持っているけれど、内容としてはまた自分たちバンドのこと。俺と弟との会話さ。「サイバトロン」は、差し迫っているテクノロジーの破滅について。シンギュラリティや、チップを埋め込まれ、個人の自由を失うこととか。この曲はリフが猟奇的だろ。歌詞の内容は、たいてい曲から触発されるんだ。ヴォーカルのメロディからそれに合うタイトルやテーマを決め、そこかなら中身を書いていくんだよ。歌詞を先に書いて、そこに曲をつけていくということはない。「モーターヘディング」は、もちろん偉大なるレミーへのトリビュート。まあ、歌詞の内容はレミーについてではなく、バイカーがガールフレンドを得ようとするものだけど。狂ったように夜通し走りながらね。リフはモーターヘッドっぽいし、タイトルも面白いだろ。”Got my motor heading over”って。酷いシャレだけどね(笑)。俺たちはレミーやモーターヘッドが大好きなんだ。俺たちからの、ちょっとしたトリビュートだよ。あとは何だっけ?「ノット・ソー・イージー」。これは数年前のイギリスの政治的状況について。どちらが正しいということではなく、曖昧とした内容になっていて、政治的なものはサーカスみたいだ、というようなこと。実際事実でもあるし、レイヴンが素晴らしいロックンロールするために素晴らしい言い訳でもある。この曲をライヴでプレイするのは楽しいだろうね。「ブレイク」の歌詞はかなり暗い。多くの人が虐げられ、お金もない現状にウンザリして、何もかもぶち壊してやりたいと感じている。共感はしないけれど、彼らの感じていることは理解できる。この曲も、音楽が非常に破壊的なものを表しているよ(笑)。それから「ホエン・ワールド・コライズ」。テレビを見ながらアコースティック・ギターを弾いていて思いついたリフが元になっている曲。イントロの奇妙なメロディは映画音楽みたいで、ベースが入ってきて、音が増えていって、その上に素晴らしいヴォーカルラインが加わる。まるで世界の終わりのような音楽だろ。歌詞も、巨大な惑星が俺たちの星にぶつかってきたら、まずいことになるというもの。50年代の同名の映画にインスパイアされている。それから日本盤ボーナスの「ロック・ジス・タウン」。これは3人でジャムをして書き上げた曲だよ。タイトルからわかるように、バンドが街にやってきて、みんなをロックするというものさ。ミドル・セクションはワイルドなジャムになっていて、とても楽しかったよ。素晴らしいボーナス・トラックだと思う。

 

— 久々にマイケル・ワーグナーがエンジニアに起用されていますが。

 

ジョン:最初のレコーディングがポシャった後、マイクが建設している新しいスタジオでレコーディングをして、それを誰かにミックスしてもらおうという話になった。そんな中、18年にモンスターズ・オブ・ロック・クルーズで、マイケル・ワーグナーに再会したんだよ。夕食をとりながら、俺たちのニュー・アルバムをミックスしてくれるか尋ねたら、もちろんだと。素晴らしい話だ。ところが、クルーズの直後、彼から曲はいつころ出来るのか聞かれた。というのも、健康上の大きな問題があって、入院しなくてはいけないというんだ。ところがマイクの新スタジオは、まだまだ完成には程遠かった。それならば自分のところに来なよ、ということで、ナッシュヴィルまで行って、またマイケルとレコーディングをするという素晴らしい時を過ごせたのさ。

 

— ボツになったレコーディングが存在するのですか。

 

ジョン:あまり深くは語らないけれど、まずマイクがドラムをレコーディングしたんだ。それを、過去に一緒にやったことのある、とあるエンジニアのところに送った。どうやら彼はドラミングの手数が多すぎると思ったらしく、俺たちに何も言わず、編集をしてしまったんだよ。4日後にマイクがスタジオに到着して、初めて発覚したんだ。しかも、そいつが犯したミスを修正するのに料金を請求するというんだからさ。それですべてを捨て去って、一からやり直すことにした。まったく悪夢だったけれど、その結果素晴らしいものができたからね。

 

 

 

— ヘヴィな音楽との出会いはどのようなものだったのですか。

 

ジョン:ヘヴィな音楽か。子供の頃は、テレビでビートルズを見ていた。64年、65年の頃。「Thank You Lucky Stars」というテレビ番組があってね。弟と鍋やフライパンを叩きながら見ていたことを覚えてる(笑)。それからジミ・ヘンドリクスを見てね。「オーマイゴッド、まるで別の惑星から来たようだ」と思ったことを覚えている。まだ7歳-8歳とかだったんじゃないかな。本当にヘヴィなものとの出会いとなると、フリーの「All Right Now」がナンバーワンだった。フリート・ウッドマックの「Green Manalishi」も同じ頃に聞いた。あれはとても暗い曲で、説得力があった。休みのときにスペインに行ってね。ホテルでバンドがプレイしていた。お客さんを喜ばせるために。5人編成で、ギタリストはディストーションやワウを使っていて、ギターを背中に回して弾いたり、歯で弾いたり、ジミ・ヘンドリクスの真似をしていたわけだけど、当時はわからなくて。だけど、すごく面白くてね。それで家に戻ってからクラシック・ギターを買って、一生懸命練習した。チューニングを下げて、ベースラインの勉強をしたり。ある時突然マークと、近所のポール・バウデンという友達が来て、バンドをやるからベースをやって欲しいと。俺は「うーん、オーケー」って。ポールのお姉さんがヘヴィな音楽が好きでね。まだ俺たちの知らなかったブラック・サバスやレッド・ツェッペリン、ディープ・パープルとか。俺たちは当時まだ、スレイドやステイタス・クォーのような、テレビで見るバンドが大好きだったから。俺たちがラッキーだったのは、俺たちの街ではこういうバンドがやってくると、2000人程度の小さいホールで見ることができたんだ。ステージをよく見ることができた。素晴らしい勉強だったよ。リッチー・ブラックモアのレインボーも近くで見られたし、ウィッシュボーン・アッシュやバッジー、スレイド、ステイタス・クォー。こういうバンドから学んだんだ。

 

— レイヴンはスピード・メタルの元祖と言われていますが、楽曲がスピードアップしていった理由は何だったのでしょう。

 

ジョン:クラブやパブでプレイした頃は、半分オリジナル、半分カバーという感じだった。ディープ・パープルの「Highway Star」、モントローズの「Space Station #5」なんかをプレイしていた。遅い曲もプレイはしていたけれど、自分たちの曲を書くようになったときに、これらの曲から影響を受けて、どんどんどんどんと速くなっていったのさ(笑)。それから当時パンクが出て来て、パンクから直接の影響を受けたわけではないけれど、振り返ってみると、音楽のクオリティではなく、エネルギーやフィーリングという面では間違いなくね。ストラングラーズやモーターズとか、色々なパンク・バンドと一緒にプレイをしたけれど、彼らにはとてもエネルギーがあった。エネルギーというのは俺たちのやっていることの大きな部分を占めるものだからね。

 

— なるほど、ディープ・パープルなどのスピーディな楽曲からの影響だったのですね。

 

ジョン:そういう曲が好きだったからね。「Black Night」のライヴ・バージョンとか。俺たちがバーでやる時は、いつもライヴ・バージョンだった。「Born to Be Wild」も、スレイドのライヴ・バージョンでやっていた。アップテンポで激しかったからね。俺たちは跳ねまわりながら演奏するのが好きだったから、エキサイティングな曲を演奏していたんだ。これは当時のニューカッスルでは珍しいことだった。当時聞いた他のバンドは、サンタナの「Black Magic Woman」とかジミ・ヘンドリクスの「All along the Watchtower」みたいな本当に古いクラシックを演奏するか、イーグルスをやるかだったから。みんなイーグルスになりたがっていたんだよ。四声のクールなハーモニーで。ところが俺たちは解体作業員みたいに何もかもぶち壊すみたいな演奏をしていたから(笑)。良い意味でも悪い意味でも目立っていたんだよ(笑)。

 

— 世界最速のバンドになろうという意図はあったのでしょうか。

 

ジョン:それはなかった。曲が速くなっていったのも、世界一を目指したからではないよ。ただやりたいようにやっていたら、速くなっただけ。セカンド・アルバム、『Wiped Out』を作ったときも、スピードを追求するというよりも、激しさを追求していたんだ。最初から最後まで最高なアルバムにしたかった。そのための一つの要素として、速度をあげて速く演奏をするというものがあったということ。当時としては画期的なスピードで、特にイギリスでは「バカバカしい。こいつらは速く演奏しすぎだ」なんて言うメディアがたくさんあった。ところが1−2年後には、スピード競争に際限がなくなっていったわけだからね。時に先陣を切るというのは容易じゃないということさ(笑)。俺たちはただやりたいことをやっていただけで、いつも何か新しいことをやろうとしていた。だけど、こういうことも最近は難しくなってきているよね。他の誰でもない、自分たちらしいサウンドを出すのも簡単ではない。

 

— シンガーとして影響を受けたアーティストは誰ですか。

 

ジョン:今の若いバンドが「スレイヤー最高!」、「メタリカ最高!」、「ヴェノム最高!」、「モーターヘッド最高!」なんていう場合、彼らはそのバンドにしか興味がないんだ。だから、彼らのサウンドも、そのバンドそのものになってしまう。ラッキーなことに、俺たちはたくさんのバンドに興味があった。影響を受けたシンガーは、イアン・ギラン、ロブ・ハルフォード、デヴィッド・バイロン、ポール・ロジャースとか。素晴らしければ、誰でも聞いたよ。ラッキーなことに、俺は高い音域のスクリームは簡単にできたからね。むしろ低い音域を練習しなくてはいけなかった(笑)。シンガーに限らず、本当に様々な素晴らしいバンドを聞いて、スポンジのように色々と吸収したものさ。俺たちが初めて見た本当のコンサートは、1973年だから今から47年前、市庁舎で行われたスレイドで、オープニングは、センセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンドだった。アレックス・ハーヴェイ・バンドが出て来て、だけど誰も彼らのことは知らなかったし、どうでも良かった。キッズたちはみんなスレイドを楽しみにしていたからね。ところが曲が進むにつれ、みんな引き込まれていき、最後には彼らは完全に観客を魅了していたよ。どうやってお客さんを引き込むかという勉強になった。大きなインスピレーションになったよ。俺たちはたくさんのパプやクラブでプレイしたけれど、ここイギリスではサッカーチーム間の対立というのがある。10マイルも行けば、サポートするチームが違うんだ。「ニューカッスルのバンド」なんて紹介されると、サンダーランドのファンから大きなブーイングが起こる。そういう観客を引き込まなくちゃいけない。自分たちのことを知らない、自分たちに興味がないお客さんの前でプレイして彼らを味方につけるというのは、常にチャレンジだし、楽しくもある。

 

— あなたの高音域は凄いですよね。「Hell Patrol」で出ているような高音は、他のアーティストではなかなか聞くことができるものではないと思うのですが。

 

ジョン:まあ、出した高音域の中には気に入らないものもあるけどね。ラッキーなことに、調子が良い日は聞いたことがある音域のすべてを出すことができるんだ。レコードでやった中で一番高いのは、「Only the Strong Survive」のラストの、オクターブの表記ははっきりわからないけどC5かC6。あれは非常に高い音。インチキをすればあれよりも高い声も出るんだけどね。(ホイッスル・ボイスで)「アーーー」、こうやって(笑)。これ以上もいけるけど、コントロールが難しい。きちんと制御できる3からせいぜい4オクターブを使うべきなんだよ。「俺は7オクターブ出せる」なんていうやつもいるけど、くだらない。無理だよ。ピアノの音域を全部で歌えると思うかい?俺は思わないね。3−4オクターブで十分なんだよ。これだけあれば、「このキーでは歌えない」みたいな、多くのシンガーが直面する問題もないし。メタルのギターは、最近はみんながダウンチューンして、DだCだ、AだGだなんてやっているけど、俺はどのキーになっても対応できる。曲を書いて、「うーん、これは無理だ。キーを変えよう」ということはほとんどないよ。

 

— 今ではNWOBHMというのは伝説的なムーヴメントと見なされていますが、当時の雰囲気はどんなものだったのでしょう。新しいことが起こっているという興奮はありましたか。

 

ジョン:その前の3−4年はパンクばかりが目の前にあったからね。良いことが起こっているのか、悪いことが起こっているのかはわかったよ。突然ヘヴィなバンドが現れ始めたわけだから、素晴らしいことだった。だけど、バンド同士は人間的にも音楽的にも、お互い共通点はほとんどなかった。アティテュードやエネルギーという共通項はあったけれどね。アイアン・メイデンはレイヴンとは違う音だったし、デフ・レパード、サクソン、ヴェノム、ダイアモンド・ヘッド、みんなまったく違うサウンドだったけれど、みんな素晴らしかった。ミュージック・ファンにはたまらないことだったよ。素晴らしいバンドがたくさんいて、その中から聞くものを選べるのだから。これらのバンドが人気になると、パンク・バンドも髪を伸ばしてヘヴィメタルをプレイするようになった。トレンドに飛びついたんだよ。いつも同じさ。一方で、あれは普通とは違う時期だったと思う。これ以降だと、アメリカ北西部で起こったグランジがあれに近くて、最初はいくつかのバンドがでてきて、彼らのサウンドはみんなまったく違っていた。彼らはただやりたいことをやっていただけで、名声やお金のためではなく、ただ音楽をやっていたんだ。NWOBHMも同じで、バンドをやっていたキッズたちは、ただ自分たちが聞きたいけれど、聞くことができない音楽をプレイしていたのさ。というのも、当時ビッグなバンドたちはリハビリのために解散するか、ファンキーな音楽をプレイし始めていたから。多くのバンドがファンクっぽくなっていたんだ。それに、あの頃にはコカインを5年もやっていて、メンバーが死んだり、リハビリに行かなくてはいけなかったり。それでファンたちは、自分たちが聞きたい音楽をプレイするようになった。俺たちもそう。俺たちは自分たちのやっていることが好きだったし、自分たちのやりたいようにやりたかったから。

 

— 当時共感を覚えたバンドはいましたか。

 

ジョン:お気に入りのバンドには共感したよ。たくさんいる。今でも大好きだ。バッジーも大好きだし、ブラック・サバス、ディープ・パープル、これらのバンドは当時のクラシックで、俺たちのDNAに刻まれているんだ。レッド・ツェッペリン。みんな天才だよ。当時、彼らのことは自分たちの街にやってきた時に、直接見るしかなかった。インターネットもビデオもなくて、写真すらまれにしか見られなかったから。イアン・ギランがメタル・バンドをやる前に、ジャジーなバンドを率いていたのを見たことがある。イアン・ギランは白いスーツを着ていて、イエス・キリストみたいでね。会場は大盛り上がりだったよ。みんなバンドの音楽は気に入らなかったけれど、ディープ・パープルにいたイアン・ギランが目の前にいるという事実だけでね。ジューダス・プリーストも見た。おそらくニューカッスルでの2回目のコンサートだったと思う。『Sin after Sin』の時で、信じられないほど素晴らしかった。こういう人たちが、俺たちにとってのヒーローなんだ。後にこれらの人々の多くと直接会うことができた。ラッキーにもホワイトスネイクと一緒にプレイをして、イアン・ペイスやジョン・ロードと20分くらい話して、そこにデイヴィッド・カヴァデールがやってきて。畏れ多かった。スレイドのノディ・ホルダーとドン・パウエルと朝食を共にしたこともある。弟は今も怒ってると思う。あの時、彼を起こしにいかなかったからね(笑)。

 

— お気に入りのアルバムを3枚教えてください。

 

ジョン:それは無理だよ!好きな作品が多すぎるから。頑張ってみるけど。まずはモントローズのファースト。これはイギリスの多くのバンドに信じられないほどの影響を与えたアルバムだ。『Van Halen I』が出る前の『Van Halen I』さ。エネルギーにあふれていて、捨て曲が1つもない。素晴らしいバンドだ。あとは何だろう。コイン投げで決めるしかないな。イエスの『Relayer』。とてもプログレッシヴなアルバムで、3曲しか入っていない。クリス・スクワイアは音楽的に本当に素晴らしい。バンド全員だけれど。とても特別なレコードさ。イエスは他のバンドとは全然違うよね。彼らも素晴らしいバンド。それから、そうだな、ユーライア・ヒープの『Live』。彼らも素晴らしいバンドで、曲もパフォーマンスも素晴らしい。ライヴ・バンドとしても優れている。ベーシストのゲイリー・セインからは大きなインスピレーションを受けているよ。素晴らしいプレイヤーで、メロディックで、他のメンバーがリフを弾いている上で、彼はベースでソロを弾くのだけど、それがとてもしっくりきているんだ。デヴィッド・バイロンも、シンガーとしてもフロントマンとしても素晴らしいし。巨大なスラッジーなリフの上で四声でハモったり、彼らのヴォーカル・パートは最高だったよ。レコードの片面を何度も何度も聞き返してパートを覚えたりしたものさ。しっかりと俺のDNAに刻まれているよ。

 

 

— では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

 

ジョン:オーケー。ジャパニーズ・レイヴン・ファン。サンキュー、サンキュー。いつもサポートしてくれてどうもありがとう。去年日本に行ったときも、とても楽しく過ごせたよ。ウィルスの問題が落ち着いたら2021年に、ぜひまた日本に行きたい。それからニュー・アルバム。ライヴ・アルバムを聞いてくれたなら、どういう方向性なのかはわかっているはず。期待以上のものになっているから、間違いなく気に入ってもらえると思う。来年これらの曲を君たちに向けてプレイするのが楽しみだよ。

 

 

文 川嶋未来

 


 

 

 

2020年9月18日 世界同時発売

レイヴン

『メタル・シティ』

直筆サインカード付CD

CD

【CD収録曲】

    • 01. ザ・パワー
    • 02. トップ・オブ・ザ・マウンテン
    • 03. ヒューマン・レース
    • 04. メタル・シティ
    • 05. バトルスカード
    • 06. サイバトロン
    • 07. モーターヘディン
    • 08. ノット・ソー・イージー
    • 09. ブレイク
    • 10. ホエン・ワールズ・コライド

    《日本盤限定ボーナストラック》

    • 11. ロック・ディス・タウン

     

    【メンバー】
    ジョン・ギャラガー (ベース、ヴォーカル)
    マーク・ギャラガー (ギター)
    マイク・ヘラー (ドラムス)