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ジェリー・ホー
(Rage Behind)
独占インタビュー

マスクを被ろうと思ったのは
自分たちのルックスではなく
アート自体に語らせたかったからさ

                                   

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文:川嶋未来

フランスから突如現れた新星Rage Behindが、デビュー・アルバムをリリース。90年代のニュー・メタルを見事に現代に甦らせる。ギタリストのジェリー・ホーに話を聞いてみた。

 

 

ー まずバンドがいつ、どのような経緯で結成されたかを教えてもらえますか。

 

ジェリー:Rage Behindが結成されたのは、2019年頃。このバンドを始める以前から、みんな知り合いだったんだ。フランスのシーンで、それぞれ別のバンドをやっていたからね。それで、一緒にユニークでパワフルなバンドを始めようということになった。俺とドラマーは、すでに何曲か書き上げていて、そこからスタートしていったんだ。

 

ー 具体的に、どのような音楽をやろうという構想だったのでしょう。

 

ジェリー:もちろんやりたかったのはメタル(笑)。アグレッシヴな音楽。実を言うと、特にこういうものをやりたいということはなく、むしろこういうのはやりたくないというのがあった。あまりに複雑なものはやりたくなくて、もっとストレートなものという感じ。自分たちが受けたインスピレーション、影響を、自分たちの楽器を通じて語らせるという感じだった。そうやってアルバムを作ったんだよ。

 

ー インスピレーション、影響というのはどのあたりのバンドでしょう。

 

ジェリー:もちろんそれぞれのメンバーが違ったインスピレーションを受けているけれど、いくつかの共通項はある。例えばPantera、Sepultura、Slipknot。他にもParkway Driveとか、もっとモダンなメタルコアのシーンからも影響を受けているよ。様々なものから影響を受けていて、もちろんSlayerやLamb of Godからも。これらが俺たち全員が受けているメインの影響源さ。

 

ー Rage Behindの音楽を無理やりにでもカテゴライズずるとどうなりますか。

 

ジェリー:無理やりにだと、まあ自分たちの音楽をカテゴライズするというのは難しいのだけれど、グルーヴ・メタルかな。PanteraのグルーヴとSlayerのアグレッションというのが、バイオグラフィーに書かれているキャッチフレーズなのだけど、とても良い要約だと思う。

 

 

 

ー バンド名をRage Behindとしたのは何故ですか。

 

ジェリー:バンド名を決める段階で、すでにマスクを被るというコンセプトは決まっていたんだ。アグレッシヴな名前が欲しくて、俺たちの音楽、そしてこのファースト・アルバムは、怒り(rage)に満ちて、そして自分たちの顔をマスクの後ろ(behind)に隠しているから、「Rage Behind」になったんだよ。

 

ー そのマスクのコンセプトについて教えてもらえますか。なぜマスクを被ろうと思ったのでしょう。

 

ジェリー:マスクを被ろうと思ったのは、自分たちのルックスではなく、アート自体に語らせたかったからさ。お客さんたちに、自分たちそれぞれの個人ではなく、一つのグループ、クルーとして見て欲しかったから。マスクを被っていれば、その中身は俺である必要はない。誰でもそれになれる。これがメインの理由なのだけど、もちろんSlipknotや、もっと最近のバンドだとGhostやSleep Tokenなどからの影響もあるよ。アーティストとして、音楽以上のものを提供しなくてはいけないと思うんだ。特に最近は、バンドはリスナーたちを自分たちの世界に連れていく必要がある。だからマスクを被り、一体感を作り出している。実は初のフランス・ツアーを終えたところなのだけれど、ステージに上がる前にマスクを被ると、まるでそれが儀式みたいでね。控室にみんなで集まってマスクを被ると、それでショウへのスイッチが入るんだ。以前やっていたバンドではマスクもヴィジュアル・コンセプトもなくて、それはそれで良かったのだけれど、みんなでマスクを被ると、ただ楽器を持ってプレイをするという以上の一体感を感じられるよ。

 

ー マスクのデザインはどのようにして決めたのですか。

 

ジェリー:実はマスクのデザインは、俺の兄に頼んだんだ。彼はデザイナーなんだよ。俺たちが考えているガイドラインをいくつか伝え、何曲か聞いてもらって、マスクのアイデアを送ってもらった。それを少々修正してもらって、出来上がったものを、3Dプリンターを使って作ってもらったんだ。

 

 

ー デビュー・アルバムはAtomic Fire Recordsからのリリースとなります。どのようにして彼らとのディールを獲得したのでしょう。

 

ジェリー:さっきも言ったように、俺たちはみんな以前別のバンドをやっていたからね。音楽業界とのつながりがあった。バンドの構想がまとまってきた段階で、それをレコード会社にプレゼンテーションして、結果としてAtomic Fireとの契約が決まったんだよ。

 

ー 当然以前にいたバンドというのは秘密なのですよね。

 

ジェリー:そう、俺たちの正体は秘密だから、以前にどのバンドをやっていたかは言えないよ(笑)。

 

ー デビュー・アルバム『Eminence or Disgrace』は、どのような作品に仕上がっていると言えるでしょう。

 

ジェリー:素晴らしい顔面への一撃という感じかな。怒りやアグレッションに満ちているけれど、同時にメロディックな部分も多い。実際とても良いデビュー・アルバムだと思うよ(笑)。みんな気に入ってくれるんじゃないかな。先行シングルへの反応も良いし。

 

ー タイトルを『Eminence or Disgrace』としたのは何故ですか。これにはどのような意味が込められているのでしょう。

 

ジェリー:アルバムの冒頭の曲が「Eminence or Disgrace」で、これはファースト・シングルでもあるからね。この曲がRage Behindの冒険の始まりの非常に重要な曲だから、これをアルバムのタイトルにもしたのさ。歌詞を書いたリード・シンガーの方がうまく説明できるかもしれないけれど、この曲の意味するところは、人生において成功するためには、常に頑張り続けなくてはいけないというもの。頑張って高み(eminence)を目指し、不名誉(disgrace)に落ち込まないようにね。このアルバムのいずれの曲も、常に頑張って成長し続けなければいけないという内容を扱っているよ。

 

 

 

ー テーマが一貫しているということですが、コンセプト・アルバムではないのですよね。

 

ジェリー:コンセプト・アルバムという風に考えたことはない。だけど、多くの曲が同じテーマを扱っていて、人生においては挫けることがあるかもしれないけれど、いつでも立ち直って頑張らなくてはいけない、ベストを尽くせということを歌っているよ。

 

ー ブックレットの中にはシンボルが記載されていますが、あれは曲の歌詞を象徴しているのでしょうか

 

ジェリー:そう、それぞれの曲がシンボルになっていて、歌詞とつながっている。もちろんみんな好きに解釈をしてもらって構わないけれど。

 

ー 一番影響を受けたギタリストは誰ですか。

 

ジェリー:俺個人としては、10歳の頃からジョン・ファイヴの大ファンなんだ。彼が俺にとっての一番大きなインスピレーションさ。Marilyn Mansonの『Guns, God, And Government』ツアーのDVDを見て、ジョンのことは知らなかったのだけれど、そのルックス、ステージでの動きに感動して、「俺もこの人みたいにギターを弾きたい!」ってね。

 

ー Rage Behindの今後の予定を教えてください。

 

ジェリー:もっとたくさんショウ、ツアーをやって、ファンのみんなに会いたい。9月、10月に初のフランス・ツアーをやったのだけれど、反応は素晴らしかった。もっとこういうショウ、ツアーをやりたいという力をもらったよ。

 

ー オールタイムのお気に入りのアルバムを3枚教えてください。

 

ジェリー:ワオ、難しい質問だな。とても個人的な答えになるけれど、順不動でSlipknotの『Iowa』、Linkin Parkの『Hybrid Theory』、それから、うーん、難しいな。Megadethの『Rust in Peace』。

 

ー では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

 

ジェリー:アルバムを探して聴いてみて欲しい。日本が大好きだよ。日本のファンは音楽にとても献身的だと聞いているよ。いつか日本でプレイしたいな。アルバムを聴いて、どう思ったか教えてくれ。

 

文 川嶋未来

 


 

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2023年12月8日

Rage Beheind

『Eminence Or Disgrace』

CD

【CD収録曲】

  1. エミネンス・オア・ディスグレイス
  2. アイ・フォー・アン・アイ
  3. ジェネシス
  4. シーズン・オブ・ブラッド
  5. スルー・ラス
  6. ディクテイテッド・フリーダム
  7. ザ・ブラインド
  8. アワーグラス・アンド・リヴェンジ
  9. ドント・ブレイク
  10. ワールドワイド・ホスティリティ
  11. 《ボーナストラック》

  12. ザ・レイン
  13. ザ・ハンズ・オブ・リヴェンジジョン)

 

【メンバー】
ヴィタリ・ルーカス (ヴォーカル)
ジェリー・ホー (リード・ギター)
マックス・リヴァ (リズム・ギター)
スタン・モーガン (ベース)
エドワード・ヴェイル (ドラムス)