アメリカン・ハードロック界の帝王ナイト・レンジャーが、デビュー40周年を祝うツアーで3年ぶりの来日!と言うことで、
10月23日(日)、昭和女子大学 人見記念講堂における東京第3夜のステージ直前に、メンバー5人全員から話を聞いた。
ー 40周年おめでとうございます。このバンドが40年を超える活動を続けてきた理由、魅力をどう思いますか。
ジャック:日本について言えば、今日で81回目のショウということになる。日本のファンは本当に最初の頃から俺たちについてきてくれている。これは、俺たちも日本のファンとの絆を感じているという事実に関係していると思う。日本に来続けて、彼らとの絆を示しているからね。10年に1度、8年に1度とかではなく、可能な限りしょっちゅう行こうとしているから、それが日本のファンとの絆を堅いものにしたんじゃないかな。
ブラッド:それから俺たちも年をとったように、ファンたちも年をとっていくのを見て、そしてずっと同じファンがミート・アンド・グリートに来てくれるのを見るのはイカしているよ。より広いファンた
ちが東京のショウに来てくれてるし、大阪までわざわざ見に来てくれるファンもいる。それほど献身的なファンがいるなんて、素晴らしいことだね。(ここでケリの携帯が鳴り始める)
ジャック:ちょっと待って。ケリ、君の携帯の電源を切ってくれ。
ケリ:そのあたりに置いてあるはず。
ジャック:取って渡してくれないか。
ケリー:こんな呼び出し音じゃなくて良かった(歌い出す)。
ジャック:あれはまた別の携帯だよ(笑)。
ー ケリやエリックは、彼らの40年に渡る活動をどう見ますか。
ケリ:俺がどう見てるか?
ー そうです。
ケリ:素晴らしいと思うよ。今彼らが言ったように、日本に来続けて、人々を楽しませて。初期の頃に彼らの書いた曲があって、今も俺たちは新しいレコードを出している。彼らとのつながりを感じるよ。日本のファンはこういう音楽が大好きで、俺たちは彼らのためにプレイをするのが大好きで、彼らは初期の頃か
らそれを気に入ってくれて。ジャックが言ったように、10年に1度ではなく、数年に1度日本に来られるのは素晴らしいね。そうやって基盤が固まるんだ。すごく受け入れてくれるから、日本に来るのが大好きなのさ。
ブラッド:それにジャック、初めて日本に来た時、成田空港で200人が出迎えてくれたよね。そして京王プラザに行ったら、1000人以上のファンが俺たちを待っていた。日本のオーディエンスと正しい関係が作れてると感じたよ。ちょうどMTVが出てきて、音楽とミュージシャンの顔が一致するようになって、まるでビートルズのマニアみたいにワイルドでクレイジーだった。
ジャック:ワイルドだったね。素晴らしかったのは、日本に来て、ショウをや
って、その後時に朝の7時まで街に繰り出したり。
ブラッド:エリックみたいに(笑)。
ジャック:今でもそんなことをする人間がバンドにいるなんて、ナイスだよ。ホテルに朝の7時に返ってきたエリック・リーヴィーさ(笑)。プロダクションの人たちが朝ご飯を食べようとホテルを出る頃にね。とても興味深いよ。君はどう思う?
エリック:だから、今こうやって紅茶を飲んでるのさ。
ケリー:彼はただ新聞が届くのを待っていたんだよ。
ジャック:誰かがしきたりを守らないとね。俺たちにはエリックがいる。ロックンロール!
ー 新しいファン層を耕し続け、幅の広い年齢層のファン層に支えられてきたことはバンドの誇りではないですか。
ケリー:両親が子供たちに自分たちの聴いていた音楽を教える。そういうことがアメリカでも起こっているんだ。そうやって新しい、若いオーディエンスが入ってくる。音楽の世界は少々変わったけれど、今でも俺たちの音楽は日本やアメリカのファンを惹きつけているんだからね。俺たちはとてもラッキーだよ。
ジャック:ステージで演奏をしていて、17-18歳の子供たちが、ブラッドやケリがギターでプレイするすべてのリックを注視しているんだ。彼らはギター・プレイヤーで、ケリーやブラッドの伝説を聞きつけてショウに来るのさ。それを見にショウに来るんだよ。多くの意味で、長いことやっているけれど、若い人たちに演奏するインスピレーションを与えられるのは有難いし、気分が良い。俺たちみたいにハードにプレイすることを。そしてエリックみたいにハードにパーティすることも。
ケリ:エリックはこの件に関して放送時間が多いね。
ブラッド:遊び時間がね。
ー 40周年を迎えるには山あり谷ありだったと思いますが、今思い浮かべるのは40年のどのシーンですか。
ブラッド:俺たちは武道館で2晩演奏したんだ。86年?85年だっけ?
ジャック:86年。
ブラッド:チープ・トリックのライヴ・アルバムを聴いて育ったから、武道館のことは知っていたから。日本のファンの叫び声とか。武道館で2晩プレイしたのは、俺にとって日本における決定的瞬間だった。それ以外だと、たくさんあるな。素晴らしいショウをたくさんやったからね。そうだ、今年キッド・ロックと一緒に20000人のお客さんの前でやった。カントリーのブルックス・アンド・ダンともやって。あれは2022年の素晴らしい瞬間だったね。
ケリー:初めて日本に来て、当時のレコード会社のワーナー・パイオニアと夕食に行った時に、俺たちは知らなかったのだけど、ゴールド・アルバムを2枚渡されたんだ。それで日本のオーディエンスに再来日の種を撒いたと思って、ぜひ来年また日本に来るよって。
ジャック:『ミッドナイト・マッドネス』のツアーで来た時に、『ドーン・パトロール』と『ミッドナイト・マッドネス』の2枚まとめてだったね。俺が一番思い出に残っているのは、大阪のロビーで、俺とブラッドと、確かジェフの3人がいて、ホテルから出ようとしたら外にファンがいて、ドアが開いたら400人のファンがロビーに飛び込んできて、俺たちはエレベーターの扉にはりつけにされてさ。俺たちのマネージャーもいて、ホテルのマネージャーがファンを制止しながら、「何で彼らを下におろしたんですか!部屋に戻してください!」って。あれは最も思い出に残る出来事の一つだよね。
ブラッド:そうだね。
ジャック:日本には素晴らしい思い出がたくさんあるよ。
ー 日本のファンはデビュー・アルバムから熱狂しましたが、ある意味、アメリカよりも熱狂していたかもしれない日本のファンを当時どう見ていましたか。
ブラッド:最高だと思ったよ。献身的で、俺たちに夢中で。アメリカではちょっと違って、ファンはあくまでファンなのだけど、日本では俺たちに会うことにエキサイトしていると言うか。震えているファンもいる。今でも写真を撮る時に震えているんだ。今でもそんな影響力があるなんてね。
ジャック:それは今朝のエリックだよ。
ケリ:彼は今も震えているよ。
ケリー:エリック用のBGM必要だな(歌い出す)。
ー 2019年の日本公演は「Dawn Patrol」と「Midnight Madness」の完全再現コンサートという演目でした。このアルバムが今でも熱烈にファンに愛されている理由は何だと思いますか。
ジャック:ガンズ・アンド・ローゼズの『Appetite for Destruction』みたいなもの。特定のアルバムは、人が何かを必要としていた時、何かを理解した時に、人を感動させるんだ。『Dawn Patrol』や『Midnight Madness』は日本のファンを、アメリカのファンもそうだけれど、あの当時に引き戻すのさ。物事がもっとシンプルでイージーだった頃に。
ブラッド:80年代というのは堕落の10年だったことを知るべきだよ。物事はメチャクチャでね。俺たちはもちろん60年代終わりから70年代の最高の音楽を聴いて育って、80年代が来ると、幸い俺たちはデフ・レパードやジャーニー、モトリー・クルーみたいなバンドとフィットして、おかげで80年代を通じて熱狂を作り出すことができた。俺たちはその初っ端、82年の終わりに2枚のレコードを出して、あの素晴らしい10年間に関わることができたんだ。
ケリー:MTVもちょうど始まって。
ジャック:どんなバンドにも、フリートウッド・マックの『噂』みたいな…
ブラッド:最高の作品さ。1975年の。(訳註:実際は1977年)
ジャック:どんなバンドにも伝説的なアルバムがあるのさ。幸運にも俺たちにはそれが2枚ある。『Dawn Patrol』と『Midnight Madness』がね。
ー ブラッドに訊きますが、腕の負傷は完全に治ったのでしょうか。
ブラッド:もう良くなったよ。
ー そもそもどういう症状だったのでしょう。
ジャック:本当のことを言いなよ。
ブラッド:家で酷い転び方をしたんだ。1年半前に。ヒリヒリして、何故か全然治らなかった。何かがおかしいと思って医者に行ったんだ。そしたら肩の腱が1本は完全に、もう1本は部分的に断裂していた。それで回旋筋腱板の手術が必要になったんだ。治るのに時間がかかったけれど、今は大丈夫。泳ぐのが好きだから、毎日泳いでいるよ。ホテルにも素晴らしいプールがあったから、泳いだけれど、数日前ちょっとやりすぎちゃって。まあ、でも大丈夫だよ。
ジャック:どうやって怪我をしたのか、きちんと伝えるべきさ。正直になりなよ。持っていた54のストラップを落とさないようにだっけ。本当の話をしなよ。
ブラッド:本当の話?
ジャック:そうだよ。
ケリ:シャワーのやつ。
ジャック:シャワーで転んだの?
ブラッド:あれはまた別の話だよ。腕の怪我とは無関係。
ー 転んだは転んだんですね。
ブラッド:転んだ。実は、正直に言うと。
ジャック:カメラの前で初告白。
ブラッド:実は彼らも知らない話なんだ。ワインで酔っ払っていたんだ。家でワインでベロベロになって、脚がもつれて、持っていたワインを落とさないように手をついたんだよ。カーペットにこぼしたくなかったから。みんなには古いギターを持っていて、ギターのコードにつまずいたと言っていたのだけど、ワインで酔っていたのさ。
ジャック:オー・マイ・ゴッド!
ブラッド:だから、それ以降あまりワインを飲まなくなった。
(一同拍手)
ジャック:マサ・イトーの番組で、ついに真実が明らかになった。
ブラッド:俺の悪い癖がね。
ブラッド:お願いしていたワインもらえるかい?
ー 日本の皆さんにメッセージをください。
ジャック:ハイ、ジャック・ブレイズです。日本に戻って来られて本当に嬉しいよ。今晩は日本で81回目のショウ。40年間で君たちと一緒に81回のショウをやったんだ。日本のナイト・レンジャー・ファンのみんなも、40周年おめでとう。
ー マサからのメッセージです。ジャックへ。ZOOMのインタビューのスタート時間は守ってくださいね。忘れたとは言わせませんよ。(笑)
ジャック:オー・シット(爆笑)!
ブラッド:インタビューで遅れたのかい?
ジャック:マサにどうもありがとうと伝えてくれ!
文 川嶋未来
伊藤政則のロックTV!公式YouTubeチャンネルでフルVer.公開中▶️
【CD収録曲】
- カミング・フォー・ユー
- ブリング・イット・オール・ホーム・トゥ・ミー
- ブレイクアウト
- ハード・トゥ・メイク・イット・イージー
- キャント・アフォード・ア・ヒーロー
- コールド・アズ・ディセンバー
- ダンス
- ザ・ハーデスト・ロード
- モンキー
- ア・ラッキー・マン
- トゥモロー
- セイヴィアー
[ボーナストラック] - ザ・ハーデスト・ロード(アコースティック・ヴァージョン)
[日本盤限定ボーナストラック]
【メンバー】
ジャック・ブレイズ(ベース/ヴォーカル)
ケリー・ケイギー(ドラムス)
ブラッド・ギルス(ギター)
エリック・リーヴィー(キーボード)
ケリ・ケリー(ギター)