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Mister Misery
独占インタビュー

最高のアルバムでもって
再浮上するという意味を込めているんだ
より強力なヴィジュアル
そして音楽でバンドが再生するということの象徴だよ

                                   

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文:川嶋未来

スウェーデンの若きモダン・メタルの雄、Mister Miseryがバンド名を冠したサード・アルバムをリリース!ということで、メンバーたちに話を聞いてみた。

 

ー ニュー・アルバム『Mister Misery』がリリースになります。最初の2枚に比べて、どのようなアルバムにあっていると言えるでしょう。

 

ハーレー・ヴェンデッタ(G/Vo):今回のアルバムはもっとリラックスした状況で作れたので、じっくりと時間をかけて曲を仕上げることができた。これまでになかったような要素を付け加えたりね。じっくり考えて作ることができたよ。それから、今回はメンバー全員がレコードにより貢献したと言える。曲のバラエティからも、それがわかると思うよ。最初の2枚のアルバムを混ぜ合わせたような作品になっている。これまでで一番の作品さ。経験も積んできたから、プロダクションも飛躍的に向上しているし。オーケストラやエレクトニックな要素、パーカッションなんかを加える際にもね。

 

アレックス・ナイン(G):素晴らしい答えだね。

 

リジー(Dr):同意しかないよ(笑)。

 

アレックス:俺も(笑)。

 

ー タイトルをバンド名にしたのは何故ですか。バンド名を冠したアルバムというのは特別感がありますよね。

 

アレックス:そうだね、今ハーレーが言ったように、このアルバムはバンドが一体となって作った作品。それにこれはサード・アルバムで、いろんな意味でスペシャルな作品だからね。バンドとしてより親密になったという事実を祝福したかったんだ。バンドとしても友人としても成長した。だから、バンド名を関することで自分たちに敬意を表したかったんだ。

 

リジー:いくつかのアイデアを出し合ってね。「Dark Legacy」というアイデアもあったと思う。でも結局『Mister Misery』に落ち着いた。みんな良いアイデアだと思ったし。

 

ハーレー:そうだね、それにバンドのサウンドがパーフェクトになったとまでは言わないけれど、これだというサウンドを見つけたと言うのかな。これがMister Miseryのサウンド、一時的なものではないサウンド。これが俺たちのやってきたことという意味を込めているんだ。

 

ー そもそもバンド名をMister Miseryとしたのは何故ですか。

 

ハーレー:子供の頃に書いた歌詞があって、その中の2つの単語だったんだ。存在すらしない曲のために書いた歌詞(笑)。アメリカからスウェーデンに帰って来て、バンドを始めようということになって、感情とキャラクターを描写するような名前が欲しいと思って。俺にとってロサンジェルス、アメリカを離れるというのはとてもつらいことだった。あの場所が大好きだったし、友達もたくさんいた。だけど仕方がなかったんだ。「Mister」というのは、俺たちメンバーは全員男性で、そして「Misery」というのは、当時の俺の人生には惨めなことがたくさなったということ。それでアレックスに会ってバンドを始める時に、「『Mister Misery』はどうか』と提案したんだ。惨めさ、悲惨さというのは多くの人が人生において感じるもの。当時彼の人生にもたくさんめちゃくちゃなことが起こっていたし。人間として俺たちが感じるものを非常によく描写していると思ったし、響き的にもイカしていると思ったから。

 

アレックス:まさにその通り。あの話を聞いた時に、当時の俺たちの生活を100%完璧に表していると思ったよ。だから即同意したんだ。

 

ハーレー:「Mr. Misery」というのはマーヴェルの『Doctor Strange』に出てくるキャラクターの名前でもあるようなのだけれど、正直知らなかった。幸いなことに、今はこのキャラクターよりも俺たちの方がよく知られているようだけれど(笑)。

 

ー 歌詞のインスピレーションはどんなところから得ているのでしょう。

 

ハーレー:うーん、それはメンバーによって違うと思う。映画や自分の感情もあるし、イライラさせられること、伝えたいこと、SNSみたいな社会のゆっくりとした腐敗、あるいは一般的な社会の腐敗みたいな身の回りのクレイジーなこと。イカした背景を持った興味深いインスピレーションを与えてくれるキャラクターなんていうこともある。アレックスが付け加えてくれると思うけれど、感情その他何でもありだよ。

 

アレックス:そうだね、さっきバンド名について話したけれど、俺とハーレーが経験した惨めさみたいな俺たちが人生の中で経験した辛いこと。そういうものがインスピレーションを与えてくれる。そしてそういうトピックは、この世界に生きる多くの人が共感してくれる。そういう曲に多くの人が共感してくれるというのは嬉しいよ。フィクションのキャラクターを扱う場合もあれば、実人生におけるヘヴィな内容を扱うこともある。

 

ー アートワークは何を表現しているのでしょう。

 

 

ハーレー:アートワークに描かれているのは烏。とてもデカくて、あれはある意味再生を象徴している。新しいチャプター、もっと具体的に言うと、何かの生まれ変わり。今回のアルバムを作るにあたって、俺たちが感じていたことさ。俺たち自身が生まれ変わった訳ではないけれど、音楽業界も浮き沈みがあるだろう?パンデミックがあったり。だから、最高のアルバムでもって再浮上するという意味を込めているんだ。より強力なヴィジュアル、そして音楽でバンドが再生するということの象徴だよ。

 

ー 本作からAFMレコードの所属となりました。

 

アレックス:以前はArising Empireに所属していて、サインした頃は彼らはNuclear Blastの傘下だった。俺たちは(Nuclear Blastのオーナーだった)マルクス・シュタイガーとサインしたのだけれど、彼もレーベルを去ってしまってね。最後の頃は、もっと俺たちのことを理解してくれるレーベルを探した方が良いのではないかと感じていた。それでいくつか当たっていると、AFMが興味を持ってくれて。彼らについては良い噂をたくさん聞いていたから、即決だったよ。

 

リジー:AFMにはさまざまなタイプのジャンルやメタルが好きなスタッフがいるからね。Arising Empireはもっとハードコア・メタル寄りで、俺らはもっとメタルだったから。AFMは俺たちにピッタリだと思ったんだ。

 

アレックス:そう、俺たちに合うバンドが所属しているから。

 

ー あなたたちのスタイルはゴシック・メタル、ホラー・メタル、メタルコアなどさまざまな呼び方をされます。自分たちではどのように思っているのですか。

 

ハーリー:難しいな。この質問はよく聞かれるのだけど、たくさんのサブジャンルが詰まっている。ヘヴィメタルもあればパワー・メタル、インダストリアル・メタル、クラシック・ハードロック、ロックンロール、曲によってはブルースの要素もある。だけど、バンドのルーツはメタルコアだよ。メタルコアからそういうサブジャンルへと派生していっているんだ。ギターのサウンド、オーケストラ、エレクトロニックみたいなモダンな要素が曲の中で合わさって、ルーツとしてはメタルコアに分類されると思う。だけどそれがさまざまなサブジャンルへと派生していくんだ。ブルースやとてもリズミックなもの、超速いパワー・メタルやヘヴィメタルみたいなもの。自分たちがどんなことをやりたいかによってね。分類するのは難しいけれど、ゴシック・メタルやホラー・メタルではない。そこが焦点ではなくて、あくまでライヴなどで人々の関心を惹くためのイメージだから。コミックブックやビデオゲームなんかも大好きだから。難しいけれど、モダン・メタルというのがベストな言い方かな。

 

アレックス:ハーリーが言ったように、俺たちにはさまざまな要素があって、曲によってはブラック・メタルみたいなものもある。「Strangeland」なんかはブラストビートもあるし、ほとんどNightwishやWithin Temptationみたいなアンセミックなシンフォニック・メタルもある。もちろんホラーの要素もあるし。まあハーリーも言ったように、メタルコアがすべての基礎にあって、そこから派生しているんだ。

 

ー バンドを結成した時は、どのような音楽をやろうと思っていたのですか。今言われたように、さまざまな要素をミックスしようという意図だったのでしょうか。

 

アレックス:当時はArch Enemy、Children of Bodom、Black Veil Brides、Motionless In White、Avenged Sevenfoldみたいなバンドからインスパイアされていた。ギターのテクニカルな面でね。速くてメロディックで、たくさんのギター・ソロやギター・ハーモニーがあるものをやりたかったんだ。

 

ハーリー:そう、特にギターにフォーカスしたものがやりたかった。最初はギターが速くてイカしていて、演奏が難しいものをやりたくてね。当時も確かにたくさんの素晴らしいギタリストがいたけれど、今はTikTokやInstagramに天才キッズたちが大量にいて、ギターのテクニックで人を感動させるなんて不可能になってしまった(笑)。だから今はベストな曲を書くことに注力しているよ。特にテクニカルなものではなくても、本当に良い曲、良いパート、良い構成、良い歌詞を持つもの。始めた当時はまだ21歳の若造だったからね。今は興味深い音楽を作ること、イメージにあった曲を作ることを大切にしている。Mötley CrüeやGuns N’ Roses、Avenged Sevenfold、Alice Cooper、Children of Bodom、Arch Enemyなんかをすべてミックスしたものが、今俺たちがやっていることだよ。

 

ー あなたたちのような若い人の口からMötley Crüeの名前が出てくるのは非常に興味深いですが、それはあなたがロサンジェルスに住んでいたことと関係があるのでしょうか。

 

ハーリー:いや、バンドのメンバー全員Mötley Crüeが大好きなんだ。車やバックステージでメイクをする時なんかもかけているよ。みんな子供の頃からMötley Crüeを聴いて育ったんだ。

 

ー どのようにしてMötley Crüeのようなバンドと出会ったのですか。

 

アレックス:Mötley CrüeやGuns N’ Roses、Panteraとか、色々と聴いてきたな。

 

リジー:俺はそういうバンドのミュージック・ビデオの存在が大きかったな。ただの音楽だけではなく、ビジュアル面でのアピール。俺たちがメイクをしているのも同じことさ。メイクをしてステージに上がると、それはただの音楽だけではなくて、コンセプトになる。会場に来ると、それはまるでお化け屋敷みたいで、音楽だけではなくてそこに来たこと自体が大きな経験となる。

 

ハーリー:ゲームの『ギター・ヒーロー』の存在も大きかったな。俺には兄貴がいて、Linkin Parkの『Hybrid Theory』が出た時、彼は16歳くらいで、俺は8-9歳だった。小さい頃は、兄貴がヒーローだろう?彼は部屋で『Hybrid Theory』をかけながら、テニスのラケットでギターを弾くまねをしていたよ。それで俺もこれはイカしてると思って。家族の影響でそういう音楽を聴くようになったんだ。リジーが言ったように、もちろんMTVも。当時はLinkin ParkやDisturbed、Avril Lavigne、Eminem、Marilyn Mansonなんかがよくかかっていた。それからもちろんMötley Crüeも。彼らは他のバンドよりも古いけれど、スウェーデンのテレビではよくかかっていたんだよ。

 

アレックス:Linkin Parkの曲にはエレクトロニックな要素がたくさんあるよね。あれは俺たちの曲に大きなインスピレーションを与えているよ。彼らは今日の多くのバンドにとって、あの種のサウンドのパイオニアだよ。

 

ー Arch EnemyとMötley Crüeをミックスするというのは非常にオリジナリティあふれていると思うのですが、自分たちと近しいものを感じる最近のバンドはいますか。

 

ハーリー:ありがとう。サウンドが近いとは思わないけれど、曲のコンセプトが近いバンドはいると思う。俺たちはさまざまなヴォーカル・テクニックも使うからね。フライ・スクリーム、フォース・コード・スクリーム、ファルセット・スクリーム、クリーン。ギターも超シンプルなものもあれば、演奏に苦労するテクニカルなものもある。でもまあ近いのはアメリカのバンドじゃないかな。俺たちのサウンドはアメリカナイズドされているというか、それが俺たちの目指しているもので、そこにArch Enemyのようなスカンジナヴィアのタッチを加えたもの。一番近いのはBlack Veil BridesとMotionless In Whiteあたりじゃないかな。どちらもアメリカのバンドで、サウンド自体は似ていないけれど。

 

アレックス:あとはIce Nine Killsじゃないかな。サウンドは違うけれど、方向性は似ていると思う。

 

ハーリー:リード・ヴォーカリストの声が特徴となるバンドは多くないんじゃないかと思うけど、俺の声はそれらのバンドのヴォーカリストたちとはまったく違う。俺の方がうまいとか、そういうことを言っているんじゃないよ。俺の声はただ違うというだけ。ギターのサウンドやプロダクションが近くても、声のせいで違ったように聴こえるというのもあると思う。

 

ー オールタイムのアルバム・トップ3をそれぞれ教えてください。

 

リジー:そうだな、まずNightwishの『Once』。それからLinkin Parkの『Hybrid Theory』。それから『Dr. Feelgood』。

 

アレックス:俺はChildren of Bodomの『Follow the Reaper』。それからLinkin Parkの『Hybrid Theory』。あとはおそらくIn Flamesの『Come Clarity』。

 

ハーリー:クソ、これは難しいな!そうだな、3位から1位の順に言おう。第3位はAvenged Sevenfoldのホワイトアルバム。バンド名を冠したアルバムさ。そして第2位はGuns N’ Rosesの『Appetite for Destruction』。第1位はおそらくMetallicaのブラックアルバムかな。

 

 

ー では最後に日本のメタル・ファンへのメッセージをお願いします。

 

ハーリー:オーケー。日本が大好きだよ。とにかく日本に行ってプレイしたいよ。

 

アレックス:日本に行ってプレイしたいとずっと思ってるんだ。なるべく早く実現したいな。SNSを通じて日本のファンのことは知っているし、日本に行くのが待ちきれないよ。

 

リジー:アルバムを楽しんでくれ。できるだけ早く日本に行くよ。

 

アレックス:そして友達にMister Miseryのことを広めてくれ!

 


 

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2024年11月8日

Mister Misery

『Mister Misery』

CD

【CD収録曲】

  1. ルート・オブ・オール・イーヴル
  2. エリザベート (ザ・カウンテス)
  3. アイ・オブ・ザ・ストーム
  4. ハンド・オブ・デス
  5. ザ・ドゥームズデイ・クロック
  6. クルーキッド・マン
  7. サヴァイヴァル・オブ・ザ・シッケスト
  8. アンティル・ジ・エンド
  9. ヘイターズ
  10. シナー・オア・セイント
  11. リッパー
  12. ダーク・レガシー

 

【メンバー】
ハーレイ・ヴェンデッタ (ヴォーカル/ギター)
アレックス・ナイン (ギター)
アレックス・アリスター (ベース)
リジー・ミザリー (ドラムス)