元DragonForcce、現Kreatorのフレデリク・ルクレールも参加しているフランスのベテラン・デス・メタル・バンド、Loudblastがニュー・アルバムをリリース!と言うことで、リーダーでギター/ヴォーカル担当のステファン・ビュリエに話を聞いてみた。
ー ニュー・アルバム『Altering Fates and Destinies』がリリースになります。過去の作品と比べ、どのようなものになっていると言えるでしょう。
ステファン:パンデミック中にはさまざまなことが起こった。以前はなかったことだよ。バンドに所属しながらも、自宅で1人で作業をするということを学ばなくてはならなかったからね。1人でやりつつ、自分の音楽の具体的なヴィジョンを失わないように。もちろん1人でも音楽は作れるけれど、やっぱり一緒にやってくれる仲間も必要。こういうやり方が、過去の作品とは一番違っていたかな。この作品は俺の頭の中から生まれて、スタジオに入るころにはほとんど出来上がっていたんだ。それから、もう1人のマスターマインドとして、フレッド・ルクレールがいてくれるのは本当にラッキーだった。「ステファン、これを試してみたら?ちょっと違うことをやってみるべきじゃないかな?」なんていう具合に助けてくれたよ。とにかく過去の作品とは違ったアルバムさ。俺が生み出したクリーチャーだよ。
ー 17年からバンドに参加していたギタリスト、ジェロムが抜けています。何があったのですか。
ステファン:ジェロムは素晴らしいミュージシャンさ。彼は「俺には家族がいて、お金を稼がなくちゃいけない。学校にも行きたいんだ」と言っていてね。だから俺は「オーケー」と言ったんだ。Loudblastというのはただのバンドではなく、家族のようなもの。ジェロムは今でも家族の一員だから、戻りたくなったらいつでも戻ってくればいい。40年も続けてきたバンドだからね。ジェロムが「このショウには参加できない。アルバムのレコーディングには参加できない」と言うので、「オーケー。自分の選択をリスペクトするべきだ」と伝えた。彼が戻ってきたくなったら戻って来ればいい。だけど一方で、きちんとしたラインナップも必要だから。
ー 新しいギタリストのニクラウス・ベルゲンはどのようにして選んだのですか。
ステファン:たいていは友達なのさ。俺はたくさんのバンドを知っているからね。フレッドとも長いつきあいで、彼はもともとLoudblastの大ファンだった。今は一緒にやっているのだから、クレイジーだよ。最近のLoudblastのメンバーは、ほとんどフレッドの知り合いなんだ。
ー ドラムはニコラ・ミュラーがセッション・ドラマーとしてクレジットされていますが、実際にドラムをプレイしたのは彼なのでしょうか。
ステファン:そうだよ。エルヴェがLoudblastのドラマーで、彼とは92年から一緒にやってきた。「やりたくないのならバンドを辞めろよ」とでも言えば良いのだろうけれど、俺はそういうタイプじゃないからね。メンバーたちは俺の親友で、長年一緒にやってきた訳だし。エルヴェが「アルバムのレコーディングはやりたくない」と言うので、「オーケー、自分のことは自分で決めな」って。前作ではBenighted、そして今ではRise of the Northstarで叩いているケヴィンに頼んだのだけれど、今回は都合が合わなくてね。一番の候補だったのだけれど。それでニコラに電話した。彼は素晴らしいドラマーだよ。13曲プラスEPを4日で仕上げたんだ。
ー 『Altering Fates and Destinies』というタイトルは、どのような意味が込められているのでしょう。
ステファン:これは人生について。このアルバムはとてもパーソナルなもの。さっきも言ったように1人で書いたからね。最後は1人ではなかったけれど。俺のバンド、Loudblastは色々なものを変えてきた。俺の人生も含めてね。運命というものは自分で選択できる。答えを待つのではなく、最終的には自分で選択をしなければならない。そういう意味だよ。
ー アートワークはこのタイトルと関係があるのでしょうか。
ステファン:前作はEliran Kantorに描いてもらって、今回も同じようなカラーが欲しかった。今回はKhaos Diktatorに依頼することにして、彼らにデモを送ったんだ。「Covid 1」、「Covid 2」なんていう仮タイトルの(笑)。そして彼らが送ってきた最初のスケッチをとても気に入ったんだ。デモの段階ではまだ歌詞はなくて、ただのデモだった。アルバムの50%くらいのインスト。それで6回ほどやりとりして、細かいところまで仕上げていったんだ。
ー 歌詞の多くはラヴクラフトのようですが、コンセプト・アルバムなのですか。
ステファン:いや、そうではない。さっきも言ったように、これはとてもパーソナルなアルバムで、ただ自分自身について、そして自分自身のストーリーを語っただけだよ。パンデミックがあり、去年はたくさんのプロジェクトに関わったりとか、たくさんの変化があった。俺は同じことをやり続けるタイプの人間ではないからね。自分の生活からも多くのインスピレーションを受ける。だから死への恐怖とか、明日に対する恐怖とか、中毒とか。今は何の中毒でもないけれど、かつてのね。それ以外はラヴクラフトへの愛。ラヴクラフトの本はすべて読んだよ。初期の頃、16歳の頃ラヴクラフトの歌詞をよく書いていたけれど、あれから40年経って、再びラヴクラフトに戻ってきたんだ。
ー ジェイムズ・シャンセという人が歌詞の共作としてクレジットされています。
ステファン:彼は近所に住んでいるイギリス人なんだ。彼のおかげでラヴクラフトの歌詞をまた書こうと思ってね。
ー アメリカの元祖デス・メタル・バンド、Necrophagiaのカバーが収録されています。
ステファン:『Season of the Dead』は最高のアルバムだからね。(ヴォーカリストの)Killjoyは天才だったよ。「だった」とは言いたくないのだけれど。(注:Killjoyは2018年に逝去。)あのアルバムは俺の人生にとって重要な作品なんだ。当時Iron MaidenやJudas Priestみたいなバンドが人気で、だけど『Season of the Dead』はまったく違う作品だった。深くインスピレーションを受けたよ。あのアルバムの曲はどれもカバーしたい。演奏も素晴らしいし、曲も素晴らしい。とてもユニークな作品さ。Necrophagiaが俺のサウンドを定義したと言えるよ。
【CD収録曲】
- フロム・ビヨンド II (ザ・リターン)
- ピュートリッド・エイジ・オブ・ディケイ
- クリスタル・スキン
- ミゼラブル・フェイリアー
- ヒー・フー・スランバーズ
- サン・オブ・ネイムレス・ミスト
- ダーク・アリージェンス
- インヘイル・ザ・ヴォイド
- カースド・アンド・ヴェイルド
- フォートレス
- ゼイル・ネヴァー・キャッチ・ザ・グリント・オブ・サンライト・アゲイン《ボーナストラック》
- ザ・パス・トゥ・ジ・エンド《ボーナストラック》
- フォービドゥン・プレジャー《ボーナストラック》
【メンバー】
ステファン・ビュリエ (ヴォーカル/ギター)
フレデリク・ルクレール (ベース/ギター)
ニクラウス・ベルゲン (ギター)
エルヴェ・コケレル (ドラムス)