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ステファン・ビュリエ
(Loudblast)
独占インタビュー

運命というものは自分で選択できる
答えを待つのではなく
最終的には自分で選択をしなければならない

                                   

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文:川嶋未来 写真:Anthony Dubois

元DragonForcce、現Kreatorのフレデリク・ルクレールも参加しているフランスのベテラン・デス・メタル・バンド、Loudblastがニュー・アルバムをリリース!と言うことで、リーダーでギター/ヴォーカル担当のステファン・ビュリエに話を聞いてみた。

 

 

ー ニュー・アルバム『Altering Fates and Destinies』がリリースになります。過去の作品と比べ、どのようなものになっていると言えるでしょう。

 

ステファン:パンデミック中にはさまざまなことが起こった。以前はなかったことだよ。バンドに所属しながらも、自宅で1人で作業をするということを学ばなくてはならなかったからね。1人でやりつつ、自分の音楽の具体的なヴィジョンを失わないように。もちろん1人でも音楽は作れるけれど、やっぱり一緒にやってくれる仲間も必要。こういうやり方が、過去の作品とは一番違っていたかな。この作品は俺の頭の中から生まれて、スタジオに入るころにはほとんど出来上がっていたんだ。それから、もう1人のマスターマインドとして、フレッド・ルクレールがいてくれるのは本当にラッキーだった。「ステファン、これを試してみたら?ちょっと違うことをやってみるべきじゃないかな?」なんていう具合に助けてくれたよ。とにかく過去の作品とは違ったアルバムさ。俺が生み出したクリーチャーだよ。

 

ー 17年からバンドに参加していたギタリスト、ジェロムが抜けています。何があったのですか。

 

ステファン:ジェロムは素晴らしいミュージシャンさ。彼は「俺には家族がいて、お金を稼がなくちゃいけない。学校にも行きたいんだ」と言っていてね。だから俺は「オーケー」と言ったんだ。Loudblastというのはただのバンドではなく、家族のようなもの。ジェロムは今でも家族の一員だから、戻りたくなったらいつでも戻ってくればいい。40年も続けてきたバンドだからね。ジェロムが「このショウには参加できない。アルバムのレコーディングには参加できない」と言うので、「オーケー。自分の選択をリスペクトするべきだ」と伝えた。彼が戻ってきたくなったら戻って来ればいい。だけど一方で、きちんとしたラインナップも必要だから。

 

ー 新しいギタリストのニクラウス・ベルゲンはどのようにして選んだのですか。

 

ステファン:たいていは友達なのさ。俺はたくさんのバンドを知っているからね。フレッドとも長いつきあいで、彼はもともとLoudblastの大ファンだった。今は一緒にやっているのだから、クレイジーだよ。最近のLoudblastのメンバーは、ほとんどフレッドの知り合いなんだ。

 

ー ドラムはニコラ・ミュラーがセッション・ドラマーとしてクレジットされていますが、実際にドラムをプレイしたのは彼なのでしょうか。

 

ステファン:そうだよ。エルヴェがLoudblastのドラマーで、彼とは92年から一緒にやってきた。「やりたくないのならバンドを辞めろよ」とでも言えば良いのだろうけれど、俺はそういうタイプじゃないからね。メンバーたちは俺の親友で、長年一緒にやってきた訳だし。エルヴェが「アルバムのレコーディングはやりたくない」と言うので、「オーケー、自分のことは自分で決めな」って。前作ではBenighted、そして今ではRise of the Northstarで叩いているケヴィンに頼んだのだけれど、今回は都合が合わなくてね。一番の候補だったのだけれど。それでニコラに電話した。彼は素晴らしいドラマーだよ。13曲プラスEPを4日で仕上げたんだ。

 

ー 『Altering Fates and Destinies』というタイトルは、どのような意味が込められているのでしょう。

 

ステファン:これは人生について。このアルバムはとてもパーソナルなもの。さっきも言ったように1人で書いたからね。最後は1人ではなかったけれど。俺のバンド、Loudblastは色々なものを変えてきた。俺の人生も含めてね。運命というものは自分で選択できる。答えを待つのではなく、最終的には自分で選択をしなければならない。そういう意味だよ。

 

ー アートワークはこのタイトルと関係があるのでしょうか。

 

 

ステファン:前作はEliran Kantorに描いてもらって、今回も同じようなカラーが欲しかった。今回はKhaos Diktatorに依頼することにして、彼らにデモを送ったんだ。「Covid 1」、「Covid 2」なんていう仮タイトルの(笑)。そして彼らが送ってきた最初のスケッチをとても気に入ったんだ。デモの段階ではまだ歌詞はなくて、ただのデモだった。アルバムの50%くらいのインスト。それで6回ほどやりとりして、細かいところまで仕上げていったんだ。

 

ー 歌詞の多くはラヴクラフトのようですが、コンセプト・アルバムなのですか。

 

ステファン:いや、そうではない。さっきも言ったように、これはとてもパーソナルなアルバムで、ただ自分自身について、そして自分自身のストーリーを語っただけだよ。パンデミックがあり、去年はたくさんのプロジェクトに関わったりとか、たくさんの変化があった。俺は同じことをやり続けるタイプの人間ではないからね。自分の生活からも多くのインスピレーションを受ける。だから死への恐怖とか、明日に対する恐怖とか、中毒とか。今は何の中毒でもないけれど、かつてのね。それ以外はラヴクラフトへの愛。ラヴクラフトの本はすべて読んだよ。初期の頃、16歳の頃ラヴクラフトの歌詞をよく書いていたけれど、あれから40年経って、再びラヴクラフトに戻ってきたんだ。

 

ー ジェイムズ・シャンセという人が歌詞の共作としてクレジットされています。

 

ステファン:彼は近所に住んでいるイギリス人なんだ。彼のおかげでラヴクラフトの歌詞をまた書こうと思ってね。

 

ー アメリカの元祖デス・メタル・バンド、Necrophagiaのカバーが収録されています。

 

ステファン:『Season of the Dead』は最高のアルバムだからね。(ヴォーカリストの)Killjoyは天才だったよ。「だった」とは言いたくないのだけれど。(注:Killjoyは2018年に逝去。)あのアルバムは俺の人生にとって重要な作品なんだ。当時Iron MaidenやJudas Priestみたいなバンドが人気で、だけど『Season of the Dead』はまったく違う作品だった。深くインスピレーションを受けたよ。あのアルバムの曲はどれもカバーしたい。演奏も素晴らしいし、曲も素晴らしい。とてもユニークな作品さ。Necrophagiaが俺のサウンドを定義したと言えるよ。

 

 


 

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2025年1月10日

Loudblast

『Altering Fates And Destinies』

CD

【CD収録曲】

  1. フロム・ビヨンド II (ザ・リターン)
  2. ピュートリッド・エイジ・オブ・ディケイ
  3. クリスタル・スキン
  4. ミゼラブル・フェイリアー
  5. ヒー・フー・スランバーズ
  6. サン・オブ・ネイムレス・ミスト
  7. ダーク・アリージェンス
  8. インヘイル・ザ・ヴォイド
  9. カースド・アンド・ヴェイルド
  10. フォートレス
  11. ゼイル・ネヴァー・キャッチ・ザ・グリント・オブ・サンライト・アゲイン《ボーナストラック》
  12. ザ・パス・トゥ・ジ・エンド《ボーナストラック》
  13. フォービドゥン・プレジャー《ボーナストラック》

【メンバー】
ステファン・ビュリエ (ヴォーカル/ギター)
フレデリク・ルクレール (ベース/ギター)
ニクラウス・ベルゲン (ギター)
エルヴェ・コケレル (ドラムス)