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ディーコン・D
(ヘトローツェン)
独占インタビュー

演奏という面に関しては
どういうものにしたいかという
クリアなヴィジョンがあった
「ほぼ完璧」という状態のみを良しとして
俺たちの三位一体性の中での
一体感も追求しようとした

                                   

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文:川嶋未来 Photo by Carol Dark

チリ出身、そして現在スウェーデン在住のブラック・メタル・バンド、ヘトローツェン。そんな彼らが5年ぶりとなるニュー・アルバム『フォスフォロス Vol1』をリリースする。ということで、リーダーのディーコン・Dに話を聞いてみた。

 

 

ー ニュー・アルバム『フォスフォロス Vol1』がリリースになります。過去の作品と比べてどのような点が進歩していると言えるでしょう。

 

ディーコン・D:集中、明瞭でシンプル。演奏という面に関しては、どういうものにしたいかというクリアなヴィジョンがあった。つまり、演奏者として「ほぼ完璧」という状態のみを良しとして、さらにいわゆる俺たちの三位一体性の中での一体感も追求しようとしたということ。これまでも、俺たちはいつもニュー・アルバムを、それ自体で完璧に独立したユニークな存在だとみなしてきたし、それは今後も変わらないだろう。

ー 『フォスフォロス』(=燐)というタイトルにしたのは何故ですか。どのような意味が込められているのでしょう。

 

ディーコン・D:最初はほかのタイトルも候補にあったのだけどね、結局しっくり来なかった。それで色々と調べて、結局「フォスフォロス」という単語がもっとピッタリ来るということに気づいた。今回は短いタイトルにしたいというのもあった。燐は非常に重要な元素であることに加え、「光の担ぎ手」、「明けの明星」も表すとてもパワフルなスピリチュアルの用語で、俺たちのイデオロギーや信条にピッタリなのさ。

 

 アートワークについてはいかがでしょう。これは何を表しているのですか。

 

ディーコン・D:アートワークが表現しているものは、精神的ブレイクスルーに他ならない。これには俺たち自身の永遠の真実のヴィジョンや、生、死、創造、そして「神」の純粋な意味を含んでいる。俺たちは真実というものを内面に向かって探索し、この次元の王国の中で到達できない場所へと旅をし、見る目を持ったものたちとともにヴィジョンを示したのさ。すべてのシンボル、色、形には意味がある。ただ適当に盲目的に描かれたんじゃない。

 

 

ー これはコンセプト・アルバムということですか。

 

ディーコン・D:そう言えるね。少々実験的だということもできる。それぞれの曲にはつながりがあって、アルバムの流れもそれに沿っている。これはあくまで第一章ということで、次の章に向けて、このアイデアを発展させ続けていく予定さ。

 

ー グノーシス主義があなたの最大の関心事のようですが、どのような点に惹かれるのですか。あなたのグノーシスの解釈はどのようなものなのでしょう

 

ディーコン・D:主に神秘主義的な側面だね。蛇/キリストの道の真の意味を教えてくれるんだ。独善的な宗教は、何世紀にも渡ってその真の意味を汚してきたから、俺たちはヴェールの向こうに真に隠されたものを探索したいんだ。俺たちは真実の探求者なのさ。これが俺たちの人生の燃料であり、これ無しでは生きられないよ。

 

ー そもそもエクストリーム・メタルにハマったきっかけは何だったのでしょう。

 

ディーコン・D:俺は10代らしい不安を多く持った反抗的なアウトサイダーで、自分の創造性や周りの環境へのフラストレーションの捌け口が欲しかったんだ。ブラック・メタルは俺に多くのクリエイティヴな表現の自由を与えてくれた。そしてすぐに地元のアンダーグラウンド・シーン内で、同じような探求者と出会うことになったんだよ。

 

ー どのようなメタル・バンドからインスピレーションを受けているのですか。

 

ディーコン・D:影響を受けたバンドはたくさんいる。もちろん他のバンドみたいなサウンドを出そうとは思わないから、影響を自分たちなりに解釈して俺たち自身のものに加えるのさ。具体的なバンド名となると、クラシックなバンドということになるな。Mercyful Fate/King Diamond、Judas Priest、Black Sabbath、Pantera、Slayer、Kiss。他にAutopsyやEmperor、Morbid Angel、Marduk、Kaosritual、Deathspell Omega、Katatonia、Kvist、Ulver、Bathory、Katharsis、Funeral Mist。

 

ー メタル以外からの影響もあるのでしょうか。

 

ディーコン・D:Christian Deathの『Only Theater of Pain』。Fields of the Nephilim、Devil Doll、Front 242。クラシックや現代音楽からの影響もある。バッハ、ワーグナー、ペンデレツキとか。それからAghast、Flamma Flamma、Carl Michael Bellman、Pink Floydとかも。

 

ー “ヘトローツェン”というバンド名にしたのは何故ですか。これはどのような意味なのでしょう。

 

ディーコン・D:”ヘトローツェン”というのは俺が過去に考えた名前・コンセプトなんだ。これは俺たちが情熱を燃やすものすべて、俺たちが愛するものすべて、俺たちが信じるものすべてを意味し、表現している。無から何かを作り出すのはとてもパワフルなことだと思う。何年もかけて通ってきた存在、自分にとって多くを意味する非常に個人的な何か、他の誰も使わないであろうと知っているものみたいにね。

 

 

 

ー スウェーデンに引っ越した理由は何だったのですか。

 

ディーコン・D:理由の一つは、チリにいるとバンドとして発展するチャンスがほとんどなかったということ。俺たちのアートを見せるために他の街へ行くだけでも大変なんだ。距離が遠すぎるから。それに当時コンサートのオーガナイザーもロクにいなかった。俺たちは多かれ少なかれバンドとして足掻いていたから、ヨーロッパに引っ越すチャンスを得た時、目の前の大きな扉が開いたように感じた。ここでは同じような考えの人たちを見つけるのが容易なだけでなく、文化的なものや芸術へのサポートもずっと手厚いからね。

 

 お気に入りのアルバムを3枚教えてください。

 

ディーコン・D:Judas Priest の『Defenders of the Faith』。Slayerの『Reign in Blood』。King Gizzard & the Lizard Wizardの『Polygondwanaland』。

 

ー では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

 

ディーコン・D:真の賢人はこう言った。「誰も何が起きているかなんてわからない。最高の推測は嘘。これは間違いない。俺たちは、自分たちが自分たちの知識の一番の道具としての自身の価値を減じるという情報のヒエラルキーという概念、そして政治家、聖職者、あるいは科学者であれ「専門家」による真実の語形変化を完全に認めた」と。―テレンス・マッケナ

 

 

文 川嶋未来

 

 


 

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2022年12月16日発売

ヘトローツェン

『フォスフォロス Vol I』

CD

【CD収録曲】

  1. ジ・アライヴァル
  2. シー・イン・ブラック
  3. ザ・ホール・オブ・ワンダーズ
  4. アブソープション・オブ・ザ・カーレント I
  5. アブソープション・オブ・ザ・カーレント II
  6. ヴァルタス・サタニ
  7. エト・イン・アルカディア・エゴ
  8. アイ・アム・シックネス、アイ・アム・デス
  9. パントクレイター
  10. ザ・コンジュアリング・オブ・ザ・セヴン・スピリッツ[ボーナストラック]

 

【メンバー】
ディーコン・D (ドラムス/ベース)
スティーヴ・ブランコ (ベース)
アヌビス (ギター/ヴォーカル)