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イゴール・アマデウス・カヴァレラ
(ゴー・アヘッド・アンド・ダイ)
独占インタビュー

確実にこれはパンクサイドとケルティック・フロスト
ポゼスト、エントゥームドのようなメタルのミックスさ
2つのスタイルを取り入れて混ぜ合わせたんだよ

                                   

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文:川嶋未来 Photo by Jim Louvau

あのマックス・カヴァレラと、その御子息、イゴール・アマデウス・カヴァレラが結成した新バンド、ゴー・アヘッド・アンド・ダイ。そのデビュー・アルバムは、ケルティック・フロストやディスチャージあたりの雰囲気を強烈に感じさせ、まさにドリーム・タッグによるオールドスクールへのオマージュといった仕上がり。という訳で、イゴールに色々と話を聞いてみた。

 

― まず、ゴー・アヘッド・アンド・ダイが結成された経緯を教えてください。

 

イゴール:2018年に親父とネイルボムのライヴをやったことが発端だったと思う。俺が(アレックス)ニューポートの代役をやって。それで一緒にバンドをやってみようというアイデアが出てきた。実際にバンドが結成されたのは去年、2020年のことさ。コロナのせいで、ツアーやショウもやれず、お互い時間があったからね。それで親父とデモを作って、デモができるとドラマーを見つけて、それでフルのバンドになったんだ。

 

ー ドラマーはケミス、ブラック・カースのザックです。どのようにして彼が加わったのでしょう。

イゴール:ザックはミックス、マスタリングをやってくれたアーサー・リスクの知り合いだったんだ。アーサーは俺たちの友人でね。それでザックを推薦してくれた。彼はブラック・カースでもドラムを叩いていたからね。俺たちは凄く速く叩ける、ブラストビートやDビートを叩けるドラマーが必要だったから。ザックに連絡してみると、とてもクールガイで、ドラミングも素晴らしくて、完璧に事が運んだよ。

 

 

 

ー ゴー・アヘッド・アンド・ダイの音楽的コンセプトはどのようなものですか。

 

イゴール:親父にとってはスタート地点への回帰、とても初期のセパルトゥラ、『Schizophrenia』あたりへのね。俺にとっては、もっとパンク、クラストっぽいものへのアプローチだった。ドゥームやディスチャージ、ブロークン・ボーンズとか。だから音楽的にはとてもクールなオールドスクール・デスとハードコア・パンクやハードコア・クラストのミックスと言えるよ。

 

ー カテゴライズするとしたらメタル、ハードコア・パンク、あるいはクロスオーバー

あたりでしょうか。

 

イゴール:クロスオーバーかな。間違いなくミクスチャだよ。

 

ー ケルティック・フロストのフィーリングを強烈に感じますが、これは意識的なものですよね。

 

イゴール:もちろんさ(笑)。確実にこれはパンクサイドとケルティック・フロスト、ポゼスト、エントゥームドのようなメタルのミックスさ。2つのスタイルを取り入れて混ぜ合わせたんだよ。

 

― 他にはどんなバンドから影響を受けていますか。

 

イゴール:ボルト・スロウワーとか、スカンジナビアのハードコア。KaaosとかRattusとかね。さまざまなスタイルが入っているよ。ゴッドフレッシュも少々。それからナパーム・デスのようなグラインドコア。

 

 

― 「ゴー・アヘッド・アンド・ダイ」はバンド名、アルバム名、曲名すべてになっていますが、曲とバンド名、どちらが先にあったのでしょう。

 

イゴール:バンド名が最初。バンド名が決まった後で、ブラック・サバスのファーストみたいにしようと思ったんだ。バンド名もアルバム名も曲名も同じみたいに。

 

― どういう意味が込められているのですか。

 

イゴール:コロナ危機の間、アメリカでは警官による暴力があったり暴動が起こったりした。”Go ahead and die”(どうぞ死んでください)というのは、政府が言っていることさ。良かったら死んでもらって構いませんよ。あなたたちに何が起ころうと、知ったことじゃありませんからって。だから、皮肉っぽい名前というか、コロナ危機の間、政府は国民を助けもせず、ロクに何もせず、「どうぞ死んでください」なんていう感じだからね(笑)。

 

― では、歌詞に込められたメッセージはどのようなものでしょう。世界に希望は無い、という感じですか。

 

イゴール:というよりは逆で、今の世界に対して声を上げ、立ちあがろうという内容さ。暗いものや腐敗について歌っているけれど、これに対して団結して生き残ろうということ。反政府、反体制、反権威的な歌詞だよ。

 

ー アートワークは非常にパンクっぽいですよね。これは何を表現しているのですか。

 

イゴール:カバーでは、警官がメタルかパンクっぽいキッズを押さえつけている。人々が警察や政府にどのように判断され、ターゲットにされているかを表しているんだ。特にメタルだったり、タトゥーがあったり、髪を染めていたり、オルタナティヴなルックスをしていると共感できると思う。アルバムは歌詞もサウンドも、そういう感じになっているんだ。デーモンやサタンみたいなイーヴルな内容を歌う必要はないと考えていて、もっと進歩的なイメージにしたかったから、アートワークはパンクキッズが警官や政府にやり返しているものにしたんだよ。

 

 

― エクストリームな音楽との出会いはどのようなものだったのでしょう。もちろん、お父様が著名なアーティストな訳ですが。

 

イゴール:最初期に聴いたヘヴィな音楽は、ディスチャージとか、さっきも挙げたパンク・バンドだった。どうやってハマったかというと、やっぱり音楽的な家族に育って、親父のCDや本が家中に転がっていたからね。そういうものを自分で見たり聴いたりするようになって、それで最初はパンクをとても気に入ったんだ。そうやって気に入ったものを見つけると、さらに深く掘っていった。子供の頃はMySpaceとか、初期のSNSがあったから、若いころはずっとインターネットを見ながらバンドを探したりしたものさ。親父と新しいバンドの情報を交換したりね。そういう訳で、だいぶ若いころから、おそらく13歳くらいから、物凄く速い怒りに満ちた音楽を聴いてきたんだ。もう結構長く聴いているよ(笑)。

 

― その若さでブロークン・ボーンズの名前が出てくるのは驚きです。

 

イゴール:宿題をきちんとやって、リサーチもしたのさ(笑)。

 

― その後デス・メタルにハマったのですか。

 

イゴール:その通り。10代の頃、パンクに出会った次は、スラッシュ、デス、グラインドコア、さらにブラック・メタルも少々聴くようになった。ほとんどはデス・メタルとグラインドコアだったけれどね。モービッド・エンジェルやマサカーとかが俺にとってもビッグ・バンドで、フロリダのデス・メタルがとても好きだった。エントゥームドなどのスカンジナヴィアのデス・メタルもね。ロックンロールやパンクを聴くようになると、それがきっかけで一気に世界が開けた。本当に何でもね。ほとんどあらゆるタイプのメタルが好きだよ。正しいバンドを見つけられれば、どんなタイプでも好きなんだ。

 

― あなたは完全にアメリカ育ちなのでしょうか。

 

イゴール:そうだよ。アリゾナで育ったんだ。

 

ー ギターを弾くようになったきっかけは何だったのでしょう。

 

イゴール:ただ弾きたくなったんだよ。両親が誕生日プレゼントにギターを買ってくれてね。10歳か11歳の頃かな。当時サバスやディープ・パープルなどが好きでね。それでギターを弾きたいと思っていて、それで実際に手に入れてみると、すぐにピンと来た。そこからベースもドラムも試してみたけれど、時間が経ってみると、やっぱりギターが俺にとってベストだったんだ。

 

― お気に入りのギタリストはいますか。

 

イゴール:間違いなくトム・G・ウォリアーが、俺にとってのレジェンド。デスのチャック・シュルディナーもね。初期のデスが好きなんだ。ニューロシスのスコット・ケリーとスコット・ヴォン・ティルからの影響も大きい。色々なギタリストが好きだけれど、こういうスタイルであれば、モービッド・エンジェルのトレイ・アザトホース・彼はクレイジーなシュレッダー・タイプだよね。ナパーム・デスのミッチ・ハリスやゴッドフレッシュのJ.K.ブロードリックからの影響もある。

 

― テクニカルなものよりも、オールドスクールがお好きなのですね。

 

イゴール:間違いないよ。あまりにクリーンになりすぎるとエネルギーや本質が失われると思うんだ。俺はシンプル・リフでパッションにあふれるものを聴く方が好きなんだ。フィーリングの無いテクニカル・リフなものよりもね。間違いなくオールドスクールの方が好きだよ。

 

ー トム・G・ウォリアーなどは一切テクニカルではないですが、偉大なギタリストですからね。

 

イゴール:彼は自分のスタイルを持っているから。そういうことが俺にとって大切で、独自のスタイルを持っているギタリストが好きなんだ。初期のヘヴィメタルでも、プリーストとかサバスはそうだよね。プレイにエネルギーやパッションがあれば、必要以上にテクニカルになる必要なんてないのさ。

 

― お父様の作品でも、やはり初期のセパルトゥラが好みですか。

 

イゴール:それは難しい質問だな。どれも良いからね。個人的には、もしセパルトゥラのアルバムを一枚選ばなくてはいけないとすると、『Beneath the Remain』。ソウルフライだったら、やっぱりファーストが一番好きかな(笑)。

 

― 初めてやったプロフェッショナルなバンドはLody Kongだったのでしょうか。

 

イゴール:それ以前にもMold Breakerというバンドに凄く短い期間いたけれど、ツアーをしたりと本格的な活動をしたという意味では、Lody Kongが最初だね。15歳の時に始めたバンドなんだ。

 

 

 

ー ゴー・アヘッド・アンド・ダイの今後の予定を教えてください・パンデミック収束後は、やはりライヴを予定していますか。

 

イゴール:もちろんさ。このバンドの音楽が持つ激しさ、スピード、バッションは、ライヴでの方がうまく表現できるだろうからね。ぜひ世界中のみんなにライヴを楽しんでもらいたいと思っているよ。もちろんもう少し世界の状況が改善してからということになるけれど。ライヴをやることで、人々を危険にさらしたくはないから、やれるようになったらすぐにやるよ。

 

ー メタルとパンクのお気に入りのアルバムを3枚ずつ教えてください。

 

イゴール:エクストリームなものから選ぶようにしよう。俺はストーナーやスラッジも大好きなのだけど、ゴー・アヘッド・アンド・ダイのインタビューだからね。まずはボルト・スロウワーの『The IVth Crusade』。エントゥームドの『Left Hand Path』。それからデスの『Leprosy』だね。パンクは、ディスチャージの『Hear Nothing See Nothing Say Nothing』。それからRattusのセルフタイトル。フィンランドのハードコア・バンドだよ。これはいい質問だね。お気に入りのパンクを聞くことで、どういうタイプのキャラクターなのかわかるから(笑)。そうだな、バッド・ブレインズの『Rock for Lights』。パンクはこのあたりが好きだよ。

 

― では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

 

イゴール:ぜひ日本にいってプレイしたい。みんなにも俺たちの音楽を聴いてもらいたいよ。クレイジーな状況だけど、日本のみんなもぜひ無事でいてくれ。アルバムをリリースして、日本に行くのが待ちきれないよ。

 

 

文 川嶋未来

 


 

 

 

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2021年6月11日発売

ゴー・アヘッド・アンド・ダイ

『ゴー・アヘッド・アンド・ダイ』

CD

【CD収録曲】

  1. トラックロード・フル・オブ・ボディーズ
  2. トクシック・フリーダム
  3. アイス・ケイジ
  4. アイソレイテッド / ディソレイテッド
  5. プロフェッツ・プレイ
  6. パニッシャー
  7. エル・クコ
  8. G.A.A.D
  9. ワース・レス・ザン・ピス
  10. (イン・ザ) スローターライン
  11. ロードキル

 

【メンバー】
マックス・カヴァレラ(ギター、ヴォーカル)
イゴール・アマデウス・カヴァレラ(ベース、ギター、ヴォーカル)
ザック・コールマン(ドラムス)