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カイル・トーマス
(Exhorder)
独占インタビュー

自分自身に問わなくちゃいけないんだ
「俺はこれを買うだろうか?」ってね
答えがノーなら、やり直さなくてはいけない

                                   

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文:川嶋未来 写真:Erik Hernandez

ニューオリンズのスラッシュ・メタル・バンド、Exhorderが5年ぶりのニュー・アルバムをリリース!元Cannibal Corpseのパット・オブライエンを迎えて制作された本作について、リーダーのカイル・トーマス(Vo, G)に話を聞いてみた。

 

 

ー ニュー・アルバム『Defectum Omnium』がリリースになります。過去の作品と比べ、どのような点が進化、変化していると言えるでしょう。

 

カイル:過去の作品と比べた場合、おそらく曲作りのクオリティとプロセスが、一番顕著な進歩をしていると思う。ジェイソン、サシャ、そして俺で、このアルバムのプリプロを始めた時、書いていた曲の最初のバージョンにこだわりすぎないことが大切だって話したんだ。だから、それらの初期バージョンを聴き返してみると、最高に良い部分だけを残して、それらと同等のインパクトがないパートに関しては、完全に書き直したり、ボツにしたりした。これは良いやり方さ。自分自身に問わなくちゃいけないんだ。「俺はこれを買うだろうか?」ってね。答えがノーなら、やり直さなくてはいけない。さらに、音的にもこのアルバムは強力だと思っている。特にベースの存在感が増したからね。以前のアルバムでは、あまりベースが聴こえなかったと思うんだ。ベースは3本目のギターとして扱われるべきではない。ベースにはベースの役割があって、それぞれのバンドが持つサウンドに対する重要性のレベルがあるのさ。ベースは他の何かよりも重要でないなんて考えられるべきではないよ。

 

ー オリジナル・ギタリストのヴィニーが脱退しています。何があったのでしょう。 

 

カイル:答えを知っているのはヴィニーだけさ。だけど、彼がハッピーではなかったということに関しては、かなり確信を持って言える。彼は自身のライフスタイル、そして間違いなく俺たちと一緒にいることを楽しんでいたとは思わない。まあ、前作から4年経って、他の3人はいまだに一緒にいて、俺たちはこのバンド史上最高に快適な、ストレス・フリーな環境にいる。そして今パットが加わったけれど、俺たちの平穏ぶりに一切の変化はないよ。仲良く一緒にツアーをやって、問題が起こっても、お互いリスペクトを持って、プロフェッショナルに対処する。俺にとってはそれが最も大事なことなのさ。

 

ー パットが加わった経緯を教えてください。彼はバンドに何をもたらしたでしょう。

 

カイル: パットとジェイソンは近所で育って、10代の頃からの知り合いなんだ。Morbid Angelのスティーヴ・タッカーも、同じ友人のグループにいる。俺がExhorderのギターを担当するようになった時に、ジェイソンが提案したんだ。パットに連絡して、セカンド・ギタリストとして加入しないか聞いてみてはと。彼がやって来て、一緒にジャムをしてみると、最初からパーフェクトだったよ。彼は落ち着いた、傲慢さや難しいところのないジェントルマンなんだ。とても心地よい経験だったし、彼は俺がスラッシュ・ギタリストとして成長するよう、ずっと励ましてくれている。本当にうまくやれているよ。彼のミュージシャンとしてのレヴェルは、この世のものとは思えないほど。彼と一緒にやれて、本当に光栄だよ。彼についてとても感心したのは、レコーディング前から、彼はソロだけを弾く予定だったんだ。ジェイソンと俺で、すべてのギター・パートを書いて、デモのギターもすべて録音していたから。パットは、俺たちのギターが十分素晴らしいと感じただけでなく、仮に彼がさっと曲を覚えたとしても、ジェイソンや俺と同じように曲を感じることは容易ではないからと、アルバムも俺たちで録音することを提案したんだ。そして、実際俺たちはそうしたし、それでとてもうまく行った。これこそ、プロフェッショナリズムの極みだよ。俺にとってはね。彼は自分の出番を減らしても、曲のクオリティを優先したんだよ。

 

ー アルバムのタイトル、『Defectum Omnium』について教えてください。

 

カイル:このアルバムは、そのテーマを反映する内容になっている。『Defectum Omnium』というのはラテン語で、「すべての失敗」という意味。今、世界はめちゃくちゃだろ?そして人々みんなにその責任がある。ほとんどの歌詞の内容は、抑圧、隔離、反抗みたいな、気持ちのいいトピックばかりさ(笑)。アートワークは、バルセロナにある『The Kiss of Death』という彫刻にインスパイアされた。母なる大地が、いかに俺たちを駆除しようとしているかと考えさせられるんだ。恐竜やマンモス、サーベルタイガーのように。俺たちは地球にとって、ウィルスであり、単なるノミでしかない。そして地球は俺たちにウンザリしているんだよ。

 

 

ー 「レーシング・ザ・ウェル(Lacing the Well)」という曲がありますが、これはどのような意味なのでしょう。 

 

カイル:曲を書き上げて、世間の発表してしまえば、意味は主観的なものになる。俺にとって何を意味するかは、どうでもいいんだ。そうではなく、君にとって何を意味するかさ。このアルバムに入っているすべての曲は、俺たちが経験したもの、乗り越えなくてはならなかった障害物からインスパイアされている。隠されたメッセージや意味なんてなくて、歌詞はかなりストレートなものになっていると思うよ。「Lacing the Well」というタイトルは、基本的に毒についての言及。飲み物にドラッグを混ぜて気を失わせて、相手を襲うなんていう場合があるだろ。これを、”lacing the drink”と言うんだ。だから、「毒水の井戸」というのが、このタイトルの意味。誰かが全員に毒を盛り、そいつらにつけこもうとしているということ。

 

文 川嶋未来

 


 

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2024年3月8日

Exhorder

『Defectum Omnium』

CD

【CD収録曲】

  1. ラス・オブ・プロフェシーズ
  2. アンダー・ザ・ガスライト
  3. フォーエヴァー・アンド・ビヨンド・ディスペア
  4. ザ・テイル・オブ・アンサウンド・マインズ
  5. ディヴァイド・アンド・コンカー
  6. イヤー・オブ・ザ・ゴート
  7. テイクン・バイ・フレイムス
  8. ディフェクタム・オムニウム/ストールン・ホープ
  9. スリー・ステージズ・オブ・トゥルース/レーシング・ザ・ウェル
  10. セディション
  11. ディセンシタイズド
  12. ユア・シックス

 

【メンバー】
カイル・トーマス (ヴォーカル/ギター)
パット・オブライエン (ギター)
ジェイソン・ヴィブルックス (ベース)
サシャ・ホーン (ドラムス)