伝説のメロディック・デス・メタル・バンドNortherの3人が再集結したCrownshiftが、アルバム・デビュー!と言うことで、ギタリストのダニエル・フレイベリに話を聞いてみた。
ー Crownshiftのメンバー3人は元Northerですよね。なぜまた集まって、新しいバンドを始めようと思ったのでしょうか。
ダニエル:その案は、ずいぶん昔からあったんだ。Northerにいた時から、いつか一緒にバンドをやろうという話をしていたんだよ。それで、今ちょうど良いタイミングと言うか、Norther解散後はみんなそれぞれ別のバンドに分かれて活動をしてきたけれど、バンドが解散したりで手が空いたのさ。パーフェクトなタイミングだと感じられたんだ。
ー そもそもNortherが解散した理由は何だったのですか。
ダニエル:オーマイゴッド、ずいぶんと前のことだからな(笑)。そうだな、バンドのメンバーの一部が、他のことで忙しくなりすぎてしまって、バンドとして将来を感じられなくなってしまったんだよ。簡潔に言うとね。
ー Crownshiftを結成するにあたって、ヴォーカリストはどのように選んだのでしょう。
ダニエル:トミーとも長い間の友人で、彼の声やトーン、スタイルが大好きだったからね。一番に彼のことが頭に浮かんだんだ。当然のチョイスさ。彼もデモを聴いて、「ファック・イェアー!」とエキサイトしていたし。とても簡単に決まったよ。
ー 「Crownshift」というバンド名は、どのような意味なのでしょう。何故このバンド名にしたのですか。
ダニエル:これはダブルミーニングっぽいというか、一つは「新しい始まり」、「新しい時代」ということ。それから「権力の移動」という意味にもとれる。どう解釈してもらっても構わないけれど、こんな感じの意味だよ。
ー つまり、あなたたちが新たにヘヴィメタル・シーンの覇権を握るという意味を込めているのでしょうか。
ダニエル:(笑)。まあ時間はかかるだろうけれどね(笑)。頑張るよ。楽しくなるだろうね。
ー Crownshiftの音楽は、メロディック・デス・メタルをベースとしながらも、バラエティに富んだものになっていますね。
ダニエル:俺は音楽をカテゴライズするのが苦手なのだけれど、俺たちの音楽は、いくつかのジャンルを混ぜ合わせたメルティング・ポットだと思う。本当にたくさんの要素が入っていて、それらすべてを挙げるのも馬鹿らしいほどさ(笑)。シンプルにメタルと呼ぶのが良いかな。
ー 具体的にはどのようなバンドからインスピレーションを受けているのでしょう。
ダニエル:これも長いリストになるけれど、いくつか挙げるとすると、俺の古くからのヒーロー、Alice Cooper、Guns N’ Roses、Steve Vai、Fear Factory、それからスウェーデンのヨーテボリ・シーン。In FlamesやSoilworkとか、これはわりとあからさまにわかると思う。あとはDream TheaterやSymphony Xみたいなプログレッシヴ・メタルも。
ー 確かにアルバム最後の曲は10分超のエピックなものですが、これはプログレッシヴ・メタルからの影響なのでしょうか。
ダニエル:そうだね、あれはとてもエピックでプログレッシヴな曲だよ。俺はプログレッシヴなメタル・バンドの長い曲が好きなんだ。あとはHelloween。彼らも時々とても長い曲をやるよね。他の曲は3-5分程度なのに、1曲だけ長いものが入っていると、これは何かスペシャルなものだってわかるだろう?そういうのが好きなんだ。あの曲は、書いていたらどんどん長くなってしまってね。「ストップしなかったらどこまで行くだろう?」ってやってみたんだ。ロジカルに「ここで終わりにできる」というポイントはあったのだけれど、どんどん長くしていったんだ。その結果があの曲。とても気に入っているよ。
ー なるほど、Helloweenの「Keeper of the Seven Keys」みたいに、1曲だけ極端に長い感じなのですね。
ダニエル:そう、まさにあれだよ。
ー Crownshiftの音楽は、メタル以外からも影響を受けていると思いますか。
ダニエル:そう思うよ。メタル以外にも、いくつかの他のジャンルからの影響はあるんじゃないかな。
ー 具体的にはどのあたりでしょう。
ダニエル:俺は80年代のシンセものが好きなんだ。Jan Hammerとか。『マイアミ・バイス』のサントラ等をやっていたアーティスト。キーボードのサウンドに、こういったアーティストからの影響が出ているかもしれないな。
ー ギタリストとしてロールモデルはいますか。
ダニエル:ロールモデルなのかはわからないけれど、お気に入りのギタリストであれば、さっきも挙げたSteve Vai、もっと新し目だと、Peripheryのギタリスト達も好き。古いところだとDimebag、Ozzyのギタリストたち。聞かれるとなかなかパッと他のギタリストが思いつかないよ。
ー 歌詞のテーマはどのようなものでしょう。
ダニエル:一つのテーマやコンセプトがあるわけではないけれど、多くの曲は、自己との戦い、自分が変わることについてさ。歌詞についてはトミー(Vo)の思考が反映されているよ。
ー アートワークは何を表しているのですか。
ダニエル:うーん、良い質問だな(笑)。ただイカしてるというだけで、あれにしたのだけど(笑)。マスクの向こうから、何か新しいものが現れているのさ。新たな力として。アーティストには特にテーマなどは伝えず、こういう色使いにしてくれというようなことしか言わなかったんだ。
ー バンドの今後の予定を教えてください。
ダニエル:ライヴもたくさんやるつもりさ。夏のフェスティバルにも出演するし、できる限りライヴをやっていきたい。ファンが見たがってくれるのであれば、俺たちはいつでもやる準備はできているよ。
ー オールタイムのお気に入りのアルバムを3枚教えてください。
ダニエル:日によって変わるけれど、Alice Cooperの『Hey Stoopid』、Dissectionの『Storm of the Light’s Bane』。3枚目はどうしよう。そうだな、Deathの『Symbolic』。
ー エクストリーム・メタルにハマるきっかけは何だったのですか。
ダニエル:Dissectionの『Storm of the Light’s Bane』さ。確かいとこがカセットを持っていたんだよ。それをたまたま聴いてね。「何なんだこれは?チェックしてみよう」と思った。最初はヴォーカルが理解できなかった。何しろ初めてグロウル、エクストリームなヴォーカルを聴いた訳だから、慣れるのに時間がかかったよ。あれが最初だった。
ー それ以前も、ヘヴィメタルやハードロックは聴いていたのですよね。
ダニエル:そう、だけどクリーン・ヴォーカルのものだけ。Guns N’ Roses、Metallica、Ratt、Mötley Crüeとか、80年代のものをたくさん聴いていた。
ー Dissectionに衝撃を受けた訳ですね。
ダニエル:そう、それからDeathの『Symbolic』も。これら2枚はほぼ同時に聴いたけれど、Dissectionの方が先だったと思う。
ー では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。
ダニエル:ぜひ俺たちのアルバム、曲を聴いてくれ。今年か来年、ぜひ日本のファンにも会いに行きたいな。
文 川嶋未来
【CD収録曲】
- ステラ・ヘイロー
- ルール・ザ・ショウ
- ア・ワールド・ビヨンド・リーチ
- イフ・ユー・デア
- マイ・プリズン
- ザ・デヴィルズ・ドラッグ
- ミラージュ
- トゥ・ジ・アザー・サイド
【メンバー】
トミー・トゥオヴィネン (ヴォーカル)
ダニエル・フレイベリ (ギター/バッキング・ヴォーカル)
ユッカ・コスキネン (ベース)
ヘイッキ・サーリ (ドラムス)