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ララ&ローラ
(バーニング・ウィッチーズ)
独占インタビュー

バンドを続けていて、後退することはできない
より良いものを作るしかないのよ
バンドでプレイしながら
新しいことを学んでいくのだから

                                   

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文:川嶋未来 Photo by Kevin Grab

デストラクションのシュミーアが全面的にバックアップするオール・フィーメイル・ヘヴィメタル・バンド、バーニング・ウィッチーズが、4枚目となるニュー・アルバム『ザ・ウィッチ・オブ・ザ・ノース』をリリース!ということで、日本で9年間働いていた経験も持つ親日派ドラマー、ララと、前作から加入したヴォーカリスト、ローラに話を聞いてみた。

 

 

― ニュー・アルバム『ザ・ウィッチ・オブ・ザ・ノース』がリリースになります。どのような作品になっているのでしょう。

 

ララ:前作の『Dance with the Devil』も良い曲がたくさん入っている素晴らしいアルバムだったけれど、今回はさらに音楽がエピックになっていて、より深い作品になっているわ。メロディックなハーモニーも増えているし、少しパワー・メタル寄りになっていると言えるかも。

 

ローラ:前回のアルバムに比べて、というか好みの問題でもあるかもしれないけれど、曲の展開が複雑になっているというのもある。全部の曲ではないけれどね。それからララ、あなたの新しいドラムセットのサウンドも素晴らしいと思うわ。

 

ララ:そう?ありがとう。それからバンドとしても成長したと思う。チームワークも向上したから、サウンド的にもさらに良い、ヘヴィなものになった。例えば、新しく加わったギタリスト、ラリッサは素晴らしいチーム・プレイヤーだし、ローラも彼女のヴォーカル・スタイルを見つけたと思う。今回彼女はさらにアグレッシヴに、ヘヴィに歌っているわ。

 

ローラ:そうね、確かにバンドに加入したての頃は、過去にこういう歌い方はしていなかったから、少々慣れる必要があった。今はずっと容易になってきたけれど、以前はもっとクリーンに歌っていて、こういうロウな、歪ませるような歌い方には慣れていなかったから。以前やっていたバンドもメタルではあったけれど、ハーシュな声はバッキングくらいでしか使わなかった。今ではいつでもフルパワーでこういう声が出せるし、一日中、何なら1週間でもずっとやっていられるわ(笑)。

 

ララ:ローラはキャッチーなサビを作ることでも有名なの。今回のアルバムではキャッチーなパートがたくさんあるわ。スラッシュっぽく始まるけれど、サビはとてもキャッチーという曲もある。間違いなくバンド史上ベストなアルバムよ。

 

ローラ:もちろんずっとより良い曲を書こうと頑張ってきたけれど、今回それが実現できたと思う。

 

ララ:バンドを続けていて、後退することはできない。より良いものを作るしかないのよ。バンドでプレイしながら新しいことを学んでいくのだから。演奏にしてもそう。ずっとやっていれば、演奏も進化していくもの。ヴォーカルも同じよ。今回アグレッシヴさやヘヴィネスを獲得することができたのよ。

 

ローラ:前回のアルバムでもそうしようとしたけれど、私にとってはまだナチュラルなものになっていなかったと言うか。

 

 

 

― パンデミック下のレコーディングとなりましたが、やはりいつもとは違う感じでしたか。

 

ローラ:少々退屈だったわ(笑)。

 

ララ:そうね、退屈だったけれど、コンサートも何もないなんていう状況は初めてだったから、これをうまく利用して、クリエイティヴに新曲を書いていったわ。

 

ローラ:気を散らすものがなかったから、集中できた。

 

ララ:そう、集中できたわね。

 

― 今回オペラ・シンガーが参加しているようですが。

 

ララ:あれはロマーナのお父さんなの。スイスでプロのオペラ・シンガーとしてやっていて、大きなオペラハウスで歌っているのよ。それで、ぜひ彼に歌ってもらおうと。とてもうまくいったと思うわ。

 

ローラ:おかげで物凄くドラマチックになったと思う。

 

― サヴァタージのカバーも収録されています。

 

ローラ:あれはとてもオールドスクールな曲で、ストーリー仕立てにもなっているから、アルバムに合うと思ったの。『ザ・ウィッチ・オブ・ザ・ノース』と「ホール・オブ・ザ・マウンテン・キング」だから、テーマ的にも合うでしょ。これは私の個人的なお気に入りの曲で、カバーする曲を選んでいる時に、この曲はどうかと思って提案したのよ。

 

ララ:私も最高に気に入っているわ。

 

ローラ:ドラマもあって、とてもうまく行ったと思う。ニュー・アルバムのインスピレーションの1つにもなったわ。

 

― バーニング・ウィッチーズとして影響を受けたバンドとなると、どのあたりでしょう。

 

ララ:バンドとしてだと、マノウォー、ジューダス・プリースト、アイアン・メイデン、アイスド・アースあたり。ロマーナがメイン・ソングライターなのだけれど、以前にやった「Maiden of Steel」なんかはとてもマノウォーっぽいわ。

 

ローラ:いわゆる”Metal Hymn”っぽい曲。とても気に入っている。

 

 

 

― アルバムのテーマについて教えてください。部分的にコンセプト・アルバムになっているように見えますが。

 

ローラ:アルバムを作り始める前に「北の魔女」というテーマを思いついて、多くの曲がこのテーマに沿った内容になっているのだけれど、リリシストとして、少し自由に書きたいという気持ちもあった。個人的にはコンセプト・アルバムは大好きなのだけれど、このアルバムに関しては完全なコンセプト・アルバムではない。他のテーマも少し混じっているから。多くの曲が、古い北欧神話の戦いとかの内容にはなっている。フレイヤやオーディン、ラグナロックとか。だけど、他の神話からもインスピレーションを受けているわ。当時の人々は移動もしただろうし、交易などもしていたから、それぞれの神話がミックスされていったということもある。違った文化同士で、ほとんど同じ内容の神話を持っているということもあるわ。フレイヤとフリッグは実は同じ女神だと考えられることもあって、これらの女神が魔女に人を呪ったり、祝福したり、未来を予言したりする力を与えたと考えられている。さまざまな文化のミックス。フレイヤを主役の魔女とするのは興味深いと思った。ドルイドはイングランドやドイツなど、もう少し南の人たちだったけれども、多くの共通事項を持っているから、ドルイドについても触れているわ。

 

― アートワークもやはりフレイヤを表現しているのですか。

 

ララ:そう、あれはフレイヤであると同時に、『ロード・オブ・ザ・リング』のエンツからインスパイアされたもの。これを描いたクラウディオ・ベルガミンは、ジューダス・プリーストの『Firepower』も手がけているわ。

 

ローラ:このアートワークはとても気に入っている。フレイヤの足元からはポジティヴなエネルギーが出ていて、フレイヤは愛の女神でもあると同時に戦いの女神でもある。このフレイヤには怒りは感じられないけれど、必要があれば、つまり愛するものを守るためには怒りを伴うこともあるの。愛の女神だけれど、守るための力も持っている。

 

 

― 今回もシュミーアがプロデューサー、V.O.プルヴァーがエンジニアを務めています。彼との仕事はいかがですか。

 

ララ:バンドを始めた頃から一緒にやっているから、とてもやりやすいわ。もう4枚目のアルバムだから、お互いのこともよくわかっていて、まるで家族で仕事をしているようだし。とてもアットホームで、楽しくレコーディングができる。彼らはこういうスタイルについて熟知もしているし、彼らと一緒にやれば良いものができるということはわかっているから。

 

ローラ:彼らは80年代から活動しているから、80年代のサウンドをわかっているのよ。80年代っぽいサウンドを得るのに、とても助けになっている。

 

ララ:オールドスクールね。

 

ローラ:その通り(笑)。

 

― ギタリストのソニアが脱退し、新たにラリッサが加入しています。

 

ララ:ソニアは自分のプロジェクトに専念したいということだったから。彼女は色々とプロジェクトをやっていて、それにデス・メタルの方が好みなの。私たちがやっているのはヘヴィメタルでしょう?でも問題ないわ。誰しもが自分たちのやりたいことを選ぶ権利がある。それでお別れしたのよ。ラリッサが入ってくれて良かったわ。彼女はギタリストとしても素晴らしいし、やる気もある。それにチームプレイヤーとしても優れているわ。いくら演奏がうまくても、チームプレイができなければ、長続きしないから。とても謙虚だし、とてもクールよ。彼女が入って良かった。

 

ローラ:彼女は今日ご飯を作ってくれたわ。デザートも。お料理がとても上手で、とても満足(笑)。

 

ララ:彼女はヴェジタリアンなのよ。

 

― ラリッサはどうやって見つけたのですか。

 

ララ:彼女はロマーナとダミールの古い友達で、ダミールのバンド、ゴノリアス、今はゴモラという名前だけれど、のアルバムに参加したことがあるの。ロマーナと同じ高校にも行っていたから、子供の頃からの知り合いなのよ。

 

ローラ:それに彼女はオールドスクールなヘヴィメタルが大好きだし。ジューダス・プリーストとか。デモリション・ハマーのポスターを壁に貼っているくらい。

 

― ローラはどのようにしてバーニング・ウィッチに加入したのでしょう。

 

ローラ:ソニアから突然連絡があったのよ。

 

ララ:(笑)。

 

ローラ:彼女は私が自分のバンドのためのコスチュームを作ったりしていることも知っていて、私がすでにバンドにふさわしいスタイルを持っていることをわかっていたのだと思う。確かに私はワスプやジューダス・プリーストとか、80年代のメタルを聴いて育ったから、ああいうコスチュームでやっていた。私は違ったスタイルのバンド、シンフォニックなスラッシュ、シンフォニック・パワー・スラッシュ、デス・メタルっぽいバンドで歌っていたけれど、オールドスクールも好きなことを知っていたから、私にコンタクトしてきたの。それに私はジューダス・プリーストの「A Touch of Evil」のカバーなんかをネットにアップしていたから、それを聴いて気に入ってくれたのだと思う。私もバーニング・ウィッチーズのことは知っていて、曲も好きだったから、すぐに承諾したわ。

 

ララ:ローラが初めてやって来て、「Wings of Steel」を歌った時のことを覚えている。彼女の歌を聴いて、鳥肌が立った。本当に素晴らしくて。

 

ローラ:本当?

 

ララ:本当の話よ!

 

― ローラのお気に入りのヴォーカリストを教えてください。

 

ローラ:メタル以外にも好きなヴォーカリストはたくさんいるから難しいのだけれど、やっぱりロブ・ハルフォードね。ダイナミクスも素晴らしいし、彼の声は特別よ。それから、シンフォニーXのラッセル・エレン。他にもたくさんいる。ヘイルストームのリジー・ヘイル。彼女の声の歪ませ方は本当にカッコいいわ。

 

― ララのお気に入りのドラマーは誰でしょう。

 

ララ:たくさんいるわ。私がドラムを叩いている理由はカーカスを聴いたから。ケン・オーウェン。クリエイターのヴェンターも大好き。エクソダスのトム・ハンティング。『South of Heaven』はスーパークールなアルバムよ。デイヴ・ロンバード。彼らがいなければ、私はドラムをやっていなかったと思う。それ以前はギターをやっていたのよ。ハードコアのバンドで。ドラムは本当に楽しいわ。

 

― お気に入りのアルバムを3枚教えてください。

 

ララ:オーケー。でも難しいわ(笑)。ベーシックなのにしましょう。ジューダス・プリーストの『Painkiller』。スレイヤーの『South of Heave』。クリエイターの『Extreme Aggression』。あ、ごめんなさい、D.R.I.を忘れてた!

 

― どのアルバムでしょう。

 

ララ:『Thrash Zone』、『Dealing with It』、『Four of a Kind』。たくさんありすぎるわ。あ、『Crossover』、オーマイゴッド(笑)!次はローラの番。

 

ローラ:まだ思いついてない(笑)。そうね、エルヴェイティの『Ven』。初めて聴いた彼らの作品はこれだった。ワスプの『Dying for the World』。最後の一枚は難しいわ。

 

ララ:アイアン・メイデン、ジューダス・プリースト。あ、サヴァタージは?

 

ローラ:(笑)。やっぱりジューダス・プリーストの『Painkiller』ね。

 

― では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

 

ララ:任せて、日本のファンへのメッセージを用意してあるの!日本語で言うわね。

 

ララ:ニホンノミナサン、コンニチワ。

 

ローラ:イツモオウエン、アリガトウゴザイマス。

 

ララ:イチニチモハヤク、ニホンノミナサンニ、オアイシタイデス!

 

 

文 川嶋未来

 


 

 

 

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2021年5月28日発売

バーニング・ウィッチーズ

『ザ・ウィッチ・オブ・ザ・ノース』

直筆サインカード付CD

CD

【CD収録曲】

  1. ウィンターズ・ラス
  2. ザ・ウィッチ・オブ・ザ・ノース
  3. テインテッド・リチュアル
  4. ウィ・スタンド・アズ・ワン
  5. フライト・オブ・ザ・ヴァルキリーズ
  6. ザ・サークル・オブ・ファイヴ
  7. レディ・オブ・ザ・ウッズ
  8. スロール
  9. オーメン
  10. ナイン・ワールズ
  11. フォー・エタニティ
  12. ドラゴンズ・ドリーム
  13. エターナル・フロスト
  14. ホール・オブ・ザ・マウンテン・キング(サヴァタージ カヴァー)《ボーナストラック》

 

【メンバー】
ローラ(ヴォーカル)
ロマーナ(ギター)
ラリッサ(ギター)
ジェイ(ベース)
ララ(ドラムス)