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ヘルムート
(ベルフェゴール)
独占インタビュー

どちらのアルバムも素晴らしい経験だった
アルバム制作、そして世界中のあらゆるところへ行こう
という情熱は、当時も今も俺たちの原動力さ

                                   

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文:川嶋未来

オーストリアの悪魔、ベルフェゴールによる初期2枚のアルバム、『ザ・ラスト・サパー』(95年)、『ブルートサバス』(97年)がリマスターされ、2枚組として再登場!ということで、バンドのリーダーであるヘルムート(G, Vo)に、当時を振り返ってもらった。

 

 

 

– デビュー・アルバム『ザ・ラスト・サパー』(95年)制作時は、どんなバンドから影響を受けていたのでしょう。

 

ヘルムート:ロックやメタルというのは魔法のような”Musick”さ。たくさんの素晴らしいバンド、才能のあるミュージシャン、そして素晴らしいステージ・パフォーマンス。レコードをライヴで再現できれば、あるいはそれ以上に激しくやれれば、それが俺にとってベストなんだ。影響を受けたバンドか。俺は”Musick”に関してはとても心が広いからね。エクストリーム・メタルだけでもモービッド・エンジェル、スレイヤー、ナイル、メイヘム、ディーサイド、カンニバル・コープス、オートプシー、デスと、いくらでも挙げることができるよ。それから音楽面、歌詞の面ともに、ベルフェゴールにとって、クラシックからの影響も大きい。パガニーニ、ブラームス、モーツァルト、バッハとか。

 

– このアルバムにおける歌詞は非常にブルータルなものですが、どんなところからインスピレーションを得ていたのでしょう。

 

ヘルムート:「冒涜」と「倒錯」は、常に俺たちの歌詞のトピックであり、これは一切変わっていない。俺はたいていは落ち着いた、内向的な、反社会的な人間なんだ。たまには悪魔と踊らないと、彼の秘密を学ぶことはできない。もちろん、それは人間性の一部に背くものだけれど、キリスト教というのはいまだに存在する最悪の寄生虫の一つさ。俺の意見としては、確立された権威というのは、一般的にロクなものじゃない。インスピレーションを受けるのは、旅からだね。俺は旅に行く時、きちんと目を開いているから、多くの興味深いものを目撃したし、たくさんの興味深い人たちにも会った。人生における恐怖から、抽象的で変わった面に至るものすべてに、俺は惹かれてきた。開かれた心で旅をすれば、自分自身についても学ぶことは多いものだよ。人生ずっと同じところで過ごさないというのは良いことさ。

 

– このアルバムでは、歌詞は3曲分しか掲載されていません。これは何故なのでしょう。

 

ヘルムート:『ザ・ラスト・サパー』の歌詞は、特別良いものじゃなかったから、一番出来の良い3曲だけを載せることにしたんだ。

 

– 歌詞では英語とドイツ語を併用していますが、これは何故なのですか。

 

ヘルムート:94年の7”EP『Obscure and Deep』でドイツ語を使うようになって、その数年後からラテン語も使うようになった。以降は、どのベルフェゴールのアルバムも同じ。ラテン語はもう使われない言語で、響きがカッコいい。一方ドイツ語は、俺の母国語。冷たい響きのある言語で、アグレッションや命令を下すのにパーフェクトなサウンドで気に入っている。多くのポエム、呪文、チャントをオリジナルの言語のまま使うようにしているんだ。翻訳することで、せっかくの古い作品を歪めてしまうかもしれないから。ベルフェゴールの大部分は、個人的なニヒリズムへの傾倒を織り交ぜた、アンチ・ゴッド、アンチ・ライフを称賛する創造的表現なのさ。

 

– アルバム・ジャケットが強烈ですが、あれは何を表現していたのでしょう。

 

ヘルムート:あれはジーザスの胎児が切り刻まれているもので、ショックを与えようと思ったんだ。そして思い通り、うまく行ったよ(笑)。当時、ディストリビューター、レーベル、レコード店とたくさんのトラブルがあった。あのアルバムを店に置くのを拒否されたり、メールオーダーでも断られたことがあったな。このメチャクチャな世界で、いまだに最もブルータルなカヴァーの一つさ。

 

 

– 今の目で振り返ってみて、このアルバムをどうとらえますか。

 

ヘルムート:ブルータルで不快。そして傑出している。当時曲を書いて、リハーサルをし、それらをレコーディングした時の意図そのままさ。世界で一番不気味でエクストリームなバンドを目指していたのだから。ベルフェゴールにとって、ライヴ・パフォーマンスこそが本質であり、俺たちはいまだに地球上で最も激しいバンドの一つ。セレモニーのようなもので、俺たちはオーディエンスに向けて、自分たちのサウンド・コラージュに最上級のアグレッションで火を放つのさ。アーメン!

 

– ファースト・アルバムのリリース後、マックスとクリスがバンドを脱退します。

 

ヘルムート:記憶では、マックスは結婚して子供ができて、それで家族を優先したいということだったと思う。クリスに関しては、俺たちがやろうとしている方向性にそぐわなかったので、もちろん彼には敬意を表するけれど、俺たちのメンバーになるには要求されることがとても多いからね。マックスとは今でも時々連絡をしているよ。奴はいまだにメタルヘッドでクレイジー・ファッカーさ。素晴らしいね。

 

– セカンド・アルバム『ブルートサバス』(97年)では、ファーストと比べてどのような点が進歩したと思いますか。

 

ヘルムート:難しいな。何しろもう20年も前の作品だからね。歌詞も曲作りも、どちらも進歩していると思うよ。俺たちはいつでもベストを尽くし、それは時にうまく行くこともあるし、そうでないこともある。『ブルートサバス』は音質が非常に良くないけれど、そのヴァイブは素晴らしいと思う。ワイルドな時代だったよ。いつも酔っ払って薬をやって。

 

– この作品は、ファースト・アルバムよりもブラック・メタル的だと思いますか。もしそうだとすると、なぜよりブラック・メタル的な方向性へとシフトチェンジをしたのでしょう。

 

ヘルムート:俺は自分たちのサウンドに名前をつけるのが好きではないのだけれど、俺たちのやっていることは、NWOBHMから影響とクラシックのハーモニーを持つブルータルなデス、爆発的ブラック・メタルさ。もちろんサウンドはまるで戦争のようで、アレンジのディテールが飲み込まれてしまっている。まあ当時は今ほど音楽的に優れていなかったからね。だけど、どちらのアルバムも素晴らしい経験だった。アルバム制作、そして世界中のあらゆるところへ行こうという情熱は、当時も今も俺たちの原動力さ。

 

 

– 現在の目には、このアルバムはどのように映りますか。

 

ヘルムート:俺の人生の一部、日記のようなものさ。ついにこれら2枚のアルバムをリマスターして再発できて、俺たちのサウンドをサポートしてくれるみんなに聴いてもらえて嬉しいよ。この20年で、バンドとして、ミュージシャンとしてずいぶんと成長し、自分たちのコアなサウンドの中で、新たなレベルのエクストリームさへと押し上げたと言えるよ。

 

– では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

 

ヘルムート:まだタイトルは決まっていないけれど、6月に新しいアルバムが出る予定さ。日本、そしてすべてのアジアのメタルヘッド万歳!インタビューどうもありがとう。今年はまたぜひアジアにも行きたいよ。

 

 

文 川嶋未来

 

 


 

 

 

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2022年3月11日発売

ベルフェゴール

『ザ・ラスト・サパー&ブルートサバス』

2枚組CD

【CD収録曲】

『ザ・ラスト・サパー』

  1. ザ・ラスト・サパー
  2. ア・フューネラル・ウィズアウト・ア・クライ
  3. インペイルメント・ウィズアウト・マーシー
  4. マーチ・オブ・ザ・デッド
  5. ザ・ラプチャー・オブ・クリメイション
  6. エンガルフド・イン・エターナル・フロスト
  7. D.I.E.
  8. イン・リメンバランス・オブ・ヘイト・アンド・ソロウ
  9. ブラッドバス・イン・パラダイス・パート・2
  10. クルツィフィクション

 

『ブルートサバス』

  1. アブシュヴェールング
  2. ブラッケスト・エクスタシー
  3. ピュリティ・スルー・ファイア
  4. ビハインド・ザ・ブラック・ムーン
  5. ブルートサバス
  6. ノー・レザレクション
  7. ザ・レクイエム・オブ・ヘル
  8. ウンテルガング・デル・ゲクロイツィグテン
  9. パス・オブ・シン

 

【メンバー】

『ザ・ラスト・サパー』
マックス(ヴォーカル、ベース)
ヘルムート(ギター)
シグルド(ギター)
クリス(ドラムス)

 

『ブルートサバス』
ヘルムート(ヴォーカル、ギター)
マリウス(ベース)
シグルド(ギター)