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MAJESTICA

『ターミネーター2』のオープニングは、CGで作られた『ターミネーター』よりも見栄えがいいんだ

                                   

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文・取材  川嶋未来

サバトンのギタリスト、トミー・ヨハンソン率いるスウェーデンのマジェスティカ。もともとはレインエクシードという名で00年代初頭から活動していたが、今年サバトン同様ニュークリア・ブラストと契約。心機一転マジェスティカに改名してリリースされたニュー・アルバム『アバヴ・ザ・スカイ』が、バンド名のとおりのマジェスティックでエピックな傑作として大きな評判を呼んでいる。来年1月には日本が誇る5弦ヴァイオリニスト、Ayasaとのダブルヘッドライナーショウで初来日(といかマジェスティカ名義としての初ライヴ!)も決定しているマジェスティカ。リーダーであるトミーに、いろいろと話を聞いてみた。

 

 

トミー:ハロー。実はここ何年かで最悪の風邪にかかってしまってね。今は治ったのだけど、4日間寝込んでいて、注射をしたり薬を飲んだりで。声が変なのはそういうわけなんだ。可能な限り一生懸命喋るよ。

 

― なるほど、それは大変でしたね。ではインタビューを始めましょう。マジェスティカはもともとレインエクシードというバンドでした。レインエクシードは、あなたのソロプロジェクトとして誕生したのでしょうか。

 

トミー:最初は俺のほかに2人いるバンドだった。14歳の頃ね。2年後に彼らは抜けて、バンド名は俺がもらって、学校で一人で録音した曲名に使ったんだ。それがきっかけで、アルバム・ディールを得た。もちろんライヴではヘルプをしてくれるミュージシャンはいたけれど、『Welcome to the Theater』(5thアルバム、12年)までは基本的に俺のワンマン・バンドだったのさ。だけど、これはエゴによるものじゃないよ。すべてをコントロールしたかったというわけではなく、俺はいろんなプロジェクトに関わっていたからね。レインエクシードに関しては、自分で曲を書きたかったんだよ。人に何かを言われてやるのではなくて。だから1人でやりたかった。ライヴでヘルプをしてくれるという人がいれば大歓迎だったし、ギャラもきちんと等分していたよ。ライヴではメンバーを入れて、だけどスタジオは俺一人でというやり方をしていんだ。『Welcome to the Theater』のころになると、他のメンバーからのインプットも良いものだと思うようになった。それで、レインエクシードとしての最後のアルバム『A New World』(6thアルバム、13年)では、曲は俺が書いたけれども、レコーディングは他のメンバーも交えてやったのさ。

 

― レインエクシードを始めたころは、どんなバンドからのインスピレーションを得ていたのでしょう。

 

トミー:バンドを始めたころは、主にハンマーフォールだった。あとはストラトヴァリウス。その後CDコレクションが大きくなるにつれて、シンフォニーXやアヴァンタジア、ハロウィンとかね。あと、ゲイリー・ムーアからの影響は大きいよ。もちろん彼はパワーメタルをプレイしていなかったけど、俺のギター・プレイにはゲイリー・ムーアからの影響が表れていると思う。年とともに影響を受けたバンドは広がっていったんだ。レインエクシードの最初のデモは、完全に初期ハンマーフォールだけど。12年の『Welcome to the Theater』ではシンフォニックなパートやクワイヤがあって非常にマジェスティックだけど、当時はシンフォニーXをよく聴いていた。それから映画のサウンドトラックのエピックさにとても感銘を受けてね。サウンドトラックにヘヴィメタルを加えることで、そういうフィーリングが作り出せると思った。サウンドトラックを聴いているだけで、メル・ギブソンがスコットランド人に「俺たちの命は奪えても自由は奪えない」と語りかけるシーンが目に浮かぶだろ。(注:『ブレイブハート』のこと)こういうフィーリングを音楽で作り出すのは決して簡単なことではないけれどね。ハンマーフォールからはじまって、映画の音楽へとたどりついたのは、とても興味深い工程だったよ。

 

― 具体的にはどんな映画のサウンドトラックから影響を受けたのですか。

 

トミー:もちろん『ブレイブハート』。あとは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だね。実は昨日も見直したところなんだ(笑)。あと『ターミネーター2』。この映画は大好きなんだよ。サウンドトラックも素晴らしいし。『カリブの海賊』も。ジョン・ウィリアムズの作品はすべて素晴らしいよ。『スターウォーズ』、『ジュラシック・パーク』、『E.T.』。

 

 

― 80年代の映画がお好きなんですね。

 

トミー:そうなんだよ。大好きさ。

 

― 生まれは何年なのですか。

 

トミー:1987年だよ。

 

― お若いのに80年代の映画がお好きなのは何故なのでしょう。

 

トミー:子供のころからよく見てたんだ。VHSやテレビで。当時の映画というのは、今よりもずっと時間をかけて作られていたよね。今はなんでもCGでやってしまうだろ。CG自体は素晴らしいものだとは思うよ。だけど当時は、例えば『ターミネーター』のシリーズでは、スタン・ウィンストンが実際にロボットを作っていたわけさ。『ターミネーター2』のオープニングなどは、後のCGで作られた『ターミネーター』よりも見栄えがいいんだ。当時は小さな操り人形などを作って撮っていたにもかかわらず、CGよりもかっこいいんだからね。『スターウォーズ』もそう。当然現代の方が70年代よりも技術がはるかに進歩しているにもかかわらず、初期の作品の方がカッコ良かったりもするのさ。小さな模型なのに非常にリアルに見えて。『ターミネーター2』のビハインド・ザ・シーンを見たのだけど、核爆弾が街を吹っ飛ばすシーンは、小さな模型で撮影されているにもかかわらず、本当にリアルなんだ。こういうところが俺が古い映画が好きな理由さ。リアルな映像にするために、とても時間をかけて作っていたんだよ。それからもちろん音楽。古い『スターウォーズ』では、どのシーンにも音楽がついていて、素晴らしい雰囲気が作り出されている。

 

 

― バンド名をマジェスティカに変えた理由は何だったのでしょう。

 

トミー:実はレインエクシードは、14年、『A New World』をリリースした翌年にもレコーディングをやっていたんだ。だけど、ドラマーやレーベルなど、当時いろいろな問題があってね。あの時のレコーディングセッションについては、みんな悪い思い出しかない。契約上どうしてももう1枚作らなくてはいけなくて。録っていた曲も、デモの古い曲ばかりだった。まったくインスピレーションが湧かなかったからね。昼間仕事をして、夜は曲を書いて、週末にリハーサルをしてライヴをやる。そんな生活だったから、リラックスする暇がなかったんだ。とてもストレスを感じて、悪循環に陥ってしまった。それですっかり燃え尽きてしまって、すべてをやめて家に帰ったんだ。今回このニュー・アルバムを作り始めたとき、これはレインエクシードとして7枚目のアルバムになるはずだったのだけど、ドラムを伝説的なパワーメタル・ドラマー、ウリ・カッシュが叩いてくれからね。過去にやっていたことからはとてつもない進歩さ。だから、レインエクシードやそれにまつわる悪い思い出を水に流すというのは当然の行為だった。俺、クリス、アレキサンダーというメンバーは変わっていないけれど、新しい名前で再スタートを切るというのがね。同じ音楽、同じメンバー。しかしすべてが進歩している。曲も、フィーリングも、ルックスも、プレイも。14歳のころからレインエクシードというバンドをやっていたから、もちろんその名前を捨てるというのは寂しかったけれど。あと名前の使用に関して、以前のレーベルとの問題もあった。

 

ー ではバンド名として「マジェスティカ」を選んだのは何故ですか。

 

トミー:この名前を聞けば、俺たちがどういう音楽をプレイしているのかすぐにわかるだろ。マジェスティーでもなくマジェスティックでもない。こういう名前のバンドはすでにいるけれど、マジェスティカというのは使われていなかった。さらにレインシードのサード・アルバム『Majestic』へのトリビュートという意味もあった。レインエクシード時代を完全に捨て去ったわけではないという意思表示としてね。ほかにも色々な候補あったんだけど。「Rising Tide」、「Crystal Time」とか。だけど、なかなかピンとくるものがなかった。あるときWhatsAppでブレインストーミングをやっていて、いろいろバカみたいな名前を出し合っていたのだけど、そのうち1人が「マジェスティカ」という名前を出してね。これはクールな名前ではないかと思って、ニュークリア・ブラストにも提案してみた。そしたら彼らもとても気に入ってくれたんだよ。バンド名としてパーフェクトだろうと。

 

 

ー ニュー・アルバム『アバヴ・ザ・スカイ』の評判はいかがですか。

 

トミー:まじめな話、良いリアクションしかないんだ。悪いレビューは1つも目にしていないよ。一番悪かったもので、10点中6点。一番良かったのは10点満点で、多くは7−9点くらい。本当に素晴らしいよ。正直驚いた。こんなことは予想していなかったからね。レインエクシード時代は、良いレビューもあれば、悪いものもあるという感じだったから。とても一生懸命作ったからね。時間も、お金も、エネルギーもたくさんつぎ込んだ作品が良い評価を得るというのは、とてもハッピーなことさ。もちろんアルバムを聴いた人が全員気に入ってくれたとは思わないよ。だけど目にしたスコアの最低点が6というのは、俺にとってすべてのリアクションが良いということさ。

 

― 日本での評判もとても良いですよ。

 

トミー:それはクールだね!

 

― そもそものメタルとの出会いはどのようなものだったのですか。

 

トミー:俺はゲイリー・ムーアを聴いて育ったんだ。親父が小さいころから聴かせてくれたからね。その後14歳のころ、いとこのピーターがストラトヴァリウスを聴かせてくれた。その時初めてツーバスやハイトーン・ヴォーカルを聴いたんだ。本当に素晴らしかった。それでこういう音楽をもっと聴きたくて、ハンマーフォールを聴いて、さらにハロウィンやドラゴンランドみたいなバンドを聴き漁った。15歳のころのお気に入りのバンドは、ストラトヴァリウスやダーク・ムーアだった。スペインのね。エリサ・マーティンがヴォーカルの最初の2枚は、パワーメタルの最高傑作の1つだと思うよ。それからもちろんアヴァンタジアなども聴くようになった。

 

― お好きなヴォーカリスト、影響を受けたヴォーカリストは誰ですか。

 

トミー:やっぱりマイケル・キスクだね。彼がNo.1だよ。初期のトビアス・サメットやジョーイ・テンペストなども大好き。あとはセバスチャン・バック。15歳のころ、彼のおかげで俺は歌を始めたんだ。「18 and Life」のエンディングの、あんなに高くてパワフルなダミ声は聴いたことがなかったから、いつかこんな風に歌ってみたいと思ったんだ。素晴らしいヴォーカリストはほかにもたくさんいるけどね。最近トニー・マーティン時代のブラック・サバスを聴き始めた。彼は本当に才能があって素晴らしい声を持っているのに、とても過小評価されているだろ。彼はロニー・ジェイムズ・ディオでもオジー・オズボーンでもないからさ。俺としてはトニーこそがブラック・サバス史上最高のヴォーカリストだと思う。もちろんキャラクターの強さではオジーがNo.1なのだろうけど。

 

― ではお好きなギタリストは誰ですか。さきほどケイリー・ムーアの名が挙がっていましたが。

 

トミー:トニー・マカパインは素晴らしいね。あとはジェイソン・ベッカー。マーティ・フリードマン。あとは誰がいるかな。エリック・ジョンソン。「Cliffs of Dover」は何回聴いたかわからないよ。本当に素晴らしい曲さ。日本にも大好きなギタリストがいるよ。ガルネリウスというパワーメタル・バンドのギタリストなのだけど、何という名前だったかな。

 

― SYUですね。

 

トミー:そう、SYU。彼がリリースしたストラトヴァリウスやイングヴェイのカバーが入っているソロ・アルバムは素晴らしいよ。

 

 

― お気に入りのアルバムを3枚教えてください。

 

トミー:これは難しいな。ダーク・ムーアの『Gates of Oblivion』。それからアヴァンタジアの『The Metal Opera』のパート1。ストラトヴァリウスの『Visions』。

 

― 来年1月に来日が決まっています。これはマジェスティカとしての初ライヴとのことですが。

 

トミー:そう、マジェスティカ名義としては初めてのライヴになるよ。最近サバトンの活動でとても忙しかったからね。去年レインエクシードとしての最後のショウでは、『Above the Sky』から2曲プレイしたけどね。そのときはマジェスティカという名前はまだアナウンスされていなかった。

 

― 日本という国について、どのような印象をお持ちですか。

 

トミー:日本はお気に入りの国だよ。これまでに3回行ったのだけど、この間は彼女も連れて行って10日間ほど滞在してね。日本は文化も本当に素晴らしい。スウェーデンでは最高の食事をしようと思ったら高級レストランに行く必要があるけれど、日本では裏道の3席くらいしかない小さいお店でも最高のラーメンが食べられるだろ。だから日本では、豪華なレストランではなくて、小さなお店を探して回ったんだ。それで見つけたお店で食べたラーメン、いやあれはうどんだったな、あれは本当に最高だったよ。大阪のお店だったのだけど、入り口が小さくてね、俺はかがまないと入れないくらいだったんだ。俺も彼女も、こんなにおいしい麺は食べたことがないと思ったよ。日本のこういうところが大好きなんだ。食べ物も最高だし、みんな良い人たちだしね。

 

― では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

 

トミー:ハロー、みんな。マジェスティカを聴いてくれて、そして日本に呼んでくれてどうもありがとう。日本へ行って、自分の部屋で作っていた音楽をプレイするという、小さいころからの夢が叶って最高だ。とても感謝しているよ。日本に行くのが本当に楽しみさ。1月にみんなに会うのを楽しみにしているよ。

 

 

文・取材  川嶋未来

 

 

WARD LIVE MEDIA PRESENTS

-SYMPHONIC METALLIZATION-

MAJESTICA vs Ayasa Special guest:若井 望

 

《 開催場所 》

東京:渋谷ストリーム ホール

 

《 日程&開場/開演時間 》

2020年1月12日(日)   開場 16:00 / 開演 17:00

2020年1月13日(月/祝) 開場 16:00 / 開演 17:00

 

《 チケット代 》(税込/1名様)

・VIPチケット スタンディング 9,000円

・スタンディング 6,500円

(ドリンク代別途/当日+500円)

 

VIPチケット特典

■ 優先入場

■ 記念集合写真撮影 (MAJESTICA / Ayasa / 若井 望)

[お客様本人のカメラで撮影/1カット]

※開場前実施予定 / サイン会、握手会はございません。

※VIPに関する注意事項はこちら

 

チケット販売情報

プレイガイド一般発売 10月12日(土)10:00~ チケットぴあ(Pコード:165-283)

 

イベント特設サイト

http://wardrecords.com/page/special/symphonic-metallization/

 

MAJESTICA『アバヴ・ザ・スカイ』商品ページ

https://wardrecords.com/products/detail5052.html