前作「Reaching into Infinity」以来2年半ぶり、通算8枚目となるニュー・アルバム『エクストリーム・パワー・メタル』を、いよいよ9月25日に日本先行発売する多国籍メタル・バンド、ドラゴンフォース。「過激なパワー・メタル」という、まさに自らのサウンドを体現するようなアルバム・タイトルを冠した本作のテーマは『レトロ・フューチャー』。「俺たちのエピック・サウンドにさらに磨きをかけた作品」と自信を覗かせる通り、80年代特有の大げさな世界観を愛する彼らが、その理想像を具現化したような、『ドラゴンフォース・ワールド』全開の強力な内容に仕上がっている。なお本作には、長年ドラゴンフォースのファンであったというエピカのコーエン・ヤンセンがゲスト参加している。
ギタリストのハーマン・リに話を聞いてみた。
ー ニュー・アルバム『エクストリーム・パワー・メタル』がいよいよリリースになります。これまでの作品と比べ、どのような点が進化していると言えるでしょう。
ハーマン:ドラゴンフォースのアルバムを作るときは、いつでもドラゴンフォースが得意なことを、さらに高いクオリティでやる。サウンドに連続的な発展として、新たな次元を付け加えて行くのさ。今回のアルバムの一番強力な部分は、エピックなドラゴンフォース・サウンドだと思う。これはバンドが初めからもっていた要素だけど、今回はそれがとてもビッグになっている。俺たちはビッグなサビで知られていると思うけど、それがより強調されているんだ。「ザ・ラスト・ドラゴンボーン」、「ハイウェイ・トゥ・オブリヴィオン」、「コズミック・・・・」*、えーと、なんだっけタイトル思い出せないや(笑)。ともかくこれらの曲のサビはとても素晴らしいよ。今回ももちろん過激でクレイジーなギターソロ満載だし。
(*「コズミック・パワー・オブ・ジ・インフィニット・シュレッド・マシーン」)
「ハイウェイ・トゥ・オブリヴィオン」ミュージック・ビデオ
― 今回のアルバムでは、曲作りの分担はどのような感じで行われたのでしょう。
ハーマン:メインはサム・トットマンだね。フレッドも何曲か書いたけど、メインはサムだよ。一応クレジットを確認してみよう。1曲、エピカのコーエン・ヤンセンが関わった曲もある。サムとやりとりして曲を書いてもらったんだ。
― 「ザ・ラスト・ドラゴンボーン」には、非常に日本っぽい雰囲気を感じたのですが。
ハーマン:あの曲は戦いについてだよ。歌詞は、『Skyrim』というゲームにインスパイアされたんだ。『The Elder Scrolls』というシリーズの。空想の戦いの勝利みたいな内容さ。だから特に日本というわけではないんだ。
― 「リメンバランス・デイ」では、バグバイプのサウンドも使われています。
ハーマン:あれはコーエンが持ち込んだ新しい要素だよ。過去のドラゴンフォースのアルバムにはなかったものだね。コーエンのキーボード・プレイは違ったものだったけれど、同時に彼にはドラゴンフォース的なアプローチというものも説明をした。ビデオゲームやレトロ的な要素と、彼のオーケストレーションがうまく混ぜ合わされていると言えるね。
― 今回キーボードをコーエンに頼んだ経緯を教えてください。
ハーマン:彼がドラゴンフォースのファンだというのを知っていたからね(笑)。ずいぶん長い間ドラゴンフォースを聴いているらしくて。彼からアプローチがあったんだよ。キーボードとか、何か手伝えることはないかって。「公式に」彼と知り合ったのは、エピカとのヨーロッパ・ツアーでさ。4年くらい前だったかな。今回初めてヴァディム抜きでアルバムを作ったから、キーボードを担当してくれる人間が必要だったんだ。ヴァディムは去年バンドを抜けてしまったからね。
― 前作でもフレッシュゴッド・アポカリプスのメンバーが、キーボードのアレンジメントとしてクレジットされていましたが。
ハーマン:確かにフレッシュゴッドのメンバーも少し参加しているけど、あれはプロデューサーのイエンス・ボグレンが頼んだのさ。だから、彼らとは会ったことも話したこともないんだよ(笑)。あくまでプロデューサーのアイデアだった。
― 今回コーエンはアレンジメントも担当したのでしょうか。
ハーマン:いや、アレンジメントというより、曲を彼に渡して、それにキーボードを乗せてくれという感じだった。だから、キーボードのパートは彼のアイデアだけど、曲自体をアレンジしたわけではないよ。曲の構成を変えたりはしていない。
― アルバム・タイトルは『エクストリーム・パワー・メタル』と、ずいぶんとストレートなものですが、どのような意図が込められているのでしょう。
ハーマン:セカンド・アルバムの『Sonic Firestorm』をリリースしたときに、ボックスに「Extreme Power Metal」というステッカーを貼ってくれとレーベルに言ったんだ。「パワー・メタルの限界をぶち破った〜」みたいなやつ。当時、ドラゴンフォースと他のバンドの違いというものを、人々が理解していなかったからね。今回のアルバムのテーマは、レトロ・フューチャー・スタイルなんだ。アートワークもね。なので、タイトルも面白くて少々バカバカしい、80年代的な大げさでクレイジーなものにしたかったんだよ。それで、「『エクストリーム・パワー・メタル』というのはどうだい?」と提案したら、サムも気に入って、ジーも「ぜひそれにしよう」と。
― レトロ・フューチャーをテーマに選んだのはなぜですか。
ハーマン:俺たちはずっと80年代が好きなのさ。テーマや色使いとかね。なんとなく面白くて、今振り返って見ると、冗談のような感じで。当時のロック・バンドや、シンセウェイヴのバンドとかさ。俺たちはビデオゲーム・ミュージックも好きだし、パワー・メタルやエクストリーム・メタル、それにレトロなビデオゲーム、アーケードゲームの要素を混ぜ合わせた音楽をやっている。カバーにはランボルギーニも描いてあるし。とても80年代だろ(笑)。あまり真面目くさっているものではなく、さらに他のバンドとは違ったテーマでもあるし。
― あなたは何年生まれですか。
ハーマン:76年だよ。
― とすると、年齢的には80年代をリアルタイムで知っているわけですね。
ハーマン:いや、俺は80年代当時は香港にいたから、全然知らないんだ。香港を出て行くまで、ロックというものすら聞いたことがなかったよ。
― 80年代にハマったきっかけは何ですか。
ハーマン:俺は『エイリアン』や『ターミネイター』、『ロボコップ』みたいな映画が大好きだったんだ。そのあたりがきっかけだね。それから80年代終わりから90年代初めのビデオゲーム。80年代限定というわけではないんだ。80年代のロックを聴くようになったのは、90年代グランジが人気だったころ。ギターを始めて、いろいろなギタリストの作品を聴くようになってね。スティーヴ・ヴァイやジョー・サトリアーニなどを聴いて、さらに遡って、イングヴェイやジョージ・リンチなどを発見した。だから、80年代の音楽的イメージというよりは、そのギタープレイに魅かれたと言えるね。
― 先ほどビデオゲームからのインスピレーションというお話がありましたが、今回歌詞の面で、ほかにどのようなトピックが扱われているのでしょう。
ハーマン:そうだね、さっきも言ったように、「ザ・ラスト・ドラゴンボーン」は『Skyrim』というビデオゲームからインスパイアされた。あと、「トゥルーパーズ・オブ・ザ・スターズ」は、『スターシップ・トゥルーパーズ』という映画に基づいている。ほかの曲は、えーと、曲のタイトル全然覚えてないんだよ(笑)。ちょっとリストを開くね(笑)。1ヶ月前に子供が生まれてさ。
― それはおめでとうございます。
ハーマン:それで、いろんなことがありすぎて、それ以前にやったことをすっかり忘れちゃってさ(笑)。「ハイウェイ・トゥ・オブリヴィオン」は、空想のドライヴについての歌詞で、80年代のロック風の破壊的な内容。「リメンバランス・デイ」はちょっと趣が違う、ファンタジーっぽくない内容ではない。いろんな内容の歌詞を扱ってるよ。「コズミック・パワー・オブ・ジ・インフィニット・シュレッド・マシーン」は宇宙探検、スタートレックみたいなスタイルの歌詞だし。
― 今回プロデューサーを、イエンス・ボグレンではなくDamien Rainoudにした理由は何だったのでしょう。
ハーマン:レトロ・フューチャーがテーマのアルバムを作るなら、やっぱりロサンゼルスのプロデューサーに頼むべきだろ(笑)。デイミアンは、イエンスよりも知名度は劣るけど、素晴らしいプロデューサーだよ。素晴らしい仕事をしてくれたと思う。まあ実際デイミアンもアメリカ人ではないのだけど、ロサンゼルスのマジックをうまく閉じ込められたと思う。
― あなたは今ロス在住なのですよね。
ハーマン:そうだよ。
ー ロンドンと比べてどうですか。
ハーマン:まだわからないな。世の中は変わり続けているからね。
― 日本でのライヴの予定はいかがでしょう。
ハーマン:次回日本に行くときは、スペシャルなショウにしたいと思っている。ここ最近見せたショウとは違ってね。次回行くときは、巨大なセットを持って行くよ。日本には、ツアーの後半に行こうと思っている。レーザーや火のセットとか、可能なものはすべて持っていきたい。正直に言うと、日本のファンは、まだ本当のドラゴンフォースのライヴを見たことがないと思うんだ。なかなかセットを持って行くことができなくてね。だから、次回は俺たちが見せたいと思うドラゴンフォースのショウを、日本のファンに見せたいんだ。
― では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。
ハーマン:いつもサポートしてくれてどうもありがとう。次回日本に行くときは、間違いなくベストなドラゴンフォースなショウをお見せするよ。ニュー・アルバムは気に入ってもらえると思う。ニュー・アルバムを聴いて、ぜひそのPVを見てほしいな。
文・取材 川嶋未来
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2019年9月25日 日本先行発売予定
ドラゴンフォース『エクストリーム・パワー・メタル』
【100限定サインカード付CD+ボーナスライヴDVD+Tシャツ】¥8,000+税
【初回限定盤CD+ボーナスライヴDVD】GQCS-90758~9 / 4582546590161 / ¥3,500+税
【通常盤CD】GQCS-90760 / 4582546590178 / ¥2,500+税
【日本盤ボーナストラック/日本語解説書封入/歌詞対訳付】
【CD収録予定曲】
- ハイウェイ・トゥ・オブリヴィオン
- コズミック・パワー・オブ・ジ・インフィニット・シュレッド・マシーン
- ザ・ラスト・ドラゴンボーン
- ハート・デモリッション
- トゥルーパーズ・オブ・ザ・スターズ
- レーザーブレイド・メルトダウン
- ストレンジャーズ
- イン・ア・スカイフォージド・ドリーム
- リメンバランス・デイ
- マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン
《日本盤ボーナストラック》
- ビハインド・ザ・ミラー・オブ・デス
【日本盤限定ボーナスライヴDVD (ダウンロード・フェスティバル2018)】
- アッシィズ・オブ・ザ・ドーン
- ジャッジメント・デイ
- クライ・サンダー
【メンバー】
マーク・ハドソン(ヴォーカル)
ハーマン・リ(ギター)
サム・トットマン(ギター)
フレデリック・レクレール(ベース)
ジー・アンザローネ(ドラムス)
ドラゴンフォース『エクストリーム・パワー・メタル』 特設サイト