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ヴィニー・ラベラ『パンテラ対エグゾーダーみたいな図式は誤解だよ。誰も怒ってなんかいないんだから(笑)』

RELEASE INFO

文・取材  川嶋未来

90年代、ロードランナーに『Slaughter in the Vatican』(90年)、『The Law』(92年)という2枚のアルバムを残したニュー・オーリンズのエグゾーダー。80年代中頃に活動を開始し、基本的にはスラッシュ・メタルをプレイしていたが、レーベルのトラブルによりアルバム・デビューは90年とやや遅め。おかげでスラッシュの衰退、デス・メタルの台頭の波に飲み込まれ、正当な評価を受けられなかったという、ある意味不運なバンドである。93年頃に解散をしてしまうが、その後インターネット時代に入り、エグゾーダーの名はしばしば取り沙汰されるようになる。いわゆるグルーヴ・メタルの創始者は、エグゾーダーではないのか。もっとストレートに言えば、『Cowboys from Hell』におけるパンテラの音楽的転向の元ネタは、エグゾーダーではないのか。フィル・アンセルモが、エグゾーダーの大ファンであったことは間違いない。当時からエグゾーダーのTシャツを着用していたし、「パンテラの他のメンバーにエグゾーダーを聴かせた」とも発言しているのだ。まあ、エグゾーダー本人たちは、「俺たちこそが元祖グルーヴ・メタル・バンドだ!」なんて主張するつもりは、さらさらないようだが。

そんなエグゾーダーが復活。何と27年ぶりに3枚目となるニュー・アルバム『モーン・ザ・サザン・スカイズ』をリリースというのだから驚き。ということで、ギタリストのヴィニー・ラベラに、ニュー・アルバムのこと、そしてパンテラとの比較のことなど、いろいろと聞いてみた。

 

 

― まず非常に基本的な質問なのですが、バンド名はどのように発音するのでしょう。「エクスホーダー」と言う人もいれば、「エグゾーダー」と言う人もいます。

 

ヴィニー:”h”は読まないんだ。だから発音は「エグゾーダー」。「誰かを説得する」という意味の”exhort”という単語のモジりなんだよ。”h”を発音して「エクスホーダー」と呼ぶ人もいるけどね。ずっとそう呼んでいるのなら、それでも構わないよ(笑)。

 

― 27年ぶりのアルバムがリリースになりますが、これは過去2作とは音楽的に違ったものだと思いますか。

 

ヴィニー:凄く、というかいくつかの点において最初の2枚のアルバムとは違うと思う。まあ、これは故意にやったことだよ。俺たちに関する典型的な誤解というのは、そうだな、30年近くもまともに活動をしていなかったから、俺たちに関する情報が少なくて、バンドとして、ミュージシャンとしての意図が誤解されているというのかな、まあそれは構わないのだけど。俺たちはデス・メタル・バンドでもないし、スラッシュ・メタル・バンド、グルーヴ・メタル・バンドでもない。どこかにカテゴライズされるバンドではないんだ。まあ、スラッシュ・メタルっぽかったり、グルーヴ・メタルっぽいこともやっているけどね(笑)。人々に言いたいのは、君たちが俺たちに望むようなことを俺たちがやるとは思わないでほしいということ。十代の頃も、同じようなアルバムを2度作ったりはしないと決めていたんだ。もちろん、同じようなアルバムをまた作りたいと思わない限りにおいてね(笑)。バンドに限界を設けたくはなかったからさ。だから今回も、前の2枚とは違うものにしたかった。『The Law』が『Slaughter in the Vatican』とは全然違う作品だったようにね。一方で、本質的な、俺たちが使ってきたいわゆる成分というものも聞けると思うけどね。エグゾーダーを定義するような成分。だから、これは違う作品ではあるけれども、違うことをやってやろうとか、新しいスタイルを作り出そうと乗り出したわけではなく、俺たちはいつでも制限無しに音楽を作りたいということだけなんだ。それでファンが気に入ってくれれば良いし、そうでなければチャンネルを変えてくれ、ということさ。

 

― タイトルにはどのような意味が込められているのですか。タイトル曲の歌詞を読んだ限りでは、非常に詩的な内容でしたが。

 

ヴィニー:あの曲は、実は98年頃に書かれたんだ。その頃と、00年代初めにも再結成を試みたんだよ。うまく行かなかったけど。93年に一度解散をして、その後の6-7年でいろいろな変化があった。ライフスタイルにおいてね。カイルに子供が生まれ、俺にも娘が生まれた。「本当の生活」が始まったのさ(笑)。それまでは、ただツアーばかりしているミュージシャンだったから。当時生活がシリアスなものになるにつれ、曲の内容もシリアスになっていったんだ。05年にはカトリーナというハリケーンがアメリカの南部を襲った。「モーン・ザ・サザン・スカイ」の歌詞は、これらすべてのことを含んでいるんだよ。何か特定の1つのことだけを表しているのではなくてね。俺にとって、この曲は俺たちの生まれ育った場所についてさ。生活し、さまざまなチャレンジをしてきたこの場所のこと。一般的に、チャレンジとは人生そのもののことだろ。俺にとっては、この街のアンセムみたいなものさ。

 

― アートワークについてはいかがですか。燃えている人形は、タイトルと関係があるのでしょうか。

 

ヴィニー:もちろん。というか、微妙にだけどね。このアートワークの解釈は、見た人に委ねたい。これが何を意味しているかを、人々に押し付けたくはないんだ。解釈したいように解釈してもらいたいのさ。描かれているのはもちろんヴードゥー人形で、背景には教会がある。描かれている空は、もちろんアルバムのタイトルと関連付けられている。この人形は、死にかかっている老人で、新たなる人間へと乗り替わっているみたいな感じで、いろいろと共感できる部分があると思う。何年か経ってから、このアルバムの歌詞を読みなおせば、また違った解釈ができることだろう。君自身の特別な解釈もできると思う。

 

― 全体的な歌詞はどのような内容なのですか。「リッピング・フレッシュ」はスラッシュ・アンセムっぽいですし、かなり多岐にわたっているように感じたのですが。

 

ヴィニー:「リッピング・フレッシュ」は、86年のデモ『Get Rude』に収録されていたもので、この曲にはこれまで公正な機会を与えてこなかった。だから今回改めて録音し直して、みんなに俺たちがどういうバンドであったのかを思い出してもらいたいというのかな(笑)、そして今現在エグゾーダーがどういうバンドであるのかを示したかったんだ。このアルバムには「リッピング・フレッシュ」に近い曲もたくさん収録されているしね。歌詞という点では、この曲は当時俺が書いて、さすがに時代遅れな内容に感じるけど、まあ実際時代遅れなんだけどさ(笑)、とてもオールドスクールなスラッシュ・スタイルで、汚い単語もたくさん使われていてストレートな内容さ。ただ、ほかの曲については、俺は歌詞にはかかわっていないんだ。『Slaughter in the Vatican』では何曲か書いたけど、『The Law』では歌詞には一切携わらなかった。カイルは素晴らしい歌詞を書けるということがわかったからね、彼にすべて任せるようになったんだ(笑)。だから、歌詞の内容についてはカイルに聞いてもらったほうが良い。でも確かに非常にバラエティに富んだ内容だね。86年、あるいは85年くらいに書かれた「リッピング・フレッシュ」みたいなものもあれば、さっき話したタイトル曲や、「ルミネイション」みたいなものもある。これらはみな、カイルの頭の中から出てきたもので、確かに君の言うように、さまざまなトピックが扱われている。君の質問に答える方法としては、どんな歌詞を書きたかったかではなく、どんな歌詞は書きたくなかったという形で答えるのが良いかもしれないな。以前の俺たちの歌詞は、とても説教臭かったと思うんだ。「こうしろ、これはやるな、これをやってみろ、これは最低だ、こっちを試してみろ」ってね。だけど今回は、アドヴァイスを与えるのではなく、殺人や宗教などでもなく、現実的な内容にしたかったし、カイルもそういう歌詞を書いたのだと思う。

 

― あなたとカイル以外の新メンバーは、どのように選んだのですか。

 

ヴィニー:ベースのジェイソン・ヴァイブルックスとは、一緒にプロジェクトをやっていたんだ。彼は11年にエグゾーダーでもベースを弾いていたんだよ。とても短い間だけどね。ライヴ2−3回程度。ジェイソンから電話があってさ、「最近どうしてる?何か一緒にやろうと思って」って。それで俺のほうも何かやりたいと考えていたからさ(笑)。ドラムのサシャ・ホーンは元フォービドゥンで、ヒーゼンでもジェイソンと一緒にプレイをしていた。ジェイソンはグリップ Inc.にもいたし。ジェイソンとは長いつきあいなんだよ。もう25年になるかな。だから彼と一緒にやるというのは簡単なことだった。それでプロジェクト用にいくつか曲を書いてみたりしたのだけど、結局そのプロジェクトがエグゾーダーになった感じなんだ。つまり、ジェイソンがサーシャを連れて来て、カイルがマージ・モンタゼリを連れて来た。マージはフィル・アンセルモのジ・イリーガルズのサポート・ギターをやったり、スーパージョイント・リチュアルでギターを弾いていたり、他にもいろんなアルバムにゲスト参加してるんだ。メンバーを集めるのは難しくなかったよ。それに素晴らしいことに、メンバー全員が特別だということ。普通、5人のメンバー全員を同じ方向に向かせるというのはたやすいことではないだろ?同じくらいの情熱を持ってね。俺にとっては、ミュージシャンとしての腕よりもそっちの方が大事なんだ。だけど、彼らに腕がないということではないよ。彼らは素晴らしいミュージシャンさ。その上で、彼らのような人材を得られてとてもハッピーだね。おかげでとてもバンドはうまくいっている。

 

― パンテラとの比較についてはウンザリされているかもしれませんが、今回フィル・アンセルモと一緒にやっているマージが参加しているというのはとても興味深いことだと思いました。

 

ヴィニー:確かに奇妙だね。だけど、パンテラ対エグゾーダーみたいな図式は誤解だよ。誰も怒ってなんかいないんだから(笑)。90年代に入って、メディアが対立を煽りたてただけさ。それ以前はインターネットなんかもなかったし。インタビューで誰が誰をこきおろした、なんてすぐに大きな見出しで記事になることはなかっただろ。比較されるのは構わないけどさ、俺たちはビッグなバンドではなかったし、所属していたレーベルも小さくて、さらにそのレーベルでも最優先のバンドではなかった。もし、あくまで「もし」だよ、パンテラにせよ他のバンドにせよ、俺たちが影響を与えたのだとしたら、それは光栄なことだよ。そのことで気分を害したりなんていうことがあるはずがない。俺たちが腹を立てているなんてとんでもない誤解だよ。誰でも簡単な計算はできるだろ?俺が言いたいのは、85年当時、俺は自分が何をやっているかはわかっていた。だけど、他の人たちが何をやってるかはわからなかったということ(笑)。「Desecrator」とか、『Slaughter in the Vatican』に収録された曲はどれも、85年〜87年の間に書かれた。リリースされたのは90年だけどね。レーベルとの問題とか、色々と厄介なことに遭遇しなくてはいけなかったから、メインステージに出て行くのに時間がかかってしまった。いずれにせよ、比較されるのはうれしいよ。メタルのサブジャンルを作り出すことに貢献したのだとしたら、俺はきちんと仕事をしたんだということさ。これ以上望むものはないよ。

 

― 結成当時は、どのようなバンドから影響を受けていたのですか。

 

ヴィニー:俺たちはハードコアのシーンで育ったんだ。俺たちは何よりもパンクだったんだよ。確かに出している音はメタルだったし、当時エクソダスやメタリカ、デストラクションなんかも好きだった。当時は最盛期だったよね、新しいものがどんどん出て来て、お互いに影響を与えあって。俺たちはハードコアのシーンで育ったから、やっている音楽にもハードコアからの影響は大きかった。『Slaughter in the Vatican』を聴いてもらえれば、ハードコア的な毒がたくさん吐かれているのがわかると思う。『The Law』では、そこから少し脱却しているけどね。アルバムごとに音は変わっているけど、初期のころは、ブラック・フラッグみたいなやつとか。あとは、メタルでもパンクでもない、ニュー・オーリンズらしいもっとファンクっぽいのとか、ブルージーなの、あとジャズなんかからも影響を受けた。当時のベーシスト、アンディ・ヴィラファラは凄いベーシストだったよ。ラテンでもジャズでも何でも弾きこなしていた。

 

― ブラック・フラッグ以外だと、ほかにどのようなハードコア・バンドから影響を受けたと言えますか。

 

ヴィニー:ブラック・フラッグやG.B.H.の存在は大きかったね。もっとマイナーな、ヴァンダルズやアングリー・サモアンズとかも。パンク、ハードコアであれば、何でも好きだった。それが俺たちの生き方だったからね。当時のライフスタイルだったのさ。次の街に行くガソリン代を稼げるかもわからずバンにのってツアーをしていたからさ(笑)。こういうバンドからの影響ははっきりわかると思うよ。特に初期はね。

 

― 東海岸、西海岸、イギリス、どこのバンドもお好きだったのですね。

 

ヴィニー:何でもさ。一切の区別はなかった。エクストリームで俺たちに語りかけるものがあれば、何でも夢中になった。さっきも言ったように、他の音楽も聴いたし、それらからも影響を受けたけれど、パンクやハードコアとくらべたら控えめなものさ。まあ今は35年もすぎたからね、そうでもないかもしれないけど。同じアルバムを2度作りたくはないし。

 

― いわゆる「グルーヴ・パート」というのは、どのようなバンドからの影響だったのですか。ブラック・サバス、あるいはセルティック・フロストなのでしょうか。

 

ヴィニー:正直言って、ああいうパートを取り入れたメタル・バンドというのは聴いたことがなかった。ああいうフィールを取り入れたメタルやハードコアがあったなら、一日中聴いていると思うよ。当時、俺たちの音楽に、ニュー・オーリンズ特有のバックビートやリズム感覚を取り入れている意識は特になかったんだ。だけど、今改めて振り返ってみると、俺たちの音楽にはミーターズやドクター・ジョンのリズム感覚が何より顕著だよね(笑)。でも、これは意識してやったことではない。俺たちが育った環境によるものさ。子供の頃に耳にした音楽、ニュー・オーリンズで共有される知識とかね。今でも近所を歩いていると聴こえてくる音楽は、他のどんな街で聴こえてくるものとも違っている。だから、無意識的に自然に出て来たものだと思うよ。ニュー・オーリンズ以外のバンドも似たことをうまくやっているけど、やり方は違っているしね。何というか、あまり自然には聴こえない。非常にうまくやれていることもあるけれど、長くは続かない。間違っているとは言わないけど。俺たちが35年前にやったことで、5つのバンドの曲の書き方が変わったとしたら、彼らが俺の考えた要素を1つ取り入れて彼ら自身のスタイルを確立したとしたら、それが今俺がこうやってここに存在している理由さ(笑)。そういうものさ。音楽とはそういうものなんだ。音楽というのは、必ず何かに影響をされているものなんだよ。バンドであれソロのミュージシャンであれね。文学や映画でも、何でもさ。完全にオリジナルなものなんてありえないよ(笑)。

 

― カイルのヴォーカル・スタイルは非常に独特なものですが、どんなヴォーカリストからの影響なのか知っていますか。

 

ヴィニー:やつはヘンリー・ロリンズの大ファンなんだ。ヘンリーからは大きな影響を受けているよ。だけど、カイルはとにかくいろんな音楽を聴くんだ。ハンブル・パイとかも大好きだし、70年代のクラシック・ロックもよく聴いている。クイーンとか。映画がヒットしたから聴き始めたわけじゃないよ(笑)。だから色々な影響を受けているかもしれないけど、彼をバンドに入れたときに、こんなことがあったんだ。バンドを結成して4ヶ月目くらいに、カイルを初めてリハーサルに連れていった。そしたら彼が「どんなヴォーカルが欲しいんだい?低い声?それともクッキー・モンスターみたいなやつ?高音スクリームの方がいいかな?」って。だから俺はこう答えた。「いいか、俺が欲しいのは、お前がお前らしくあるヴォーカルだけだ」って。それで歌わせたら、まさにカイルの完全にオリジナルなヴォーカル・スタイルだったのさ。ついさっき、完全にオリジナルなものなんてありえないって言ったばかりだけどさ、カイル・トーマスに限ってはオリジナルだよ。あんな風に歌ったり、節回しやフレージングをやったヴォーカリストは他にいなかった。しかも、今でも成長し続けているしね。92年の解散のあと、彼は数え切れないくらいたくさんのバンドで歌ってきた。年とともにさらにうまくなって、いわゆる本当の歌も歌える。今回のアルバムでも披露している通りさ。俺たちは『Slaughter in the Vatican』のパート2を作りたかったわけじゃないからね。そんな簡単なことはやりたくなかった。リアルなことをやりたかったから。レーベルやマネジメントに「『Slaughter in the Vatican』のパート2を頼む。それなら売れるから」なんて言われてやったとしたら、そんなものはフェイクでしかないだろ。カイルが歌詞もよりオリジナルな方向性にしたのもそういうことさ。カイル自身のひねりを加えたんだよ。

 

― 90年代初めにスラッシュ・メタルをプレイするというのは、やはり大変でしたか。

 

ヴィニー:80年代、スラッシュがホットだったころのほうがずっとイージーだったよ(笑)。86年ころは、インパクトのあるスラッシュ・メタル・バンドも数えるほどしかいなかったけど、俺たちがアルバムを出したころはすでに時期は去っていたからね。レーベルと契約して、話しがポシャって、改めて契約をしてアルバムが出たとき、すでに90年になっていた。その頃すでにデス・メタルが大きなブームで。当時のロードランナーが強行に進めていたビジネスモデルはデス・メタルだったから、俺たちをモリサウンド・スタジオに行かせて、型にはまったデス・メタル・サウンドにしたんだ。俺は古いデス・メタルが大好きだから、それはそれで良かったのだけど、俺たちはそういうタイプのバンドではなかったからね。だけど、当時彼らには、すでに隅に追いやられていたピュアなスラッシュ・メタルに俺たちを押し込めるというチョイスはありえなかったのさ。難しい時期だった。それも92年に俺たちが解散した原因の一つさ。場違いだったというのかな。誰も聴きたがっていないスラッシュ・メタルをプレイするというのは簡単なことじゃなかった。

 

 

― ロードランナーの前に契約したレーベルとは、どこだったのですか。

 

ヴィニー:Mean Machine Recordsというレーベルだよ。どこかのレーベルの傘下だったはずだけど、どこだったかな。名前は忘れてしまったけど、そのレーベルを経営していたのは、今Blabbermouthを運営しているボリボフさ(笑)。だから、俺たちはボリに発掘されたと言える。その前に、86年くらいにロードランナーに契約を断られてるんだ。それでボリと契約したのだけど、結局彼のレーベルは倒産してしまった。親レーベルの資金繰りに問題があってね。そのレーベルと契約するはずだったのは、俺たちとエイシストだけのはず。それで結局俺たちはロードランナーとサインをすることになるのだけど、おかげでキャリアの2年半を無駄にしてしまったというわけさ。いや、ほとんど3年かな。

 

― 93年に解散した理由は何だったのですか。

 

ヴィニー:すべて話すととても長くなるのだけど、簡単に言えば、俺たちは85年から93年まで必死に戦ってきた。その間、いろいろな障害があった。ボリとの契約の問題で、3年間も何もできずに待ち続けなければならなかった。ロードランナーと契約をしたあとも、ろくにサポートも受けられず、ツアーも極小のものしかやれなかった。飲みすぎてツアーからおろされたこともあったな(笑)。とにかく問題が多すぎて、最終的にすっかり疲弊してしまったんだ。練習して、素晴らしい曲書いて、良いアルバムも作った。もちろん完全に思った通りのアルバムになったわけではないけれど、きちんとしたアルバムだった。だからブレイクするチャンスもあると思った。それで結局、お互いを非難するようになってしまったのさ。7年間も頑張ってブレイクできなかったわけだからね。

 

― 最近のメタル・シーンについてはいかがですか。昔よりもよくなっているでしょうか。

 

ヴィニー:(笑)難しい質問だな。悪いことは言いたくないし、もちろん素晴らしいバンドもいる。メタル・シーンは、昔よりも大きなものになってるよね。それが正しい理由によるものなのかはわからないけど。正直言って、メタルをたくさんは聴かなくなって久しいんだ。もちろん少しは聴くよ。それが俺の場所であり俺自身でもあるから。だけど、繰り返し聴くものは、厳選するようになってる。俺にとっての今日のメタルの問題は、演奏技術については俺たちの時代よりもずっと高くなっているけれど、まあ誰もがトシン・アバシみたいに弾けるわけじゃないけどさ(笑)、彼よりギターがうまいやつなんていないよ。まあそれはともかく、誰もが相当のレベルで楽器を演奏できるようになっているだろ。問題は、誰もが知っている限りの音符を四小節に詰め込もうとすることさ。もちろんそれが有効な場合もあるだろう。例えばプログレッシヴ・メタルとかね。だけどそればっかりになっちゃうと、全部同じにしか聞こえない。確かに俺の書くリフもそれなりにテクニカルなものだとは思う。俺は簡単な曲は書かない。だけど、俺は「曲」を書こうとはしているよ(笑)。今回のアルバムでも、なるべくリフが100個の7-8分あるような曲は避けるようにしたし。とにかく音符が詰め込まれすぎていると、一体それが誰の演奏なのかわからなくなってしまうということさ。もちろん今のメタルについて、明るい面もあるとは思う。まあ、いずれにせよ、俺みたいな大して最近のメタルのことを知らない年寄りのたわごとだよ。間違いなくメタルは以前よりもビッグになってるしね。俺の言ってることは誤っているかもしれないし、俺の発言が福音ってわけじゃないさ。

 

― お気に入りのアルバムを3枚教えてください。

 

ヴィニー:そうだな、まずZZトップの『ファンダンゴ』。俺も長い髭をはやしているからという理由でこれを選んだっていうわけじゃないよ。子供のころ、これがリリースされたときに聴いて、俺の中の何かが変わったんだ。これがヘヴィメタルでないことはわかっているけど、76年~77年頃、俺はまだ子供で年齢も一桁でさ。メタルとなると、俺は80年代デストラクションの大ファンでね。思わずニヤリとさせられるメタル・バンドとなると、やはり彼らだ。アルバムは、そうだな、『Eternal Devastation』。これは俺にとってずっと大好きなトップ・アルバムの1つさ。3枚目は難しいな。いろいろなアルバムがあるからね。そうだん、バッド・ブレインズなんかはどうだろう。『I against I』あたり。このアルバムにも変えられたね。俺にとってのパラダイム・シフトだった。この3枚でどうだろう。

 

― では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

 

ヴィニー:日本に行ってライヴをやるのが待ちきれないよ。ファンと握手をして、キスして、会話をして、ハグをして。ずっと日本に行こうと頑張っているんだけどね。新しいアルバムに入っている曲は、俺たちのハートから生まれたものさ。製造されたものでも、妥協の産物でもない。だから気に入ってもらえるとうれしいな。

 

文・取材  川嶋未来

 

エグゾーダー『モーン・ザ・サザン・スカイズ』

【CD】 GQCS-90762 / 4582546590192 / ¥2,500+税

【日本語解説書封入/歌詞対訳付き】

 

CD収録曲】

  1. マイ・タイム
  2. アサンダー
  3. ハロウド・サウンド
  4. ビウェア・ザ・ウルフ
  5. イエスタデイズ・ボーンズ
  6. オール・シー・ロート
  7. ルミネイション
  8. ジ・アームズ・オブ・マン
  9. リッピング・フレッシュ
  10. モーン・ザ・サザン・スカイズ

 

【メンバー】

カイル・トーマス(ヴォーカル)

ヴィニー・ラベラ(ギター)

マージ・モンタゼリ(ギター)

ジェイソン・ヴィブルックス(ベース)

サシャ・ホーン(ドラムス)

 

エグゾーダー 商品サイト

https://wardrecords.com/products/detail5197.html