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ABBATH

俺にとってブラック・メタルは
Venomのアルバム・タイトル

RELEASE INFO

川嶋未来

Immortalからの電撃脱退も記憶に新しいアバス。自身の名を冠したバンドがセカンド・アルバム『アウトストライダー』をリリースするということで、いろいろと話を聞いてみた。強烈な個性を持つアバスは、インタビュアー泣かせ。質問をはぐらかし、訳のわからないことをまくしたてることも珍しくない。しかし、Skype越しに現れたアバスはノーメイクであり、とても落ち着いた様子。今回は非常に真面目に質問に答えてくれた。やはりメイクをすると人格が変わるのだろうか。

 

 

 

 

― アバス名義としては2枚目となる『アウトストライダー』がリリースになります。前作と比べてどのような仕上がりになっているでしょう。

 

アバス:これが2枚目のアルバムで、方向性としてはだいぶ違ったものになっていると思うよ。特にプロダクションがね。今回はアンドレ・キルケソラと一緒に仕事をするという幸運に恵まれた。彼とは長い友達で、Immortal時代にもサウンドエンジニアをやってもらったことがあるんだ。クリスティアンサンドにあるDub Studioというところでレコーディングしたんだよ。いつものように、今回もプリプロダクションをやったし、サイモン・ダンカスターに歌詞を書いてもらった。アバスでは彼に歌詞を書いてもらっているのだけど、彼と仕事をするのはとても素晴らしいことだ。(前作と違って)今回はImmortalのアルバムを作る予定もなかったからね(笑)。それにリード・ギタリストのラウデは、ファースト・アルバムのレコーディング終盤に加入したので、今回は彼も製作の早い段階から関わることができた。彼は素晴らしいよ。プリプロダクションをやって、それをアンドレに送ってという感じだったので、前作よりもより十分に準備ができたね。アンドレに、「ギターサウンドが気に入ってるメタルのアルバムは何?」って聞かれたから、「Metallicaの『Ride the Lightning』のギターサウンドはとても好きだ」と答えた。そしたら彼は『Ride the Lightning』の周波数の特徴を調べてくれてね。だから、今回のアルバムは『Ride the Lightning』と同じ周波数になっているはずさ。面白いプロセスだったよ。初期段階に、サイモンとコンセプトも考えてね。最初にサイモンが書いたのは、「ブリッジ・オブ・スパズム」の歌詞だった。いきなりに完璧に書き上げてきて。俺も色々とリフのアイデアなどがバラバラとあって、それを最後に一気に形にしていった。激烈な作業だったよ。とても楽しかったけど。

 

― 今回は80年代初頭色が強いように感じたのですが、意図的なものですか。

 

アバス:ある程度ね。それが俺が一番好きな音楽だから。メタルのルーツをもっと感じられるものになっていると思う。今回は、Immortalのアルバムを作ろうという意図はなかったからね。彼らの最新作のタイトル、『Northern Chaos Gods』を決めたのは、俺なんだよ。俺のファーストに入っていた「Ashes of the Damned」が、元々は「Northern Chaos Gods」だったんだよ。響きが似てるだろ?俺はメタルが大好きで、今回はベースの音もデカくしたかったし、ラウデがリード・ギターを入れたら、まさに「ワオ!」っていう仕上がりになって。アルバムの仕上がりはとても気に入ってるよ。チームとして、とてもうまくやれたと思う。俺が設計図を考えて、そこから作業をしていったのだけど、仕上がりは俺の予想を超えたものになったよ。出来にはとても誇りを持っている。ミアがバンドに加わったのも良かった。彼女のベースは素晴らしいし、ウクリはフィンランドのドラマーで、まだ25歳なのに素晴らしいドラミングをしてくれた。俺の息子と同じ年なんだよ(笑)。とても楽しいレコーディングだった。大きなドラマも混乱もなくて(笑)。集中してできたよ。リフのアイデアはたくさんあってさ、もうすでにあと2枚分くらいある。「サイズワインダー」のオープニングとメインのリフは、Immortal用に書いてあったものだけど。この曲のリフは、『All Shall Fall』用に書かれたものだったんだ。とても良い仕上がりになったと思う。このアルバムは、リフもギターソロも歌詞もドラムも、みんな素晴らしいよ。

 

 

― 女性メンバーの起用は初めてですよね。

 

アバス:ミアにはその資格があるよ。彼女のアバスでのステージ・デビューは、インドだったんだ(笑)。バンガロール・オープン・エアー。Wackenの関係者もいたから、おそらくWackenもスポンサーになってるんだと思うよ。オーディエンスも素晴らしかったし、音も良かった。サインニング・セッションも素晴らしかった。ステージもプロダクションもね。バンガロールは素晴らしい場所だったよ。往復52時間もかかったけど、パーフェクトだった。ミアはミラノ出身で、実は元妻の友人なんだ。キング(オブ・ヘル)がバンドを辞めたあとに、最初に電話をしてきたのが彼女だった。彼女は俺の作る音楽の大ファンで、とても一生懸命だしルックスも良い。彼女は最高だよ。獣みたいにプレイするし。

 

ー クレジットを見ると、バリトン・ギターやツィターなど、ブラック・メタルでは珍しいも使われているようですが。

 

アバス:ラウデはギター・フリークで、あらゆる弦楽器を集めているんだよ。膨大な量のコレクションを所有してる。世界中のね。「カーム・イン・アイア(オブ・ハリケーン)」のイントロでは、ジミー・ペイジが使ってるみたいなたくさん弦が付いている楽器を使った。彼はとてもギターもうまいし、彼が加入してくれたことはとても幸運なことさ。

 

― タイトルの『アウトストライダー』とは、どのような意味なのでしょう。

 

アバス:これもサイモンが考えたのだけど、孤独で天国からも地獄からも追放される奴みたいな感じの意味さ。

 

 

― Bathoryのカバーも収録されています。

 

アバス:クオーソンは俺のヒーローの一人だし、クオーソンがなければImmortalもアバスもなかった。俺はMotörheadも大好きだし。スピードフリークだから(笑)。とにかく速い音楽が好きだったんだ。『Blood Fire Death』も当時大好だったのだけど、「A Fine Day to Die」みたいな曲ではなくて、速いのがやりたかった。それにこの曲は、歌詞もまさに俺にぴったりだろ?“Mirror, mirror on the wall, who’s the fastest of ‘em all”(=鏡よ鏡、一番速いのは誰だい)って。それで俺が鏡に向かっていうのさ、「俺がいちばん速い!」って(笑)。ラウデに、もしこれに何か良いリード・ギターをつけ加えられるなら、これをカバーしようって提案してね。結果としてBathoryへの素晴らしいトリビュートになったと思うよ。

 

― Bathoryはどの時期のアルバムがお好きですか。

 

アバス:そうだな、やっぱり『Blood Fire Death』か『Under the Sign of the Black Mark』かな。だけど、例えば「アウトストライダー」あたりでは、『Hammerheart』からの影響も聞こえると思うよ。俺にとってクオーソンは神だし、彼こそがアウトストライダーだと思うね。君はどのあたりが好き?

 

― もちろん3rdもですが、ファースト、セカンドあたりも大好きです。

 

アバス:俺も初期も好きだよ。最初にBathoryを聞いたのは、友達が貸してくれた『Scandinavian Metal Attack』だったし。「何だこれ、Motörheadじゃないか!」って思った。ヴォーカルもとても暗くてミステリアスで、凄く魅かれたし、今でも魅かれ続けてるよ。

 

 

― そもそもの音楽との出会いはどのようなものだったのですか。

 

アバス:最初に音楽を聴いたのは5歳くらいだったかな。両親は音楽を聴くタイプではなかったのだけど、カセットプレイヤーは家にあってね。子守をしてくれていた女性が4本組のコンピレーション・カセットを持っていて、エルヴィスやジェリー・リー・ルイスなどが入っていた。それで初めて聴いた曲の中の1つ、これは今聴いても鳥肌が立つのだけど、”I found my thrill on Blueberry Hill”(ファッツ・ドミノの「Blueberry Hill」を歌い出す)。これが最初に聞いた曲で、今でもこれを聴くと40年前に戻ったみたいに感じるよ(笑)。

 

― では、ヘヴィメタルにはどのようにハマったのでしょう。

 

アバス:もともとベルゲンから数時間のところに住んでいて、8歳か9歳の頃、ベルゲンに引っ越したんだ。厳密にはベルゲンの郊外なのだけど。そこで新しい友達、クラスメートに出会ってね。その前からKISSは知っていたけど。82年くらいだったかな、『The Number of the Beast』、『Creatures of the Night』,『Scream for Vengeance』あたりから聴き始めたんだ。もちろん『Bark at the Moon』とかも。

 

― そこからスラッシュへと入っていったのですか。

 

アバス:スラッシュは84年か85年あたり。85年だったかな。友達が色々なバンドを録音したカセットをくれてね。当時俺の家にはレコードプレイヤーがなかったんだ。その友達がイギリスに行ってレコードを買ってきてね。それで初めて聞いたスラッシュの曲は、Slayerの「Praise of Death」だった。『Hell Awaits』に入ってるやつ。だから、俺はMetallicaよりも先にSlayerを聴いたんだ(笑)。同じ頃、Manowarとかも好きになって。『Scandinavian Metal Attack』でBathoryを聴いた少し後に、同じ友達が『Speed Kills』を手にいれて。

 

 

― あれは凄いオムニバスでしたね

 

アバス:あれは凄かった。

 

― その後はデス・メタルですか。

 

アバス:デス・メタルと言えばPossessedだよ!「Pentagram」は最高だった。でもアルバムとして最初に聴いたのは、『Beyond the Gates』だった。今でも大好きなアルバムさ。これはデモナスと飲みながらよく聴いたものさ。(思いっきり歌い出す)”Mutants from the battle, Survivors of the blast, Lightning fills the sky, Today will be the last”(「No Will to Live」。『Beyond the Gates』収録)。ジェフ・ベセーラは大好きなヴォーカリストの一人さ。ジェフ・ベセーラとかMartin van Drunenとか。Pestilenceも大好きだった。

 

― 「Pentagram」は『Speed Kills』に入ってましたよね。

 

アバス:そう。あとBulldozerとかが入ってたよね。

 

― そう言えばPossessedのニュー・アルバムは聴きましたか。

 

アバス:1曲だけ聴いたけど、最高だったよ!

 

「カーム・イン・アイア (オブ・ハリケーン)」ミュージック・ビデオ

 

― 復活作には期待しないようにしているのですが、あれはとても良い作品ですよね。

 

アバス:あれはいいね。以前Wackenでジェフ・ベセーラに会ってさ。感激のあまりひれ伏しちゃって(笑)。そしたらジェフは「立ち上がってくれ、我が友よ」なんていう調子で、とてもクール・ガイだった。あの時はSadistic Intentがバックを務めていて。最高だったよ。

 

ー ではブラック・メタルとの出会いはどのようなものだったのでしょう。

 

アバス:俺にとってもブラック・メタルは、やっぱりVenomのアルバム・タイトルだったし、今でもそうさ(笑)。(また歌い出す)”Lay down your souls to the Gods Rock’n Roll! Wow, wow, Black Metal!”。早い時期にEuronymousとコンタクトしてね。ブラック・メタル・サークルとかさ、とてもエキサイティングだったよ。アンチ・トレンドみたいな感じも最高だったし。とにかくエキサイティングだった。殺人みたいなことに発展するまではね。

 

「アウトストライダー」オフィシャル・オーディオ

 

― やはり行き過ぎてしまったと感じましたか。

 

アバス:明らかに行き過ぎだよ。ヴァーグとユーロニモスは友人同士だと思ってたんだけどね。あんなことになるなんて、予想もしなかった。とても劇的だったし、クールなことじゃなかった。今考えても全くクールなじゃいよ。俺にとっては音楽がすべてで、ああいう過激な行動ではなかった。あまりにも行き過ぎさ。

 

― ユーロニモスの事件を知ったときのことを覚えていますか。

 

アバス:覚えているよ。ちょうどうちで、母親とデモナスもいて、テレビを見ていたら、ニュースで事件のことをやっていたんだ。ものすごくショックだった。ユーロニモスとはわずか1週間くらい前に電話で話したばかりだったし。ショックだったね。スウェーデンの奴に殺されたなんていう噂もあったけど、俺は誰がやったのか、まったくわからなかった。とにかくショックで、今でもやっぱりショックだよ。

 

 

― みんな犯人が誰なのか、見当もつかなかったのでしょうか。

 

アバス:少なくとも俺はわからなかったね。

 

― お気に入りのメタルのアルバム、トップ3を教えてください。

 

アバス:トップ3か。メタルで。やっぱり『Overkill』。それからKissの『Creature of the Night』。あとはおそらく『Blood Fire Death』かな。

 

― ところで昨年のImmortalのニュー・アルバムは聞きましたか。

 

アバス:何曲か聞いたよ。悪くなかった。俺だったら違う仕上がりにしたと思うけど、悪くはなかったよ。

 

― では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

 

アバス:また日本に行くのが待ちきれないよ。前回日本に行った時も、最高だった。ラウドパークも素晴らしいフェスティヴァルだったし。楽しかった。日本でビッグになりたくないやつなんていないよ。ビッグ・イン・ジャパン!キッスは77年に武道館でショウをやってるよね。食べ物も最高だった(笑)。とにかく早くまた行きたい。コンニチワ!「コンニチワ」は「Thank you」だよね?

 

― いえ、「Hello」です。

 

アバス:あ、そうか、コンニチワ!

 

― 「Thank you」は「ありがとう」です。

 

アバス:そうだ、アリガトウ。

 

― 具体的な来日の話はあるのでしょうか。

 

アバス:この夏はStonehengeフェスティヴァルに出て、10月からObituaryと一緒にアメリカを回る。それから来年1月、2月はヨーロッパ・ツアー。おそらく1349と一緒にね。日本、オーストラリア、ニュージランドのツアーの交渉もしているはずだよ。まだ決まっていないと思うけど。待ちきれないね。

 

文・取材 川嶋未来

 

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2019年7月5日 世界同時発売予定

アバス『アウトストライダー』

【CD】 GQCS-90715 / 4562387209415 / ¥2,500+税

【日本語解説書封入/歌詞対訳付き】

 

【メンバー】

アバス・エイケモ (ヴォーカル)

ラウデ (ギター)

ミア・ウォラス (ベース)

ウクリ・スヴィレト (ドラムス)

 

【CD収録予定曲】

  1. カーム・イン・アイア (オブ・ハリケーン)
  2. ブリッジ・オブ・スパズムス
  3. ジ・アーティフェックス
  4. ハーヴェスト・パイア
  5. ランド・オブ・ケム
  6. アウトストライダー
  7. サイズワインダー
  8. ヘカテ
  9. ペイス・ティル・デス (バソリー カバー)

 

アバス『アウトストライダー』 オフィシャルページ

https://wardrecords.com/products/detail5040.html