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METAL WEEKEND 2019 DAY1

METAL WEEKEND 2019 DAY1 ライヴレポート

ZEPP DIVERCITY TOKYO | 2019/09/14

METAL WEEKEND 2019 DAY1

METAL WEEKEND 2019 DAY1 ライヴレポート

ZEPP DIVERCITY TOKYO | 2019/09/14

文:藤井徹貫 写真:Takumi Nakajima

9月14日と15日、BURRN!創刊35周年記念<METAL WEEKEND>がZepp DiverCity Tokyoで行われた。DAY 1ヘッドライナーがLOUDNESS。DAY 2がHAMMER FALL。全世界のメタル・ファンから支持される、このビッグネームを旗印とし、さまざまな世代、さまざまな出身国、さまざまなアプローチ、さまざまなキャリアが一堂に会し、ヘヴィメタルの多様性(diversity)を体現した2日間となった。

 

オープニングアクトを務めたのは、新生ガールズメタルバンドNEMOPHILA(ネモフィラ)。デビューライブにして大舞台。ダブルの緊張感が伝わってくる。IRON MAIDEN のカヴァー「Trooper」など3曲に、メンバー5人それぞれが全力以上を発揮し、オーディエンスも好印象を持っただろう。本気で歌い、真剣に演奏する姿は、ひとえに美しい。

 

16時。<METAL WEEKEND>の幕が上がった。LOUD PARK 17や今年5月に開催されたフィンランドのメタルバンドが結集したSuomi Feast 2019でも、強烈なインパクトを残したBEAST IN BLACKが登場。セカンドアルバム『FROM HELL WITH LOVE』のオープニングも飾る「Cry Out For A Hero」から。いきなりツインギターのキャッチーなフレーズが強いリズムの中に浮き上がる。それはまるで嵐の中を飛ぶモルフォ蝶(世界一美しいと言われる蝶)。また、シーケンサーが重要な役目を果たす「Sweet True Lies」は、芳しき80`sフレーバー。ダンスフロアに流れても違和感がない。ドラムのアッテ・パロカンガスは、スネアに左腕を大きく振り下ろすパフォーマンス重視の演奏から、この曲ではハイハットでグルーヴを生む堅実なスタイルにチェンジ。こうしたシーケンサーの有無や応変なプレイにより、わずか9曲ながら、ステージにうねりが生じていた。

 

二番手はMetal Souls。新世代ギターヒーローとして注目を集めるNozomu Wakai(若井望)と、RAINBOWのボーカルも務めるチリ出身のロニー・ロメロを中心にした4人組。昨年、若井がDESTINIA名義で発表したアルバムから「Rain」などを披露。J-POPに一歩も歩み寄らず、メタルギターにまい進する若井は、揺らぐことのない美意識を持っている。だから、世界を舞台にするロニーと対峙しても臆することも気負うこともない。サニブラウン・アブデル・ハキームより圧倒的に世界に近いと、確信できた。オリジナル曲以外では、<HR/HM HISTORIA> と題し、若井とロニーが影響を受けた楽曲をカバー。デンマーク出身バンドPretty Maidsやランディ・ローズも在籍していたQuiet Riot、大御所DIO、意外でもあったBon Joviなどの曲を次々に演奏。イントロだけでテンションがぶち上り、一緒にサビを熱唱できる曲ばかり。オーディエンスとバンドのUNITYも最上級だ。

 

続いてはチュニジアのプログレッシヴ・ヘヴィメタルMyrath(ミラス)。イスラム模様のセットとクッションが置かれたステージに、ベリーダンサーが現れ、民族楽器の響きとシンクロ。それはアラビアンライトの一場面のようでもあった。1曲目は、4月にリリースされたばかりのニューアルバム『SHEHILI』(シェヒーリ)収録曲「ASL」。アラビックなメロディとメタルが共棲し、ここにしかない、他にない時空を創出。同アルバム収録曲「Dance」などでは、ベリーダンスを再びフィーチャー。その踊りは世界最古であり、女神崇拝のために巫女たちが踊ったのが起源といった説があることなどまったく知らなくても、唯一無二の時空が神聖さと芸術性をまとっていくのは一目瞭然だった。当然、バンド・メンバーそれぞれのスキルも高い。演奏の安定感も抜群。特に「Monster in My Closet」日本語バージョンは、ボーカルのザヘル・ゾルガティの実力の高さを証明していた。

 

そして、DAY 1のヘッドライナーはLOUDNESS。まずは「CRAZY NIGHTS」。個性豊かな出演バンドたちとは、ある意味対極の存在感だ。ヘヴィメタルど真ん中。THE METALと称したいキングシップは圧倒的。これを貫禄と呼ぶのか、威厳と定義するのか、はたまた気高さなのか…。♪Rock and roll crazy night!は、オーディエンスもシャウト。もちろん♪M.Z.A!もさらにシャウト。もはや普遍の域にある。もはやスタンダード。昨年リリースされた『RISE TO GLORY』収録曲「I’m Still Alive」もまたもこれぞLOUDNESS。これぞヘヴィメタル。重戦車が高速で駆ける画が見えるギター・リフ。メタル・フリークの琴線を引き千切るドラムとベース。ソロでは、舞台中央のお立ち台に上がる高崎晃。今さらだが、ノイズが一切なく、必然の音しか発しないプレイは、名人や達人を超え、神業の領域だ。

 

イントロだけでフロアが大きく湧いたのが「IN THE MIRROR」。ザグザグ、いや、ザギザギ、いやいや、ガシガシ、ゴリゴリ…とにかく高崎のピックがギターの6弦と5弦と削る激音だ。この轟きこそメタルの神髄。一転、ギターのクリーントーンに導かれ、会場中に星が降った(ミラーボールの光が舞った)のが「SO LONELY」。テクニカルな演奏を極力抑制し、ひたすらに歌心のある演奏に終始。速さより、重さより、鋭さより歌心を重視できるのが懐の深さというもの。ポピュリズムに縛られていない証明でもある。これからもさらに歳月を重ねるに連れ、深みや味が増すだろう。もしかしたら、オーディエンスがこの巨星に求めている未来は、そういう前人未到のメタルなのかもしれない。終盤は「THIS LONELY HEART」「CRAZY DOCTOR」「S.D.I.」と、80`sナンバーを連発。なつかしい! 最初に胸をよぎったのは、その言葉ではなかった。もしもアルバムなどの音源だったら、間違いなくそうだったはずだが…。ライブだ。生だ。直だ。世紀、時代、元号が変われど、オーディエンスの前に立ち、LOUDNESSの名を掲げ、演奏することは変わらない。その変わらぬことを貫いているから剣は錆びない。切れ味は増すばかり。そう、なつかしさという名の美酒で酔いつぶれない毅然としたLOUDNESSがここにいた。

 

 

文:藤井徹貫

写真:Takumi Nakajima

 

 

NEMOPHILA

 

Beast In Black

 

Metal Souls

 

Myrath

 

LOUDNESS

 

 

SETLIST (2019.09.14)

 

NEMOPHILA

Trooper (IRON MAIDEN)

OIRAN (NEMOPHILAオリジナル)

サムライ in the rain (むらたたむ&レディービアード)

 

Beast In Black

Cry Out For A Hero

Eternal Fire

The Fifth Angel

Sweet True Lies

Crazy, Mad, Insane

Die By The Blade

Ghost In The Rain

Blind And Frozen

End Of The World

 

Metal Souls

Metal Souls

Rain

Separete Ways (Journey cover)

Please don’t leave me (Pretty Maides cover)

Bang your Head (Quiet Riot cover)

Born To Be My Baby (Bon Jovi cover)

Stand Up and Shout (DIO cover)

 

Myrath

ASL

Born to survive

You’ve lost yourself

Dance

Darkness arise

Lili Twil

Wicked Dice

Monster in my closet

No holding back

Beyond the stars

Believer

 

LOUDNESS

CRAZY NIGHTS

HEAVY CHAINS

SOUL ON FIRE

I’M STILL ALIVE

IN THE MIRROR

SO LONELY

BLACK WIDOW

THIS LONELY HEART

CRAZY DOCTOR

S.D.I.