WARD LIVE MEDIA PORTAL

フレッシュゴッド・アポカリプス

渋谷サイクロン / 2019/10/22

フレッシュゴッド・アポカリプス

渋谷サイクロン / 2019/10/22

文:川嶋未来

全16曲、演奏時間100分!フレッシュゴッド・アポカリプス史上最長セットで行われた来日公演の模様をレポート!

イタリアのシンフォニック・デス・メタル・バンド、フレッシュゴッド・アポカリプス。その4度目の来日公演を見てきた。場所は渋谷サイクロン。平日の夜、かつ東京2daysにもかかわらず、会場にはたくさんのお客さんが。その人気の根強さを感じさせる。オープニングアクト、オーストラリアのイン・ザ・ベリアルの演奏が終了すると、場内のBGMはメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲にドヴォルジャークの交響曲と、ヘヴィメタルのコンサートらしからぬものばかりに。すでに場内はフレッシュゴッド・アポカリプス・ワールドへと変わりつつあるのだ。ほぼ定刻の19時にショウはスタート。幕が開き、BGMに乗ってメンバーが登場してくると、大きな歓声が。キーボーディストに加え、ソプラノ・ヴォーカリストも擁する彼らは6人編成。さすがにサイクロンのステージは窮屈そうだ。メンバー一同、メイクも衣装もバッチリ。

 

 

 

 

一発目はニュー・アルバム『ヴェレーノ』のオープニング・ナンバー、「Fury」。日本を含むこのツアーから、本格的に『ヴェレーノ』の曲がセットリストに載り始めた。アルバム自体は5月にリリース済。だが、フレッシュゴッドは敢えて5ヵ月の準備期間を置いた。と言っても自分たちのための準備ではない。その情報量の多さゆえ、ファンたちが十分時間をかけてアルバムを聴き、内容を消化する時間が必要だと判断し、新譜の曲をセットリストに載せるのを抑えていたのだ。続いては16年の前作『キング』収録の「Healing through War」。超シンフォニックなナンバーに、多数の拳が突きあがる。再び新作からの「Mona Lisa」では、ギター・ヴォーカルのフランチェスコ・パオリが、オーディエンスにジャンプを要求。この手のライヴでは、あまり見られない光景である。ギターが脱退したのに伴い、フランチェスコがフロントマンに復帰しているが、やはり彼はオーディエンスとのコミュニケーションに長けたタイプだ。ソプラノ・ヴォーカルのヴェロニカも大活躍、ピアノも美しい実にイタリア的な「Mona Lisa」に続いては、やはり新譜から、ブルータルさが前面に出た

 

 

 

「Worship and Forget」。続く「Epilogue」では、再びソプラノが大活躍を見せる。それにしてもソプラノ・ヴォーカリストのメイクは、一体何をイメージしたものなのだろう。強烈なインパクトである。『Agony』収録の「The Violation」は、まるでハリウッド映画のサウンドトラックかと思うようなシンフォニック・ナンバー。テクニカルなギターソロも印象的だ。「雰囲気を変えたいから、みんなスマホのライトをつけてくれ」と、これまたデス・メタル・バンドらしからぬ前振りでプレイされたのが、『キング』収録の「Cold as Perfection」。そしてまたまた「Sugar」、「The Day We’ll be Gone」と、新譜から2連発。ブルータルな前者と、アルバム中最もメロウな後者とのコントラストが素晴らしい。「みんな楽しんでるか。楽しんでないやつはFoolだ!」ということでプレイされたのが、『キング』収録の「The Fool」。イントロのチェンバロも含め、コミカルな雰囲気が漂う独特の楽曲だ。続く「The Egoism」では、オーディエンスを左右に分け、ウォール・オブ・デス!大暴れする観客に疲れが見え始めると、さらにサークルピット指令が飛ぶ。こういうシンフォニックな楽曲でのウォール・オブ・デスやサークルピットというのも珍しいのではないか。やはりフレッシュゴッドの根幹にあるのはデス・メタルなのだ。そして「The Forsaking」で大盛り上がりのうちに本編終了。この時点ですでに75分が経過。

一旦バックステージに引っ込んだメンバーたちだが、熱いアンコールへの声援に応えないわけがない。「4曲プレイするぞ!」という予告とともに、「In Aeternum」、「Minotaur(The Wrath of Poseidon)」、「Gravity」、そして「Syphilis」と一気に畳みかける。どれも激しく、そしてシンフォニック。特にラストを締めた7分のヘヴィな大曲は、語りも交え演劇的要素も感じさせ、実に大団円にふさわしいもの。会場全体から満足感が伝わってくるエンディングであった。

終演後のBGMもヴェルディのレクイエムと、ラストまでフレッシュゴッド・アポカリプス一色に染めあげたステージ。全16曲、演奏時間は何と100分!ニュー・アルバム『ヴェレーノ』から5曲、前作『キング』から6曲、残りが『Agony』と『Labyrinth』からと、近作重視のセットリストであった。ちなみに100分というのは、フレッシュゴッド・アポカリプス史上、最長のセット。ここまで長いセットが可能になったのも、曲調にバラエティが出てきたからというのがメンバーの弁。激速ブルータル・ナンバー一色では、さすがに100分の長丁場は体力的に厳しいだろう。シンフォニックなもの、メランコリックなもの、そして激速ナンバーと、実によく緩急がつけられたセットで、オーディエンスとしてもあっという間の100分。MCでも「大好きな日本のファンのためのスペシャルなショウだ」と言っていたが、今夜のショウは世界中のいかなるフレッシュゴッド・ファンも経験したことのない、と言うかフレッシュゴッド自身も未体験の超ロングセットという特別なものであったのだ。

 

文:川嶋未来

 

 

 

———————————-

Setlist

 

  1. Fury
  2. Healing Through War
  3. Mona Lisa
  4. Worship and Forget
  5. Epilogue
  6. The Violation
  7. Cold as Perfection
  8. Sugar
  9. The Day We’ll Be Gone
  10. The Fool
  11. The Egoism
  12. The Forsaking

Encore:

  1. In Aeternum
  2. Minotaur (The Wrath of Poseidon)
  3. Gravity
  4. Syphilis