ドイツの人気フォーク・メタル・バンド、Equilibriumのヴォーカリストを10年以上務めたRobse。22年に突如脱退が発表され、ファンは騒然となった。そんな彼が自らの名を冠したニュー・バンドをスタートし、待望のデビュー・アルバムをリリースする!と言うことで、Robse本人に色々と話を聞いてみた。
ー Equilibriumを脱退した理由は何だったのですか。
ロブセ:これについては簡潔に答えるよ。進化したいメンバーもいた一方、オールドスクールのままでいることを好んだものもいたということ。
ー 新バンドRobseの音楽はどのようなスタイルだと言えるでしょう。
ロブセ:俺は大袈裟でヘヴィなギターが好きなんだ。それにキーボードとブルータルなヴォーカルが加わったもの。「エピック・デス・メタル」という言い方が、俺たちのやっている音楽にかなりピッタリだし、これなら俺が好きなハードなメタルをすべて包括していると言える。
ー 具体的にはどのようなバンドからインスピレーションを受けているのですか。
ロブセ:間違いなく俺の愛する初期のEquilibriumからの影響が聞こえるはずさ。それから他の偉大なヒーローたち、例えばIn FlamesやImmortal、Amon Amarthとか。これらをミックスした結果、素晴らしいものが出来上がった。すべてのメタルヘッドが気に入ってくれるはずさ。
ー 他のメンバーはどのようにして選んだのですか。
ロブセ:メンバー選びに関しては、とても恵まれていたと思う。ドラマーのマリウスとギターのデニスとは以前に一緒にプレイしたことがあったんだ。それでデニスが「エレというギタリストを知っているのだけど、彼は本当にギターが上手い。彼はマルコの知り合いで、マルコの奥さんは歌がうまくてキーボードも弾ける」って。あっという間に素晴らしいバンドが出来上がったんだ。最初メンバーの半分とは面識がなかったけれど、ビールを何杯か飲んだらあっという間に仲良くなったよ。
ー 新バンドに自分の名前を冠したのは何故ですか。バンドというよりも、あなたのソロプロジェクトと言うことなのでしょうか。
ロブセ:俺がEquilibriumを解雇されてファンは大きなショックを受けていて、みんなロブセはどうなってしまうんだろうと話題にしていた時期だったから、シンプルに自分の名前をバンド名にするというのは素晴らしいアイデアだと思ったんだ。何か新しい名前を考えるのではなくね。だけど、もちろん俺たちは本物のバンドだよ。すべてのメンバーに同じ権利と義務がある。あくまでロブセという名がメタル・シーンでよく知られているから、それが最高の選択だったと言うだけ。メンバーたちも、イカした名前だと思っているよ。
ー アルバム・タイトルの『Harlekin & Krieger』には、どのような意味が込められているのでしょう。
ロブセ:これは「道化師と戦士」という意味で、本質的には俺自身のことを表している。俺はいつでもみんなを笑わせる楽しいピエロだけれど、ステージ上や人生の困難に立ち向かう時は、自分の中の戦士を登場させる。人生においては、常に正しいバランスを見つけることが必要であり、そしてまた自分のインナーチャイルドを忘れるべきではない。時に日々の生活は厳しいものであるけれどね。
ー 歌詞のテーマは何ですか。どのようなものからインスピレーションを得ているのでしょう。
ロブセ:俺たちのアルバムのテーマは、現在世界のどこを探しても見つけることのできない平和について。友情、生と死、そして自分の抱える問題に対峙し、恐れずに進んで行くこと。死ぬのは一度きりで、それ以外は純粋なる生。それからもちろん、ビールを飲んで祝うことも生の一部さ。俺が歌詞を書く際は、毎日の生活の中からインスピレーションを得ているんだ。
ー アートワークにはどのような意味が込められているのでしょう。
ロブセ:あのアートワークはスイスの友人、Valtyrが描いてくれた。あれは、人生において俺たちがなるべき勇敢な戦士を表現していて、一方でそのまわりには常に楽しい道化師がいて、人生というものをあまり真面目に受け取りすぎるべきではないということを思い出させてくれているのさ。
ー 歌詞は1曲を除いてドイツ語になっています。ドイツ語で歌うのと英語で歌うのでは、やはり違いますか。
ロブセ:まあ俺にとっては英語で歌うよりも母国語であるドイツ語で歌った方が、自分の感情を容易に表現できるからね。ドイツ語は信じられないくらいパワフルで、俺のブルータルなヴォーカルに必要なエッジを与えてくれる。もし英語で歌いたいと感じる日が来たら、間違いなくそうするだろう。だけど、インターナショナルに成功したいからという理由だけで、歌詞を英語にすることはないよ。2017年にEquilibriumで日本に行った時、多くのファンが俺がドイツ語で歌っていることを気に入ってくれていた。とてもハッピーに感じたよ。
ー お気に入りのヴォーカリストは誰でしょう。ロールモデルはいますか。
ロブセ:俺の絶対的なヒーローは、Type O Negativeのピーター・スティールと、Amorphisのトミ・ヨーツセン。ピーターの深い声と、トミの素晴らしいクリーン・シンギングが大好きなんだ。 この2人の声には、これまでの人生ずっとインスパイアされ続けている。まあ、俺の歌い方はずいぶんと違うものだけれどね。だけど、ピーターは俺のことを誇りに思ってくれただろうと思うよ。RIP、ピーター。1985年以降、俺の秘密のロールモデルは、ノルウェーのA-haのヴォーカリスト、モートン・ハルケット。小さい頃からすっと彼みたいになりたかったんだ。ステージに立って、人々にインスピレーションを与えて、世界中を旅するのさ。
ー 今後の予定を教えてください。
ロブセ:ファースト・アルバムを出したからには、長いブレイクは許されないからね。とにかく進んでいくしかない。すでに次のアルバムの曲もいくつか出来上がっているし、メジャーなフェスティヴァルも俺たちを待っている。うまくすれば日本もあるかな?
ー オールタイムのお気に入りのアルバムを3枚教えてください。
ロブセ:俺の絶対的なお気に入りのアルバムはCradle of Filthの『Cruelty and the Beast』。それからEmperorの『In the Nightside Eclipse』。あとBorknagarの『True North』。
ー では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。
ロブセ:日本の親愛なる友人のみんな、『Harlekin und Krieger』を楽しんでくれると思う。ぜひまた会える日を楽しみにしているよ。君たちの文化、食べ物が大好きだし、君たちがパーティのやり方を知っていることもわかっている。ロック・オン。すぐに会えるといいな。
文 川嶋未来
【CD収録曲】
- ソナタ・アルレッキーノ
- ハーレキン・ウント・クリーガー
- ヘイ・シュトゥルム
- アメンテス
- アウス・デム・グライヒゲヴィヒト
- フォン・デア・シェンケ・ツァー・タヴェルネ
- クライネ・ヴァイセ・フリーデンスタウべ
- リード・デア・ナハト
- ノスタルジア
- フランメ・デア・レヴォリューション
- ヴィヴァ・ラ・カイダ
【メンバー】
ロブセ (ヴォーカル)
アリーナ (ヴォーカル/キーボード)
マルコ・パウルツェン (ベース)
エレ (ギター)
デニス”ブレイズ”バロン (ギター)
マリウス (ドラムス)