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フィリップ・H・アンセルモ
Sigh川嶋未来による独占インタビュー!

フィリップ・H・アンセルモを現地LAでキャッチ!
スレイヤーへの愛、パンテラの楽曲をプレイする理由等、交友の深いSigh川嶋未来だからこそ訊けるディープな話題満載の独占インタビュー実現!

RELEASE INFO

文 インタビュー:川嶋未来

パンテラのセットをプレイしていることで、今大きな注目を浴びているフィリップ・H・アンセルモ&ジ・イリーガルズ。20年1月に来日が決まっており、そこでもパンテラを中心としたセットが披露される予定だ。しかし、ジ・イリーガルズは決してパンテラをプレイするために結成されたバンドではない。それどころか、もともとはフィルのエクストリーム・メタル趣味全開のバンドとしてスタートしたのである。インタビューはまずフィルが、私の着ていたThe HEのTシャツに反応するところからスタート。

 

 

フィリップ:いいTシャツだな、大好きだよ。ギタリストは何ていう名前だっけ、忘れたけど、彼はThe AccüsedのあとにGruntruckっていうバンドをやってたよ。当時一緒にツアーしたな。

 

― 今はThe AccüsedとThe Accüsed A.D.に分かれちゃってるんですよね。

 

フィリップ:A.D.というのは聞いたことがないな。

 

― ヴォーカルがやっている方がA.D.です。

 

フィリップ:ブレインね。The Accüsedはハードコアだったけど、ライヴではとてもメタルの雰囲気もあってさ。最初のクロスオーバーなんじゃないかな。あとDead Horseも忘れるわけにはいかないけどね。

 

― Horsecoreですね(笑)。

 

フィリップ:そうそう。まだあの辺のバンドのデモも持ってるよ。ハリケーン・カトリーナでだいぶ失ってしまったけど。

 

― クロスオーバーだと、以前Shell Shockというバンドもお気に入りだと言っていましたよね。

 

フィリップ:あれは伝説的なハードコア・バンドだよ。Kirk WindsteinやJimmy Bowerなんかも参加していた。シンガーとギタリストが兄弟でね。彼らはニューオーリンズで最初の600人くらいお客さんを呼べるハードコア・バンドだったんだ。聞き返してみるとヴォーカルはパンクだけど、ヘヴィメタルっぽい部分もあって、クロスオーバーの時代になるともっとスラッシュやメタルらしい音を出していた。KirkはもともとVictorian Blitzというバンドをやっていてね、その後Shell Shockに入ったんだよ。もう1人のメインのギタリストが自殺をしてしまって、それでShell ShockはAftershockになった。KirkとJimmyはそういう経緯で一緒にやるようになって、The Slugsを経てCrowbarになるわけさ。これがファミリーツリーさ。

 

― ではインタビューを始めましょう。

 

フィリップ:まだ始まってなかったのか(笑)。

 

 

― ジ・イリーガルズを始めるにあたって、どういう音楽をやりたいという構想だったのでしょう。なかなか類似のバンドが見つからない、独特な音楽性ですよね。

 

フィリップ:そうだな、俺にとってのミッドライフ・クライシス(中年の危機)というのはデス・メタルだったんだよ(笑)。90年代当時、ファースト・ウェイヴのデス・メタルは逃してしまった。Morbid Angelのファーストとかね。俺がデス・メタルを聴き出したのは、92年頃、Morbid Angelのセカンド・アルバムからだ。そこからもちろんファーストへとさかのぼったんだけど。俺にとってジ・イリーガルズのファースト・アルバムを作るにあたってのマインドセットというのは、4/4拍子を破壊することだった。拍子がギクシャクしていて、グルーヴが一切ないようなもの。とてもイライラさせるようなレコードを作りたかったんだ。とても醜いサウンドのレコードをね。セカンド・アルバムではメンバーも変わって、これはびっくりするかもしれないけど、古いChrist Inversion時代のリフなんかも使ったりしたんだ。他のメンバーからもインプットがあって。セカンド・アルバムは、ほとんど普通の4/4拍子だけど、オーストラリアのデス・メタル・バンドからの影響があった。

 

― Portalですか?

 

フィリップ:その通り。

 

― 「子供だましにレンチを投げつけ」という歌詞など、音楽業界や音楽ファンへ一言あるような感じですが。

 

フィリップ:ファンにはないよ。

 

― 「みんなが音楽をダメにした」みたいなフレーズはどういう意味なのですか。

 

フィリップ:ああ、あれは、そうだな、色々なバンドを長く聴いていると、ごく一部のバンドを除いて、例えばスレイヤーなんかはずっとスレイヤーだっただろ。もちろん多少の変化はあったにしても、音楽的には彼らはずっとスレイヤーだった。でも、メタリカはまったく違うルートを辿ったよな。俺が言いたいのはそういうことさ。大好きだったバンドが音楽的な実験をして、ファンをがっかりさせてしまう。だからこれは俺の個人的意見というよりは、俺が見てきた、一般的にファンが感じることについてさ。それに俺はあのレコードを作ったときに、あれを理解する人は多くないだろうと思っていたしね。セカンド・アルバムにしても、ジ・イリーガルズはアリーナでプレイするようなバンドというつもりではなかった。これで答えになってるかな。滅茶苦茶なことをやりたかったんだよ。パンテラはビッグだったし、ダウンもビッグだ。スーパージョイントはリスペクトされている。歪んだギターでこれらとはまったく違ったバンドをやりたかったんだよ。わかるだろ?サイドプロジェクトをやるならば、全然違うことをやりたいものさ。

 

― ジ・イリーガルズはデス・メタル・バンドなのでしょうか。

 

フィリップ:いや、そういうわけではない。ジ・イリーガルズは、俺がやりたいことを何でもやれるバンドだ。何回かプレイしたけどレコードには入っていない、クリーンギターだけの暗い曲もあるし。En Minor(注:フィルがやっているプロジェクト)みたいなやつ。このバンドでは、俺がやりたことは何でもやれるのさ。今回のツアーではパンテラの曲だけをプレイしているけど、ファンが俺に何をやって欲しいかわかっているからね。ファンは俺に伝統的な、アンセミックなヘヴィメタルをプレイして欲しいと思っているんだ。1月の日本でもこれをやるつもりだよ。

 

― 「イリーガルズ」というバンド名にはどのような意味が込められているのでしょう。

 

フィリップ:50年代風の名前にしたかったんだよ。政治的なメッセージは一切ない(笑)。そういうのは俺は好きじゃないからな。ジ・イリーガルズというのは50年代、60年代、いややっぱり50年代風だな。

 

― 以前ジ・イリーガルズではAgnostic FrontやPortalのカバーなどをやっていましたよね。カバーするバンドの基準は何ですか。

 

フィリップ:それは単にそのとき俺がよく聴いていたバンドという感じかな。俺がどんなムードかっていうことさ。

 

 

― 初期もパンテラの曲を2−3曲やっていましたが、昨年くらいからセットの半分、あるいは全部がパンテラということになってきました。どのようなきっかけがあったのですか。

 

フィリップ:ヴィンスの死さ。ヴィニー・ポールが死んだとき、たくさんのメッセージや電話が来たんだ。友人やたくさんの人間が俺のところに来て、アボット兄弟のトリビュートをやるべきだ、パンテラの曲をやってくれと。みんなパンテラの曲が大好きで、あれを聴いて育ったわけだろ。俺が書いた曲を、俺がプレイしない理由なんてないよ。『チュージング・メンタル・イルネス・アズ・ア・ヴァーチュー』用のツアーに出るときに、ヴィンスが亡くなってね。俺の家でリハーサルをやっていたのだけど、「パンテラの曲をいくつかやってみようか」と。もともとそんなプランはなかったんだ。ツアーまでに1週間しかなかったし。それでできる限りの曲を練習して。初期の頃と今を比べると、相当進歩したと思うよ。お客さんの反応がとても良かったから、ツアーとツアーの合間に新しい曲を練習して。凄かったよ。ジ・イリーガルズのプレイするデス・メタルというのは、モッシュピットになったりするものじゃなくて、みんな凝視するようなものだろ。だからパンテラをやるというのは、俺たちにとって大きなスタイルの変化だった。俺も予想してなかったよ。

 

― パンテラの曲は全部で何曲くらいやれるのですか。

 

フィリップ:うーん、多分今は12−15曲くらいかな。要はみんながパンテラを聴きたいかどうかということさ。もしみんなが聴きたいのなら、初期の曲、後期の曲、あまり知られていない曲、いろいろやる。毎晩違うセットをやるというのも面白いだろうね。

 

― パンテラのカバー・アルバムを作るという予定はないのですか。

 

フィリップ:それは興味深いだろうね。とても面白い指摘だよ。パンテラの曲もとてもよく演奏できるようになってきているし。子供の頃を思い出すんだ。オジーがBlack Sabbathから脱退しただろ。それで『Speak of the Devil』がいつリリースされたか、君なら知ってるだろ?

 

― 『Diary of a Madman』の後ですね。

 

フィリップ:その通り。突然まったく別のメンバーでライヴ盤が出たのさ。ブラック・サバスの曲ばかりの。トミー・アルドリッジがドラムで。

 

― そうでしたね。ブラッド・ギルズがギターで。

 

フィリップ:ブラッド・ギルズ、ルディ・サーゾ。オジーがやったことを、俺がやる。非常に良い質問だ。考えてるよ。そういうアルバムを作るべきだと思うか?

 

― ぜひ聴きたいです。

 

フィリップ:そう思う?

 

― 今日のステージでも言っていましたが、パンテラのステージを見たことがないという若いファンも増えてきているでしょうからね。そういう人たちに….

 

フィリップ:「reintroduce」するか。ウーーーン、俺は本当に今のこのバンドが大好きなんだ。イリーガルズのメンバーはシラフで物腰も柔らかくて、とても仕事がしやすい。クリエイティヴすぎるミュージシャンが集まると、緊張感があってクレイジーになる。イリーガルズのメンバーは才能があってハングリーで志が高くて、とても謙虚できちんとリスペクトもあるし。『チュージング・メンタル・イルネス・アズ・ア・ヴァーチュー』でプレイしたバンドが、パンテラもやっているんだからな。素晴らしい奴らだよ。

 

 

 

― お気に入りのアルバムを3枚教えてください。

 

フィリップ:ミライ、そりゃ無理だろ。不可能だよ。じゃあ君のは?

 

― えーと…

 

フィリップ:ほらな。

 

ー ヴェノムの『Black Metal』。あとはCeltic Frostの何か。

 

フィリップ:じゃあヘヴィメタル限定にしようか。

 

― そうしましょう。

 

フィリップ:Judas Priestの『Unleashed in the East』。あれは最高だよ。それから、Judas Priestの…

 

― (笑)

 

フィリップ:『British Steel』。「Rapid Fire」はヘヴィメタルの本当の元祖さ。あの曲のヴォーカルがヘヴィメタル、スラッシュの未来になったんだよ。あの3連のパターン。あとは『Hell Awaits』。

 

― スレイヤーのベストは『Hell Awaits』ですか。

 

フィリップ:ああ、そうさ。

 

― 昔、あのアルバムで実はトムがベースを弾いてないと言っていましたよね。

 

フィリップ:あのアルバムにはとても素晴らしい速いベース・パートがあるんだけど、とある人が、スレイヤーのとあるメンバーが、当時トムがあそこまで速いピッキングができなかったので、その彼が代わりに弾いたそうだよ。よく覚えてたな、そんな話。

 

― 昨年キルジョイが亡くなってしまいましたが。

 

フィリップ:若くして死ぬというのは我慢できないことさ。奴との仲がこじれてしまったのは、あくまでビジネス上だけのこと。それ以外では奴が大好きだった。ホラーの趣味も良かったしね。本当に良いセンスをしてたよ。『Season of the Dead』も大好きだし。

 

― あれは名作ですよね。

 

フィリップ:古いデモも良かったし。あれは何という曲だっけ、burial…

 

― 「Young Burial」ですね。

 

フィリップ:「Young Burial」。本当にダークな曲だ。正直に言って悲しいよ。奴には子供もいたよな。

 

― ええ。

 

フィリップ:まだ生きていてくれたら良かったのだけど。人生は短いものさ。彼とは和解しておけば良かったと思ってる。残念ながら過去は変えられない。だけど未来は変えることができる。

 

― では最後に、1月の来日を心待ちにしている日本のファンへのメッセージをお願いします。

 

フィリップ:日本の文化、生き方、人々は本当に素晴らしい。言葉にするのは難しいけれど。音楽ファンの情熱も大好きだ。彼らをリスペクトするよ。イリーガルズを日本に連れていくのが楽しみさ。彼らにはその価値があるからね。素晴らしいバンドだよ。グレートなショウをやるよ。20年1月、日本で会おう。

 

 

 

 

インタビュー中に出てくるキルジョイというのは、ネクロフェイジアというアメリカのデス・メタルのシンガーであり、昨年3月に51歳の若さで急逝してしまった人物のこと。ネクロフェイジアはデス・メタルのパイオニアの1つと目されており、87年のデビュー・アルバム『Season of the Dead』はアンダーグラウンド・カルト・クラシックである。バンドは『Season of the Dead』リリース後、一旦自然消滅してしまうのだが、90年代終わりに復活。この復活劇で大きな役割を果たしたのがフィルなのだ。契約上の問題のため、アントン・クロウリーという偽名を使いギタリストとしてネクロフェイジアに参加したフィルは、『Holocausto de la Morte』(98年)というアルバムのほかに、何枚かのEPを残している。99年にリリースされた『Through the Eyes of the Dead』という映像作品は2人のホラー趣味全開.。そういう系が苦手でなければぜひ一度みて頂きたいクラシックだ。しかし、強烈なキャラクターを持つ2人の蜜月関係は長くは続かなかった。具体的にどんなトラブルがあったのか私も知らないのだが、フィルはフェイドアウトする形でバンドから脱退。その後2人が和解することはなかった。そんなネクロフェイジアのキャリアを俯瞰するベスト盤『ヒア・ライズ・ネクロフェイジア:35イヤーズ・オブ・デス・メタル』も、20年12月に発売になっているので、こちらもぜひ聴いてみてほしい。もちろんフィルがギターを弾いている曲も収録されている。

 

文 インタビュー 川嶋未来

 

 


 

バック・カタログ日本盤初登場 1月24日 発売

フィリップ・H・アンセルモ&ジ・イリーガルズ

1st『ウォーク・スルー・エグジッツ・オンリー』

2nd『チュージング・メンタル・イルネス・アズ・ア・ヴァーチュー』

日本盤ボーナストラック2曲収録 各2,750円(税抜 2,500 円)

 

 

『ウォーク・スルー・エグジッツ・オンリー』

【CD収録予定曲】

ミュージック・メディア・イズ・マイ・ホアー

バタリオン・オブ・ゼロ

ビトレイド

ユサーパー・バスターズ・ラント

ウォーク・スルー・エグジッツ・オンリー

ベッドルーム・デストロイヤー

ベッドリドゥン

イレレヴァント・ウォールズ・アンド・コンピューター・スクリーンズ

《日本盤限定ボーナストラック》

コンフリクト

ファミリー・フレンズ・アンド・アソシエイツ

 

【メンバー】

フィリップ・H・アンセルモ (ヴォーカル)

マージ・モンタゼリ (ギター)

ベネット・バートリー (ベース)

ジョー・ゴンザレス (ドラムス)

 

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『チュージング・メンタル・イルネス・アズ・ア・ヴァーチュー』

【CD収録予定曲】

リトル・ファッキング・ヒーローズ

ユートピアン

チュージング・メンタル・イルネス

ジ・イグノーラント・ポイント

インディヴィジュアル

デリンクエント

フォトグラフィック・トーンツ

フィンガー・ミー

インヴァリッド・コラブリン・フロウズ

ミックスド・ルナティック・リザルツ

《日本盤限定ボーナストラック》

アグリー・マグ

ピッグス・キッシング・ピッグス

 

【メンバー】

フィリップ・H・アンセルモ (ヴォーカル)

スティーヴ・テイラー (ギター)

マイク・デ・レオン (ギター)

ウォルター・ハワード Ⅳ (ベース)

ジョー・ゴンザレス (ドラムス)

 

商品ページはこちら

 

 

フィリップ・H・アンセルモ&ジ・イリーガルズ出演

■ Extreme the DOJO vol.33

1月28日(火)開場18:00 / 開演 19:00 東京:恵比寿 LIQUIDROOM

1月29日(水)開場18:00 / 開演 19:00 名古屋:名古屋クラブクアトロ

1月30日(木)開場18:00 / 開演 19:00 大阪:梅田クラブクアトロ

出演: Philip H. Anselmo & The Illegals / KING PARROT / PALM

https://smash-jpn.com/live/?id=3096