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ブラックゲイズを生み出したフランスのアルセストのブレイン、ネージュ独占インタビュー!
『『ドラゴンボール』『聖闘士星矢』、宮崎駿の作品も大好きだよ。』

RELEASE INFO

文・取材 川嶋未来 写真クレジット Andy Julia

今では単に「ブラック・メタル」と言っただけでは、それがどんな音楽なのか判断できないほど、そのスタイルは拡散されつくしている。カナダのブラスフェミーや、フィンランドのベヘリットなどを一つの極とすると、その対極にいるのが、このアルセストではないか。インタビュー中ネージュは「アルセストはブラック・メタル・バンドではない」と断言しているが、彼らがブラック・メタルという文脈で語られることは多く、またその出自がブラック・メタルであることに疑いはない。ブラック・メタル+シューゲイズ=ブラックゲイズと形容されることもあるアルセストだが、その美しい音楽は、どのようにして生み出されたのか。ニュー・アルバム『スピリチュアル・インスティンクト』を引っ提げて帰ってきたアルセストのリーダー、ネージュにいろいろと話を聞いてみた。

 

 

― ニュー・アルバム『スピリチュアル・インスティンクト』がリリースになります。過去のアルバムと比べ、どのような点が進化している、あるいは異なっていると言えるでしょう。

 

ネージュ:『スピリチュアル・インスティンクト』は、より成熟したアルバムになったと思う。俺も年をとってきて、ミュージシャンとしての経験も重ねてきたからね。過去のアルバムには、これほど俺の暗いフィーリングを込めてなかったとも言える。アルセストの音楽は、気分を高揚させるような、ドリーミーなものだ。もちろん多少の闇はあったかもしれない。だけど、今回のアルバムに関しては、俺が人生で感じてきたことにもっと素直になったというのかな。このアルバムを作っている間は、俺にとってつらい時期だったいうのもある。不安を感じていて、不眠症にもなってね。あまり眠れなかったんだ。そういうものが、今回音楽に込められている。音楽というのは感情を表現するのに最適なものだからね。言葉で語る必要がないから。ギターなどを使って、自然に表現ができる。もちろん今回の作品もとてもスピリチュアルで、アルセストらしいものだけどね。だけど、いつもよりも多くの怒りが込められていると思うよ。

 

― アルバムにテーマはありますか。『スピリチュアル・インスティクト』というタイトルには、どのような意味が込められているのでしょう。

 

ネージュ:そうだな、日本はフランスとは状況が違うと思うんだ。日本ではキリスト教は大きな役割を果たしていないよね。キリスト教でだけでなく、あらゆる宗教というべきかな。日本には仏教や神道があるけれど、間違っていなければ、それらは宗教というよりも思想のようなものだろう?俺はキリスト教徒として育てられて、洗礼も受けた。だけど、俺はまったく宗教的な人間ではないんだ。聖書の教えに従いたくもないし、人からアドバイスを受けたいとも思わない。「あれをしなくてはいけない、これをやるべきだ、そうでないと地獄に落ちるぞ」というような宗教やドグマとかね。そういうものには共感できなかった。だけど一方で、俺はとてもスピリチュアルな人間なんだ。俺たちはこの世で何をなすべきか、死後どこへ行くのかというような問題は、俺にとって常に重要なものだった。というのも子供のころ、とても強烈なスピリチュアルな体験をしたんだ。この世に生まれる前の世界を覚えているように思えたんだよ。「ドリームランド」、「フェアリーランド」と呼んでいる世界をね。それが一体何かはわからなかったんだけど、ともかくそれはもっとも美しくて、とても言葉で表現できないようなものなんだ。10代のころ、アルセストを始めたのも、それがきっかけなんだよ。一方の「インスティンクト」というのは、ご飯をたべたり息をしたりと、これは日々の俺の生活の一部であり、これもまた重要なものさ。

 

― その「フェアリーランド」についてお伺いしたいと思っていました。これはあなたが見た夢だったのでしょうか。それとも幻覚のようなものだったのですか。ソースによって内容が異なっているのですが。

 

ネージュ:正直「フェアリーランド」という呼び方はあまり気に入ってないのだけどね。バカっぽいから。なんというのかな、たとえばこの前の休日の記憶ってあるだろう?夢ではなく、実際の記憶。俺が見た世界も、俺にとっては記憶だったんだ。この世ではない場所のイメージ。とても奇妙な話だけどね。キラキラと輝く庭、音楽が空中を漂っていて、すべてが輝いている信じられないくらい素晴らしい光景。そういうイメージがやって来て、そうするととても楽しい、幸せな気分になれた。車に乗っているときや学校にいるときとか、ランダムなタイミングでそういうイメージが頭に浮かぶんだよ。それが何なのかは理解できなかったのだけど、その後臨死体験についての本を読む機会があってね。「臨死体験」って知ってる?俺の場合は臨死体験とは違って体の外へ抜け出したわけではないのだけど、そこで語られている世界と俺が見るイメージは非常に近いものだったんだ。だから、このイメージは、俺がこの世界にやってくる前の記憶なんじゃないかと思って。奇妙な話だし、クレイジーだと思われるかもしれないけどさ(笑)。

 

― アートワークは何を表現しているのですか。

 

ネージュ:このアートワークは、現実的なものとスピリチュアル的なもののバランスを表現しているんだ。スフィンクスというのは、美しい人間の顔と美しい翼を持っていると同時に、蹄とか、ライオンの脚のような動物的な特徴も備えているだろ。これは、片足は現実にも、もう片方の足は別世界に突っ込んでいる俺の人生におけるコントラストを表現していると思うんだ。それにスピリチュアルなものというのは、多くの謎を抱えている。死とはどういうものか。人間であるとはどういうことか。魂とは何か。大きな問いがたくさんあるのさ。だけど多くの答えは得られない。これが宗教だと、本に答えが書いてあったりするけれど、スピリチュアルな世界では、自分自身で体験をする必要がある。スフィンクスというのはミステリー、謎のシンボルだからね。こういうスピリチュアルな世界の大きな問いのシンボルとして最適だと思ったんだ。

 

 

― 今回も歌詞はすべてフランス語ですよね。フランス語にこだわる理由は何なのでしょう。

 

ネージュ:フランス語で歌うのが一番快適だからね(笑)。英語で歌うとどうしても発音が悪くなるし(笑)。だからフランス語で歌い続けてる。ファンも気に入ってくれてるし。「フランス語で歌う方がいいよ」なんて言われる。みんな英語で歌っているし。

 

― 一方でアルバムタイトルは英語ですが。

 

ネージュ:そうなんだよ。英語の方が語感が良いから、英語のタイトルをつけることはある。フランス語の発音ってあまり良い感じじゃないんだよね。だから英語を使うこともあるけど、歌詞はフランス語にしているんだ。

 

― フランス語はロックに合わないという意見もありますが、どう思われますか。

 

ネージュ:それには完全に同意するよ。だけど、アルセストの場合ヴォーカルは楽器というか、とてもアトモスフェリックなものさ。例えば、そうだな、AC/DCのようなバンドでフランス語で歌うというのとはまったく違うものなんだ。アルセストのヴォーカルはとてもメロディックでアトモスフェリックだからね。フランス語でも問題ないんだよ。

 

― 日本盤にはPurturbatorによるリミックスが収録されています。このコラボはどのようにして実現したのですか。

 

ネージュ:彼とは良い友達なんだ。お互いパリに住んでいるし。彼はメタルが大好きで、アルセストのファンでもあるんだよ。俺もPurturbatorが大好きだし。だからとても良いコラボができるんじゃないかと思ったのさ。

 

― 今回のアルバムも、40分強で6曲入りですが、このフォーマットへのこだわりがあるのですか。

 

ネージュ:そうなんだよ(笑)。個人的にあまり長いアルバムって好きじゃなくて。あまり長いと集中力が持たないから。だから短めで、だけどとても濃い素晴らしい作品を作りたいんだ。15曲も入っているような長すぎるものではなくてね。俺のお気に入りのアルバムは、どれも50分未満だよ。

 

― 6曲というところにもこだわりがあるのですか。

 

ネージュ:なんでだろうね(笑)。確かにいつも6曲だね。俺たちの曲は長いからさ。アルバムを適正な長さにしようとすると、自然と6曲になるんだと思う。良い質問だね。とくに理由があるというわけではないんだ。

 

 

― アルセストというバンド名にしたのはなぜですか。サウンドが気に入っているとのことですが。

 

ネージュ:もともとはフランスの本からとったんだ。「Alceste」というキャラクターがいたんだよ。「e」をとって、Alcestとしたのさ。キャラクターとは別物にする必要があったから。本とはもはや関係がないように。名前のサウンドが気に入ったんだよ。

 

― フランス語でも意味はないんですよね。

 

ネージュ:ない。ただの固有名詞だよ。

 

― 日本では「アルセ」と呼ばれることもあるのですが。

 

ネージュ:本当に?「ARUSESUTO」という呼び方をされているのは知っているけど。日本語では普通単語は子音で終わらないんだよね?だから「O」がついている発音になるんだろう?その呼び方はとても気に入ってるよ。俺は日本が大好きだからね。「Alcest」でも「ARUSESUTO」でも、どちらでも構わないよ。

 

― でも「アルセ」は無し?

 

ネージュ:「アルセ」はダメだよ。

 

― もともとの綴りにeがついていたならstを読まないわけがないですね。

 

ネージュ:その通りだよ。

 

ー ドラマーは、ヴィンターハルターとドイツ式に読むのでしょうか。

 

ネージュ:実はこれは本名なんだよ。母方の苗字で。多分正式な発音は「ヴィンターハルター」なのだと思う。

 

― 現在アルセストのメンバーは、あなたとヴィンターハルターの2人だけですよね。やはりアルセストは基本的にあなたのソロプロジェクトだということなのでしょうか。

 

ネージュ:もともとは俺のソロプロジェクトだったけど、現在はヴィンターハルターと2人が正式メンバーさ。スタジオではいつも2人。ステージでは4人だけど、他の2人はあくまでライヴ・ミュージシャンさ。

 

 

― その区別をあえてする理由は何なのですか。

 

ネージュ:曲はすべて俺が書いているし、他人にアルセストの曲は書かせたくないんだ。アルセストは俺の子供なんだよ。だからバンドという形式にはしたくないんだ。あくまでプロジェクトみたいなものなのさ。

 

― 音楽との最初の出会いはどのようなものだったのですか。

 

ネージュ:プリンスとマイケル・ジャクソンだよ(笑)。

 

― それは何歳のころのことでしょう。

 

ネージュ:4歳か5歳だったと思う。子供のころはとにかくマイケル・ジャクソンが好きでね。10代になると、確か10歳か11歳のころかな、ニルヴァーナと出会った。カート・コバーンのね。だから、ヘヴィメタルは通ってないんだよ。俺の世代はグランジだったから。で、ニルヴァーナのあとにブラック・メタルと出会ったんだ。間に何も挟まず、ニルヴァーナからいきなりブラック・メタルへ行った(笑)。

 

― メタルから徐々に行ったんじゃないんですね。

 

ネージュ:いきなりブラック・メタルだよ。

 

ー ブラック・メタルとはどのように出会ったのですか。

 

ネージュ:フランスに「Hard Rock Extreme」という雑誌があってね。表紙がクレイドル・オブ・フィルスのダニだった。友達がその号を買って、俺に見せてくれたんだ。「このバンドは絶対聴いた方がいいよ」と言われて、聴いてみたら「ワオ!最高だ!」って。普通はブラック・メタルをいきなり気に入るというのはないかもしれない。何度も何度も聴くうちに聴けるようになるというのが普通だろう。だけど、俺は1、2回聴いただけでハマってしまった。すごい衝撃でさ。一発で気に入った。クレイドル・オブ・フィルスのあと、ノルウェーのブラック・メタルを知ってね。ダークスローン、メイヘム、エンペラーとか。ブラック・メタルを発見したというのは、俺にとって重要な瞬間だったんだよ。

 

― それは何年頃ですか。

 

ネージュ:確か1999年頃だったと思う。14歳くらいだったよ。

 

― あなたはギター、ベース、キーボード、ドラムとあらゆる楽器を演奏しますが、最初は何の楽器から始めたのですか。

 

ネージュ:最初はピアノ。子供のころ、祖母に習っていた。彼女はピアノの先生だったから。だけど長くは続かなかった。せいぜい1年くらいだったかな。13歳のころ、ブラック・メタルを聴きだす前あたりからギターを始めた。当時俺は南フランスのとても小さな街に住んでいたんだ。だから、ほかにメタルを聴く友達なんていなくてね。俺一人きりだった。1人か2人はいたけど、彼らは楽器はプレイしなかったんだ。それで、自分で全部の楽器を演奏するしかないと思ったんだよ(笑)。酷いドラムキットを買ってきてさ、すごく安いやつ。アルセストのファースト・デモを録音したとき、俺はドラム歴1週間だった(笑)。だから本当に酷いドラミングだよ(笑)。ほかに選択肢がなかったのさ。

 

― 一人で全部やるというのもブラック・メタルの伝統ですからね。

 

ネージュ:その通りだよ。バーザムとかね。

 

 

― ところで、アムスールはアルセストの音楽的プロトタイプという見方もあるようですが、いかがでしょう。

 

ネージュ:いや、それはない。アムスールを始めたのはアルセストより後だし。アムスールとアルセストは全然違う別の2つのプロジェクトだよ。

 

― アルセストも初期はブラック・メタルですよね。

 

ネージュ:最初のデモは確かにそうだね。だけど『Le Secret』EPからはかなり違った音楽性になってる。自分のスピリチュアルな体験を表現するようになって。俺にとってアルセストはブラック・メタルではない。ブラック・メタルとは全然違うものだよ。もちろんブラック・メタル的な要素はあるけどね。ドラムやスクリームとか。だけどテーマや雰囲気はまったく違うものさ。アルセストは闇やイーヴルを表現しているのではないからね。

 

― そうなんですね。アルセストがアムスールの音楽性を引き継いだという見方もあるようですが。

 

ネージュ:そういうわけではないよ。『Le Secret』は05年に出てるし、アムスールを始めたのは06年だからね。

 

― そもそもアルセストの音楽スタイルは、どのようなものを目指していたのでしょう。

 

ネージュ:特にスタイルというものを考えていたわけじゃないんだ。さっき話した子供のころにみたとてもドリーミーで美しい天国のようなイメージを、ブラック・メタルのある種のフォームで表現したいと思ったんだ。アトモスフェリックなギターとブラストビートを使ってね。だけどヴォーカルは、天使のようなものにしたかった。とてもドリーミーで美しい音楽にしたかったというだけで、音楽のスタイルについては何も考えていなかった。「シューゲイズとブラック・メタルをミックスした」と言われることもあるけど、当時シューゲイズは聴いたことがなかったからね。ただ、ヘヴンリー・ブラック・メタルをやりたかっただけさ(笑)。違うジャンルを融合しようとか、計算してやったんじゃないんだ。

 

― 当時ブラック・メタル以外ではどんな音楽を聴いていたのですか。

 

ネージュ:当時はザ・キュアーみたいな音楽を聴くようになっていた。あとはデッド・カン・ダンスとかね。だけど、ほとんどはブラック・メタルばかりだったよ。07年に出したファースト・アルバム『Souvenirs d’un Autre Monde』を出したあとにスロウダイヴとか、シューゲイズを知ったんだ。

 

― アルセストの音楽には、ザ・キュアーのようなバンドからは影響はあったのでしょうか。

 

ネージュ:あったと思う。とくにアトモスフェリックなギターに関しては、ザ・キュアーなどのニューウェイヴ系からの大きな影響がある。コーラスとリバーヴが深くかかっていて。

 

― アルセストを無理やりにでもカテゴライズすると、どうなるでしょう。

 

ネージュ:わからないよ。アルセストとしかいいようがない(笑)。アルセストとして聴いてもらうしかないよ。「ブラックゲイズ」つまりブラック・メタルとシューゲイズのミックスと言われることもあるけど、俺たちはおそらく最初にこのスタイルをやってバンドだけど、アルセストのスタイルを聞かれても、俺としてはわからないとしか言えない。

 

― 一方のアムスールの音楽的コンセプトはどんなものだったのですか。

 

ネージュ:アムスールの音楽はもっとポスト・パンク寄りだよ。ジョイ・ディヴィジョンとか、80年代のロックとブラック・メタルを混ぜたものさ。それにテーマも都市に暮らすこと、都市に暮らすことの虚しさ、憂鬱とか。10代のころ、毎日があまり楽しくなくて、ジョイ・ディヴィジョンやザ・キュアーなんかを聴いていた。それで、ポスト・パンクとブラック・メタルを混ぜたんだ。

 

― 自分たちの音楽はフランス的だと思いますか。

 

ネージュ:(笑)。それはむしろ君に聞きたいな。フランス的に聴こえる?

 

― 私にとってフランスの音楽のイメージというと、クラシックだとドビュッシー、ラヴェル、ポップスだとセルジュ・ゲンズブールのような人たちです。それらと比べると、アルセストは格別フランスの音楽だというイメージは強くありません。

 

ネージュ:その通りだと思うよ。俺たちは世界中にファンがいる。インドや中国、日本のような、フランスとはまったく異なる文化を持つ国々でもプレイをしたけれど、ファンはアルセストの音楽を美しいと感じてくれて、俺の音楽を理解してくれた。フランス人の方が、日本人や中国人よりアルセストを理解しないケースもあるくらいさ。だから、アルセストの音楽はフランス的というよりも、もっと普遍的なものと言えるんじゃないかな。誰にも語りかけることができるから。確かに俺はフランス人で、フランス語を話しフランスで育ったけど、俺の世界はもっと普遍的なものだと思う。

 

「サファイア」MV

 

「プロテクション」MV

― 現在のフランスのメタル・シーンはどんな感じですか。

 

ネージュ:とてもよくなってきてると思う。前は国際的に有名なバンドも少なかったけど、今はゴジラもいるしね。ゴジラはとても人気があるよ。ブラック・メタルでも、デススペル・オメガなどがいる。良いバンドはたくさんいるよ。フランスのシーンは大きくなってきていると思う。

 

― 隣国のドイツは非常にヘヴィメタルの盛んな国という印象が強い一方、フランスのイメージは全く異なりますよね。これはなぜだと思いますか。

 

ネージュ:どうだろう。文化の違いなんだろうけどね。考え方やインスピレーションが違うんだよ。フランスでは、食べ物とか詩、文学が盛んだけど、ロックはあまり盛んではない。さっきも言った通り、今ではゴジラをはじめ、良いメタルバンドもたくさんいるけど、ロックの状況はあまりよくない。メタルやエレクトロニクス、デスパンクなどは人気があるけど、ロックはまったくダメ。ヘヴィメタル・バンドも全然いないね。フランス人は暗いものが好きだから、ブラック・メタルは多いけど、ヘヴィメタルはもっと楽しいものだろ。フランス人はもっと真面目で内省的なものが好きなんじゃないかな。

 

― おすすめの若いフランスのバンドはいますか。

 

ネージュ:新しいバンドのことは知らないんだ。ごめん、思いつかない。シンセウェイヴのような新しいムーヴメントはあるけどね。Perturbatorとか。こういうタイプのバンドをお勧めするよ。

 

 

― ところであなたは日本の文化に非常に興味があるとのことですが、なぜなのですか。

 

ネージュ:知ってるかな、フランスというのは日本について漫画やアニメが盛んな国なんだ。ビデオゲームも。フランス人は日本の文化が大好きなんだよ。80年代、90年代に、フランスのテレビ業界人が日本に行って、日本のアニメをたくさん輸入したんだ。俺の世代はみんなアニメを見て、漫画を読んで育ったのさ。俺にとって日本の文化というのは、第2の文化とでもいうべきものなんだ。俺はフランス人だけど、少し日本人の部分もあるんだよ(笑)。いろんなアニメも見たし、スーパーファミコンもプレイしたし。とにかく日本が大好きなんだ。日本のすべてが。食べ物、文化、人々。実は日本語の勉強もしている。日本には友達がたくさんいるしね。ヴァンピリアとか。彼らとは英語で話しているけど、いつか日本語で話せたらと思っているんだ(笑)。ひらがな、カタカナ、漢字があるんだよね。覚悟はできてるよ(笑)。日本語は動詞を最後に持ってくるから、フランス人である俺にとってはとても難しい。一生懸命勉強しているんだけど。

 

― 具体的にどんな漫画やアニメが好きなのですか。

 

ネージュ:もちろん『ドラゴンボール』は大好き。それから、子供のころフランスでは『聖闘士星矢』という番組が放送されていたのだけど、知ってる?

 

― もちろん知っています。

 

ネージュ:この番組は、フランスでは大人気で、ドラゴンボールと同じくらい人気があったんだ。だけど、日本人と話すと、知らない人もいるんだよね。

 

― そうですね、40代以上でないと知らないかもしれません。

 

ネージュ:そうなのかも(笑)。フランスでは90年代くらいまで放送されていたからね。若い人たちも知っているんだ。『AKIRA』も大好きだし、『攻殻機動隊』も好き。宮崎駿の作品も大好きだよ。彼の作品はすべて傑作さ。とても美しくて。

 

― 前作『KODAMA』は『もののけ姫』へのトリビュートなのですよね。

 

ネージュ:そう、『もののけ姫』にインスパイアされたんだ。『もののけ姫』へのトリビュートのような作品だよ。人類と自然の戦いについてというような内容さ。

 

― お気に入りのアルバムを3枚教えてください。

 

ネージュ:オー、難しいね。スロウダイヴの『Souvlaki』。シューゲイズの。あとはタイプ・オー・ネガティヴの『October Rust』。それから、そうだな、ダークスローンの『A Blaze in the Northern Sky』。あとはエレクトロニクスもいろいろ聞くよ。Aphex Twinとか。インディロックも聴く。どんなスタイルの音楽でも聴くよ。ラップもね。ブラック・メタル、テクノ、ヒップホップ。良いものは何でも。

 

― フランスではラップはとても人気があるんですよね。

 

ネージュ:一番人気あるよ。でも良いヒップホップは少ない。ほとんどのは酷いよ(笑)。

 

― では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

 

ネージュ;俺たちは日本のファン、日本が大好きだということを知ってほしいな。できるだけ早くまた日本に行きたいね。ニュー・アルバムを気に入ってくれて、日本にアルセストのファンがもっと増えるといいな。

 

 

文・取材  川嶋未来

写真クレジット Andy Julia

 

 

 

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10月25日発売

アルセスト『スピリチュアル・インスティンクト』

【CD】 GQCS-90792 / 4582546590406 / ¥2,500+税

【日本盤限定ボーナストラック収録/日本語解説書封入/歌詞対訳付き】

 

【CD収録曲】

  1. レ・ジャルダン・ドゥ・ミニュイ
  2. プロテクション
  3. サファイア
  4. リル・デ・モール
  5. ル・ミロワール
  6. スピリチュアル・インスティンクト

《日本盤限定ボーナストラック》

  1. サファイア (Perturbator Version)

 

【メンバー】

ネージュ(ヴォーカル/ギター/ベース/シンセ)

ヴィンターハルター (ドラムス)

 

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